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戻ってきた日常⑧

今日は、お休み。


朝からいい天気なのでドライブに出かけた。


「もみじでも見に行くか?」


雄ちゃんが誘ってくれて、もみじ狩りに出かけることに。


普段はあまり気にすることがなかったけど


季節は確実に移ろいでいた。





「わぁ、きれいだね・・・」


道に沿って植えられた楓の木が赤く色づき


まるでアーチのようになっている。


道にはハラハラと舞い落ちた葉っぱの絨毯。


しばしじっと立ちつくして見とれていると


あたしのちょうど前にひらひらと一枚


真っ赤な葉っぱが落ちてきた。


両手で受けるとすっぽりあたしの手の中に


その葉っぱは収まった。


「ナイスキャッチ!」


雄ちゃんの声に、あたしは笑顔で振り向いた。





もう11月。風が肌寒い。


もう少し暖かい上着来てくれば良かったかな・・・


車を降りたときはそう思ったけど


どんどん散策しているうちにぽかぽか。


展望台まで来たときには


風が心地よかった。





展望台では眼下に街が一望できる。


川が流れてるのも、高速道路も


ミニチュアの街みたい。


しばらく見てるうちにまた体が冷えてくる。


「クシュン!」


あたしがくしゃみをしたら


雄ちゃんは、


「なんだ、寒くなったか?」


って、はおってた上着をあたしにかけてくれた。


「ありがとう・・・」


よくあるドラマみたいなんだけど嬉しかった。


そしたら・・・





「はっくしょん!!!」


雄ちゃんが派手なくしゃみをした。


「やっぱり返すよ。雄ちゃんが風邪ひいちゃうから。」


「いいから着てろ。」


って言いながらまたくしゃみ。


「もういいって。ね、ほんとに風邪ひいちゃうよ。」


って、あたしは雄ちゃんに上着を着せた。


「じゃ、暖かいもんでも飲みに行くか。」


「うん。」


歩きながらあんまり手が冷たくなったので


手をぎゅって握り合わせてたら


「冷たいのか?」


って、ふわっとあたしの手を両手で包み込んでくれた。


「あったかーーい・・・」


あたしが嬉しそうに言うと


「もっと暖かくしてやるよ。」


って、にこっと笑うと


「そら、行くぞ!」


って、あたしの手をぎゅっとにぎると、走り始めた。


「きゃ!急に走らないでよー!」


「黙ってついてこい!」


楽しそうに雄ちゃんはどんどん走っていく。


タッタッタッタと坂道を駆け下りると


喫茶店が見えてきた。


「ゴールはあそこだー!」


雄ちゃんはあたしの顔を見てにこっ。





マラソン嫌いなあたしは、自分じゃ滅多に走らない。


なのに今日はイヤじゃなかった。


雄ちゃん、絶対ゆっくり走ってた。


あたしのペースで。


そういう、何気ない心遣い


雄ちゃんって、さらっと出来る。


ふと気付くとその優しさに包まれてる。


それに気付いたとき、


この人で良かった・・・って心から思う。


温かいミルクティーを飲みながら


そんなことをしみじみ考えた。


雄ちゃんは、あたしがそんなこと考えてるなんて


知らないだろう。





「なあ、ちょっとハンカチかして。」


なんだろう。


あたしがハンカチを渡すと、


雄ちゃんはポケットから拾ってきたもみじを一枚出して


テーブルの上に置くと、あたしのハンカチをかぶせた。


そして、


「おまじないおまじない」


って、1,2,3って数えると


「ハンカチ取ってみて」


って言った。


何だろうと思ってあたしがハンカチを取ってみると・・・


楓のペンダントトップがついたネックレス。


雄ちゃんは魔法使いですか?


「今日の記念品♪」


って、雄ちゃんはあたしにネックレスを付けてくれた。


もう!びっくりするじゃない・・・


だけど、すっごく嬉しいよ。


「ありがとう。」


雄ちゃんは照れたように笑ってる。





車に戻ったとき、


「さっきのお礼♪」


って、雄ちゃんにCHU♪


そして、あたしは山のもみじみたいに


真っ赤になった。



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