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怪我④

階段を上りながら


「はーしんど。給食以外は職員室にも戻らんとこ。」


なんて独り言。


やっと4階に着いた。


今日は一日、音楽室で過ごした。


水筒にお茶も持ってきたから


一人でお茶ターイム!


って、休み時間にお茶飲んでたら


「せーんせー。何してんのー?」


って、6年生の女の子たちがやってきた。





「怪我したの大変やなー。」


って言った後、興味津々で


「山本先生が、せんせーの家まで迎えに行ったってほんと?」


って聞いてきた。


「ほんと。」


「で、一緒に来たん?」


「うん、一緒に来た。」


キャーーって盛り上がる子どもたち。


好きで一緒に来たんじゃないやい!


「楽しかった?」


「別にーーー。」


女の子達は顔を見合わせて


「今日、山本先生メッチャ機嫌ええのにー」


「そうなん・・・」


「明日も一緒に来るん?」


「明日は自分で来ます。」


何やーーーって少しがっかりしてる。


冗談じゃありません。


「先生は、この学校の先生の中で誰が好き?」


ドキッ!


「山本先生?」


「えーーー!」


あたしの反応に満足そうな子どもたち。


「じゃー、誰?」


そんなこと言われても・・・


「どの先生も好きやけど。」


無難に答えると、


「そりゃ、雄ちゃん先生違うん?」


「カッコええもんなー。」


「でも、時々恐いでー」


なんて話し始めた。そうか、この子達は


去年雄ちゃんのクラスだったのか。


「雄ちゃん先生、恐いの?」


あたしが聞くと、


「ずるしたときとか、嘘ついたのがばれたら


メッチャクチャ怒って、恐かったよなー」


何か分かるわ・・・


子どもでもそんなのは許さないだろうな・・・


「川上先生って、雄ちゃん先生のこと好きやと思わへん?」


「あーそんな感じするー。先生もそう思う?」


あたしにふるな!


「んーー、どうかな。それより、もうすぐ授業始まるよ。」


「あ、まずい!じゃ、先生、また来るねーー!」


6年生は元気に帰っていった。





約束通り雄ちゃんと一緒に帰ってる途中、


今日の6年生の会話のことをちょっと話した。


「雄ちゃん、恐いって言ってたよ。そんなに怒るの?」


あたしが笑って聞くと、


「そりゃ、許せないことは子どもでも本気で怒るぞ。」


「例えば?」


「去年、あいつらに一番怒ったのは、仲間外れしてたのを


嘘ついて知らん顔した上に、向こうが悪いからと


言い訳までしたとき。俺、あーいうのは許せねーんだ。」


確かに、それは怒るべきだな・・・


「で、お前は誰が一番好きって言ったんだ?」


え?


「みんな好きって言った。」


「ふーん。みんなねぇ・・・」


「子ども相手にほんとのこと言えるわけないでしょ。」


「ふーん・・・」


「なによぉ・・」


「べーつにー。」


なんなのよー・・・


「で、昨日は何話ながら帰ったんだ?」


「えー特に話なんてしてないけど・・・」


「ふーーん。山本先生は楽しかったって言ってたぞ。」


「雄ちゃん、聞いたの?」


「いや、聞いてないけど勝手にしゃべってきた。」


「で、何が楽しかったんだ?」


「別に何にも・・・」


「ふーーん・・・」


変な雄ちゃん・・・


と思ったら、雄ちゃんはもっと変なことをした。


急にウインカー出して車を道の端に止めると


何も言わずにkiss。


「どうしたの?」


「別に。」


「妬いてたの?」


「うるせー。」


なんか、雄ちゃんかわいいーー。


ふふふって笑ってしまった。


また車を走らせだした雄ちゃんの横顔を見ながら、


やっぱり雄ちゃんの横がいいなって


改めて思った。



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