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怪我②

「帰っても、料理とか大変でしょ。僕、晩飯おごりますから。」


そう言って、頼みもしないのにレストランへ寄る。


「ほんとにいいですから。このまま帰ります。」


あたしが言ってんのに


「遠慮しないでください。」


遠慮するのはあなたです。


仕方がないので、


「降りるとまだ痛むので、一つお願いがあるんですけど」


あたしが言うと、嬉しそうに


「なんですか?」


って聞いてきた。


「コンビニで、おにぎりとパン買ってきてくれませんか?」


「はい、分かりました。」


あーよかった。車出してくれた。


「おにぎり、何がいいですか?」


「何でも大丈夫なので、適当に買ってきてくれますか?


それから、ミルクティーもお願いします。」


財布を出してお金を出そうとすると


「今日は僕のおごりです。」


って、カッコつけていってしまった。


山本先生、似合いません・・・





あたしの部屋まで送ってくれて、荷物を持って


部屋の入り口まで来た山本先生。


「ありがとうございました。


明日は自分で行きますからご心配なく。」


そう言ったにもかかわらず


「いえいえ、明日は7時30分に来ますから。」


と、帰っていった。


心配してくれてありがたいと言えばありがたいけど


空気読んでよ・・・


あたし、嫌がってるんですけど・・・


何で雄ちゃん、俺がって言ってくれないの・・・


・・・て、言えるわけないか・・・





痛い足をどうしようかと困りながら


とりあえずおにぎり食べることにした。


これ・・・


いくらに鮭にうなぎ、シーチキン、紀州梅、赤飯に照り焼きチキン


炊き込みご飯に高菜飯・・・どんだけ食べると思ってんの?


あきれてるところに


「ピーンポーン」


「はーい。」


この距離でも痛い・・・と顔をしかめながら


ドアを開けると


「なんて顔してるんだ?」


と、雄ちゃんがやってきた。


「晩飯はどうしたんだ?もう食べたか?」


「心配してきてくれたの?」


「当たり前だろ。大丈夫かよ。」


雄ちゃんは鍵を閉めてひょいっと


あたしをおひめさまだっこしてソファーに座らせた。


そして、


「どうすんだ?この大量おにぎり。」


と、ビックリして言った。


あたしは、事の次第を説明した。


「明日からもこんなのやだよー。」


・・・・・・・・


雄ちゃんはしばらく黙って何か考えていたが


「俺に任せとけ。明日から、俺が連れて帰ってやるから。」


って言ってくれた。


それが出来ればどれだけ嬉しいか。


「雄ちゃん、お腹空いてる?食べてくれない?」


大量のおにぎりを前に


あたしは困ってしまった。


だって、明日までに食べられるかい。こんだけも。


「よっしゃ、手伝ってやるよ。」


雄ちゃんはそう言っておにぎりのビニールを外すと


あたしに持たせて


ミルクティーを入れにグラスを取りに行った。


いつか買った、ペアのカップを持ってきて


「こっちでいいだろ?グラスじゃねーけど。」


と、ミルクティーを入れてくれた。





結局、片付けもお風呂も着替えも


正直一人で出来ないこともなかったけど


雄ちゃんは全部手伝ってくれて


すっごい助かった。


「送ってやりてーけど、あいつ、来るんだろ?」


結局朝までいた雄ちゃんは、


おにぎりを一緒に食べてから


朝も着替えまで手伝ってくれて


挙げ句の果て、鍵までかけて


下まで荷物を持って降りてくれた。





約束通りって、あたしは約束したつもりはないのに


山本先生は朝、7時30分きっちりにやってきた。


雄ちゃんは見えない所にいる。


「おはようございます!」


妙に張り切ってる山本先生。


「今日だけはお世話になりますが、帰りからは


もう大丈夫ですから。」


あたしは念押しした。


「そんなに気を遣わなくていいですから。」


まだ言ってるよ・・・



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