お弁当③
お弁当を開けた瞬間
「うわっ!うまそー。」
「えー。先生、これ自分で作ったの?」
「そんなわけないやん。雄ちゃん先生に
そんなことが出来るわけないやん。」
「じゃ、お母さん?」
「先生一人暮らしじゃなかった?」
「もしかして彼女?」
・・・・・・・・・
「やかましーーーい!!!」
雄ちゃん先生の一喝もむなしく
盛り上がる子どもたち。
「学校に届けてもらったのかな?」
「朝から会いに行ってたりして。」
「一緒に住んでるとか?」
キャーーッと盛り上がる子どもたち。
それをほっといて、雄ちゃん先生は
「ユリ、どれでも好きなやつ食っていいぞ。」
と、お弁当箱を差し出した。
「先生ありがとう。じゃ、おにぎりと、卵焼き。」
そしたら・・・
「ユリ、あたしのもあげるよ。」
「あたしも一つおにぎりとって。」
「あたしは、サラダあげるよ。」
「デザートはこれ一緒に食べよね。」
みんな次々とユリにお弁当のお裾分け。
「みんないいやつだな。先生はうれしい!」
「だってー。そのお弁当、先生食べたいでしょー!
ねーねー、どんな人ーー?」
「あたしも知りたい!」
「聞きたいーー!! 」
「誰も彼女が作ったとは言ってねー。」
「またまたー。先生そんなこと言って~!」
「じゃ、先生、あたしのと かえっこして!」
「イヤだ!」
「ほらやっぱり、彼女に作ってもらったんだ~。
わー、先生顔が赤いよ~。」
雄ちゃん先生はひとしきり
クラスの子達にからかわれながらも
ユリが笑顔になったのを見てほっとした。
「さ、そろそろ集合すっか。」
ピーーーー!
笛を合図に集合し、バスに乗って出発。
見学自体はちっとも問題なくスムーズにいった。
お天気にも恵まれたし、最高の校外学習だった。
お弁当の一件をのぞいて。
「お帰り。お疲れさま。」
あたしは、帰ってきた雄ちゃん達にお茶を出しながら
「いいお天気で良かったね。」
と言うと、
「お天気は良かったけどな・・・」
雄ちゃんは含んだ言い方をした。
「なんかあったの?」
あたしが尋ねると、
「ひどいことがあってな。」
と、お昼のことを話してくれた。
「ふーん、大変だったねぇ。」
「おう。」
それから、雄ちゃんは
「弁当、メッチャうまかったぜ。ごちそうさん。」
と、周りに聞こえないように言った。
「うん。」
あたしはにっこりしてうなずいた。




