お弁当②
お弁当をみんなが広げ始めた。
この広場には同じような校外学習の子どもが
たくさんいた。
早くに来た学校はすでにお弁当を片づけ始めていた。
先生達は
お箸忘れてないか
ひとりぼっちの子はいないか
まさかお弁当忘れてきてる子は・・・
などと気にしながら
ぐるっとみんなの様子を見にまわる。
と、その時
「あーーーーー!!!」
という大声が聞こえた。
「どうした?」
「ユリのお弁当が・・・」
ユリのお弁当は見事にひっくり返っていた。
「どうしたんだこれ・・・」
「雄ちゃん先生、あのね、ボールが飛んできて
ユリがお弁当開けたとこにぶつかったんです。」
ボール?こんな所で?
あたりを見回すと数人の男の子が
ドッヂボールをしている。
「あいつらか?」
「そう。」
「謝ってもらったのか?」
ユリは黙って頭を横に振った。
雄ちゃん先生は立ち上がると
ボールで遊んでいる子達の所へ行き、
飛んできたボールをさっと捕まえた。
「かえしてください。」
といってきた子に
「ダメ。」
と言うと、
「あそこにいる子のお弁当にボールぶつけたのは誰?」
と聞いた。
「そんなの知らないよ。」
一人が言うのを聞いて、雄ちゃん先生は
「今すぐ担任の先生呼んでこい!」
と、恐い顔していった。
すぐに担任の先生をつれて子どもが戻ってきた。
雄ちゃん先生は、ボールを使ったために
お弁当を食べているところに飛んでいき、
結果としてひっくり返ったことを話した。
「こんな、大勢が弁当を食べに集まる場所で
ボールなんか使わせないでください。
それから、誤りもせずまだ遊んでいるこの子達と
少し話させてもらいます。」
そういうと、雄ちゃん先生は
「せっかくの楽しい校外学習なのに
あの子はとても悲しい思いを今してるんだぞ。
君らは楽しかったかもしれないが
あの子のお弁当、食べられなくなったのは
分かるだろ?どんな気でいるか
君らだって分かるでしょ。
せめて一言、謝るべきじゃないか?」
と、静かに話した。
じっと、顔を見回して、
「お弁当を持たせてくれたお母さんの想いも
楽しみにしていたあの子の想いも
台無しになってしまったのは、分かるよな。」
と言うと、
「すみません。誤りに行きます。」
と、子どもたちはユリの所へ行った。
「お弁当のこと、ごめんなさい。」
口々に頭を下げて言った。
「謝っても弁当は元には戻らないんだ。
それを忘れるんじゃないぞ。
もう2度とこんな事しないようにな。」
そう言うと、雄ちゃん先生は持っていたボールを
担任の先生に渡した。
「公共の場でのルールはちゃんと指導してください。
悲しい思いを残して帰るのはお互いイヤでしょ。」
「すみませんでした。」
「僕じゃなく、彼女に言ってください。」
雄ちゃん先生はユリの方を見ていった。
「ごめんね。」
謝ってもらってもユリの悲しそうな顔は
消えなかった。そりゃそうだ。
「よし!先生の弁当、半分やるよ。
一緒に食べよーぜ!」
そして、雄ちゃん先生がお弁当を開けた瞬間
「うわーーー!すごい。」
みんなの視線がお弁当に集まった。




