秋の嵐⑲
今日の晩ご飯は唐揚げ。
美味しくからっと揚がった。
「うめー!お前、メッチャ上手だな。」
「ありがと。」
美味しそうに頬張る雄ちゃん。
喜んでもらえて良かった、良かった。
唐揚げを食べながら、雄ちゃんはポツリと言った。
「お前さあ、俺のことメッチャ好きだろ?」
何ですか急に。そりゃ好きですけど。
「でもさ、それを今日は忘れてた。」
「どういう意味?」
「子どもらが騒いでるのを聞いて、
もしかして本当かもって思ってさ。
そんなわけ無いのに・・・」
「へー、雄ちゃんでも自信なくなるとき、あるんだ・・・」
「当たり前だろ。」
いつものきっぱりした態度が消えている。
こんな雄ちゃん初めて見た。
いっつも自信満々で、毅然としてて、
迷いなんて縁のない顔してんのに・・・
意外・・・
自分が疑ってたことを
何だか悪い事したみたいに思って落ち込んでる雄ちゃん。
まさかそんなことで元気がなくなるなんて
信じられない。
そんな雄ちゃんが何だかかわいくって
思わず、後ろからそっと抱きしめてしまった。
「雄ちゃんのバカ。」
耳元でささやくと
「うっせー。」
雄ちゃんはあたしの手をそっと握った。
「ちょっと、散歩にいかねーか。」
雄ちゃんが言った。
外に出ると、ひやっとした。
「うー、さぶっ。」
あたしがつぶやくと、雄ちゃんはあたしの手を握って、
黙って自分のポケットにそのまま入れた。
雄ちゃんのポケット、とっても暖かかった。
黙って歩いてると、自販機が。
雄ちゃんはコーヒーとミルクティーを買って
ミルクティーをあたしにくれた。
「あったかーーい!」
ほっぺにくっつけて笑顔のあたし。
それ見てニコッとする雄ちゃん。
「もう、帰ろっか」
「そうだな。」
季節はすっかり秋。冬の気配さえする。
あたしの部屋に帰った頃には
すっかり冷え切っていた。
雄ちゃんは、あたしのほっぺに手を当てて
「すっかり冷たくなっちまったな・・・
頭冷やすのにつき合わせて悪かったな。」
って言うから
「じゃ、あっためてくれる?」
って、雄ちゃんの顔見上げていった。
そしたら、雄ちゃんは
「今からマラソンすっか?」
・・・・・・・・・・・・
あたしマラソン大嫌い・・・
「冗談だよ。」
雄ちゃんは笑って
それからそっと抱きしめてくれた。




