秋の嵐⑱
「そのたいそうでない事のせいで
俺、すんげー気分悪いんだけど!」
雄ちゃん本気で怒ってる・・・
「ごめん、実は・・・」
あたしは昨日のことを話した。
雄ちゃんは黙って聞いていた。
そして・・・
「子供らの中ですっごい噂になってっから
俺、びっくりしたんだぞ。」
「信じたの?その噂・・・」
あたしは、ちょっと悲しかった。
「そりゃ、あたしだってそんな噂聞いたら
いても立ってもいられないと思うけど
そのまま信じたりしないと思う。」
あたしが言うと、雄ちゃんは
「いや、絶対パニックだな。お前忘れたのか?
今まで、どれだけやきもち妬いてすねたことがあったか・・・」
それを言われると・・・
「さあ、5時だ。今日は一緒に飯食いに行こうぜ!」
やっと雄ちゃんに笑顔が戻った。
あー、良かった。
でも、さっきは本気で恐かったな・・・
なんて思ってたら・・・
ケータイが鳴り出した。
ん?また久美からだ。
「もしもし?昨日はゴメンねー。」
「ほんとだよ!大変だったんだから!」
「ゴメンゴメン。それよりさ、
あかね、井上さんどう思う?」
「どう思うって・・・なんとも思わないけど。」
「井上さんから、あかねの連絡先聞きたいって
言われたんだけど教えていい?」
まったくー久美ってば・・・
「絶対ダメ。あたし、つき合ってる人いるから。」
「えーー?そうだったの?ごめーーん。
じゃ、今度紹介してね。」
「またね。じゃ。」
ポケットにケータイをしまうと
雄ちゃんと目があって、
「何?昨日のやつがお前に連絡したいって?」
って、にかっと笑った。
「お前、ほっとけねーな。まったく・・・」
雄ちゃんはあたしの頭にポンッと手をのせると
「お前は俺のもんだからよ。誰にも渡さねーぜ」
て、言うから
「雄ちゃんもあたしのもんだからね。」
って言い返した。
「おう、上等だ!」
あたし達は一緒に笑った。
「今日、お前の話聞くまで落ち着かなくて
疲れたぞ。おわびに何か作ってよ。」
雄ちゃんが言う。
「じゃ、何食べたい?」
「んーー、おでん。」
今からじゃ無理でしょ・・・味、しみないもん。
「じゃぁ、からあげ。」
ということで、今日の晩ご飯は唐揚げ。
やっぱり雄ちゃんと一緒がいいな。
「おい、子どもに今日の晩ご飯聞かれたら、おでんっていっとけよ。」
また、妙な噂が広まると困るもんね。
「分かった。」
あたし達はまた、顔を見合わせて笑った。
「じゃ、早く帰ろうぜ。」
あたしたちは、こうして帰路に就いた。




