秋の嵐⑯
徹夜した?雄ちゃんは
今日はさすがに疲れてた。
「今日は一人で帰るよ。」
と、久しぶりに夕方一人で帰る。
最近、秋のつるべ落としというか
ものすごく暗くなるのが早い。
あたしは急ぎ足で部屋へ帰っていた。
突然ケータイがなった。
「もしもし?あたし、久美。時間ある?」
「久しぶりー。時間なら大丈夫。」
友だちの久美から晩ご飯のお誘い。
このところつきあい悪かったから行くことにした。
約束の場所は、落ち着いたレストラン。
久美はすぐに見つかった。
が、
久美は一人ではなかった。
「久しぶりね。元気だった?
こちらは井上さん。そして原田さん。
あたしの会社の先輩なの。」
「初めまして・・・」
あたしはびっくり。
「座って。ごめんね。急に。」
その場の状態が飲み込めた。
これ、いわゆる合コンってやつ?
あたし、イヤなんだけど・・・
久美は楽しそうに話してご飯を食べてるけど
あたしは、なんか話する気分じゃなくなった。
こんなのサギでしょ。
そしたら、井上さんが
「すみません。急に呼び出してしまって。
久美さんが友だちを紹介したいと言ってくれたので
ぜひとお願いしたんですが
迷惑でしたか?」
と、優しい口調で話しかけてきた。
「いえ、迷惑ということは無いんですが・・・」
迷惑なんですが・・・とは言えなかった。
軽くお酒も入って
カラオケに行くことになった。
ま、嫌いじゃないし、つき合いますか・・・
そしたら、久美は
「ごめん、ちょっと抜けるね。」
と、原田さんと消えてしまった。
まちなさいよ!こら!
あたしは困ってしまった。
いくら何でも井上さんにこれ以上つき合うのは
まずいでしょ。
「すみません。そろそろ帰らなくちゃ。」
「そうですか。じゃ、駅まで送りますよ。」
あたしと井上さんは、駅まで歩いていった。
「茜さんは、先生なんですよね。」
あ、あかねってあたしの名前。
「そうです。小学校に勤めてます。」
「じゃ、子ども相手に大変ですね。」
「いえ、子どもたちとあたし、とっても仲良しなんです。」
「へー、いいですね。楽しそうで。」
なんて、にこやかに話ながら歩いていると・・・
「あーーー!先生!」
ビクッ!
なんと、塾帰りの6年生達。
「何してるの!デート?へーーそうなんだー!」
まずいところに・・・
「じゃ、僕はこれで。」
「さようなら。」
駅まで来たのであたし達は別の路線へ。
振り返ると、にやにやした6年生達。
「いいもん見ちゃったーー。みんなに報告しなきゃ!」
と、楽しそう。
ちょっと待ってよー。
違うって・・・
しかし、案の定、次の日の学校は
その話で大騒ぎになった。




