音楽会の季節⑰
雄ちゃんは、いろんな事を話してくれた。
あたしが心を閉ざしていた間のこと。
「あんなお前は、もう見たくねーからな。」
そう言って、あたしのおでこをツン。
「正直、あそこまでショックだったとは思わなかった。
あの会話で、たくましい想像力だよ。
俺なら、多分それほど深く考えないと思うけど・・・」
それはねぇ・・・
教えてあげようか、雄ちゃん・・・
「あたしね、多分自分が思ってるよりも
ずっと、雄ちゃんのこと不安だったと思うんだ。」
あたしは、この際吐き出してしまいたかった。
あたしだって、もう2度とあんな事イヤだし。
「雄ちゃんは、あたしのことどのくらい知ってる?」
「んっと、天然、
子どもっぽい
からかうと面白い
子どもとじゃれてると、先生に見えない
考えてることがすぐ分かる
で、頑張りやさん
子どもも俺もお前が大好き。」
・・・・・・・
褒めてもらってるのか、けなされてるのか・・・
「そうじゃなくって
今までどんな生活してたとか
趣味とか特技とか好きなものとか・・・・」
「子どもの頃から今みたいな感じで
本と音楽鑑賞が趣味でピアノがうまい。
好きなものは俺。どう?」
・・・・・・・・・あながち外れではない・・・・
「続きはあっちでやろう。」
雄ちゃんはあたしをベットに連れて行った。
「今日は、腕枕で聞いてやるから好きなだけ吐きだしな。」
至近距離で
「ほれ、言いたいこと言ってみろ。」
なんて雄ちゃんは言うけど
何だか何も言えなくなってしまった。
どうでも良くなってきて・・・
今はただ、雄ちゃんの温かさを感じていた。
今なら、何の迷いもなく
雄ちゃんの言葉も気持ちも信じられる。
そんなあたしの気持ちを察したかのように
「迷うんじゃねーぞ。迷ったらそのたんびに
捕まえにいくけどよ・・・俺を信じてろ・・・」
って耳元でささやいた。
「今までの事って、知らないこともいっぱいあるけど
これから知っていけばいいんじゃねーのか?
昔のことは気にするな。
って言ってもお前は気にするんだろうけどな・・・」
そう言って雄ちゃんは優しく笑った。
「お前はそんなやつだから、
もしまたほんとの元カノとか出てきたら
今回みたいになるかもしれねーな。
だけど、忘れるな。俺はお前しか見てないからな。
自信持て!」
そんなことを言って、ふと思い出したように
「それから、川上だけどな・・・」
一瞬雄ちゃんは迷って、そして思い切ったように
「あいつにも俺、好きだって言われたことあるんだ。」
といった。
「でも、もう固まるんじゃねーぞ。」
それは予想着いてました。
日頃の態度を見てたら分かるでしょ、普通。
「そうだろうと思ってた・・・」
一瞬その反応に雄ちゃんは驚いた。
「え、?冷静?」
不思議と、腕の中だとやきもち妬かない。
「腕の中だと耐えられるみたい。」
腕の中から雄ちゃんを見上げて言うと
「じゃ、いっつもこうしといてやろうか。」
って、ぎゅーって抱きしめてくれた。
うん。お願いします。




