音楽会の季節⑩
お昼が近づいて
お腹もすき始めた。
どこにも行かないこんな時間もいいな・・・
って思いながら、
あたしたちはパジャマを着替えて
通常モードに。
でも、もうちょっとあのままでも良かったな。
「なんだよ、まだ足りないって顔して。」
雄ちゃんが笑いながら言う。
「またな。音楽会が終わったら、
俺がちゃんと慰労会してやっから。」
そう言って、あたま なでなで。
あたしが何も言わなくても
そういうことだけは敏感に察してくれる。
そう、音楽会まであと6日。
うー、仕事の話はこの際忘れよう。
「ねえ、吉野屋の牛丼って食べてみたいんだけど。」
お昼ご飯の相談してて
あたしはつい言ってしまった。
「行ったこと無いのか?」
雄ちゃんはびっくりしたように言う。
実はないんです。
何か入りにくくって。
女の子だけで行きにくいとこってあるよね。
牛丼もそうだけど、駅の立ち食いソバとか
屋台のラーメン屋さんとか
行ったことない所っていっぱいある。
「そんな所でいいんなら、いくらでも、つれてってやるぞ。」
ということで、吉野屋初体験。
確かに早い。びっくり。
ハンバーガーよりファーストフードって言えるんじゃないか?
だいたい、あたし、カウンターって座ったことがなかった。
これも初めて。
嬉しそうに食べてるあたしを見て
「ほんと、お前みたいなやつ初めてだよ。」
って雄ちゃんは言った。
それそれ、そのセリフ。
確か前も言った。
無意識かもしれないけど
「今までの彼女にはいなかった」
ってことでしょうが・・・
深読みしすぎ?
「お前もしかして、やったこと無い事って
めちゃくちゃあるんじゃねーの?」
吉野屋で喜ぶあたしを見て
雄ちゃんはそう言った。
「ゲーセンとか行ったことある?」
「あるよ。やったことないけど。」
「なんだそれ?今から連れてってやるよ。」
あたしは、ユーフォーキャッチャーもやったことがない。
絶対取れそうにないもん。
またまた雄ちゃんがあきれる。
「信じられねーやつ・・・」
雄ちゃんはユーフォーキャッチャーで
「これ、取れるぞ」
と、カバのぬいぐるみを取ってくれた。
「ほい、プレゼント。」
「すごーい!なんでとれるの?」
びっくりするあたしをみて
ちょっと自慢する。
「うまいだろ?お前もやってみな。」
無理です。絶対取れません。
ゲームもいろいろあった。
ぷよぷよ好きだったなー。まだあるんだ・・・
って、眺めてると、
「やってみる?」
って雄ちゃんが100円入れた。
あたし、ほんとへたくそなんです。
あっという間に上の方まで詰まってきた。
「ちょっと、代わって。」
雄ちゃんがポンポンってボタンを叩いてるうちに
あたしが積み上げたスライムが
あっという間に消えていった。
「すごいー!」
「ほれ、交代!」
代わってもらったら、またすぐ上まで詰まってしまった。
ゲームオーバー。
「ほんと、お嬢様で育ってんな・・・」
雄ちゃんは、面白そうに言う。
「あー、これなら出来るかも。」
あたしが立ち止まったのは
太鼓の達人。
「どうやってやるの?・・・」
「画面に合わせて太鼓たたきゃいいんだよ。」
ということで一緒にやってみた。
リズム感には自信があるのさ!
ドンドンドン ドドドドドン・・・・
これは面白い。楽しかったーーー。
「さすが、音楽担当!」
へへへーーー
ゲームセンターって結構楽しい。
ゲーセンイコール不良の遊び場って思ってたあたし。
あたしの知らない世界がたくさんあるんだな。
「今度はどこ連れてってやろうかな・・・」
雄ちゃんは面白そうにあたしを見ながら言った。
あなたとなら、どこへでも




