音楽会の季節②
ある日の放課後。
「毎日お疲れさん。音楽会まで大変だなあ。」
雄ちゃんは、ふーーってため息ついて
コーヒー飲んでるあたしに言った。
「はい、ご褒美。」
雄ちゃんは、あたしの机の上にそっとチョコレートをおいた。
「ありがとう。」
ぱくっ。ん?おいしい・・・
初めて見る包み紙。
「これうまいだろー。昨日見つけたんだ。」
雄ちゃんもぽいっと口に入れた。
「もう一個やるから元気出せ!」
雄ちゃんはそう言ってもう一つ
チョコレートをあたしの机の上に置くと
教室へ行った。
ふと振り返ると・・・江藤先生???
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
いやーーよくないと思います・・・
出来ればあたしは遠慮したい・・・・
「ついてきてくれる?」
こ、こわい・・・
江藤先生についていったところは更衣室。
えーー、やめてよーーー。こんな所連れてきて
次は修羅場って相場が決まってるでしょ。
「なんでしょう?」
入り口であたしが声をかけると、
「いいから入って!」
はい!
おそるおそる更衣室に入る。
江藤先生はいきなり言った。
「ねえ、なんであなただけ雄ちゃん先生と仲良く話ができるの?」
そんなこと、雄ちゃんに聞いてください
とは言えなかった。
「さぁ?」
「私は、今、彼の顔見るのだけが楽しみで
学校に来てるの。なのに・・・」
ふーーん。
あたしはだんだん腹が立ってきた。
「あたしだって同じです。でもあたしは子どもたちも
この仕事も好きなんです。」
「じゃ、彼は無くてもいいじゃない。
私から取らないでよ。」
何いってんの?この人・・・
そんなに楽しいことがない学校ならやめればいいのに。
「どうしていっつもあなたばっかりなの!!」
江藤先生の声が廊下まで響く。
放課後でよかったーーー。
「いい加減にしてください!あたし、もう行きますね。」
そう言うと、あたしは廊下に出た。
「待ちなさいよ!」
追いかけてきた江藤先生があたしの腕をつかむ。
「まだ話は終わってないでしょ!」
「もう話しなんてありません!」
振り払おうとしてもなかなか離してくれない。
「何やってんだよ!!!」
たまたま雄ちゃんが通りがかった。
「いくぞ!」
雄ちゃんは、あたしに言う。
「あんまりいじめちゃダメですよ。」
雄ちゃんは、江藤先生にそれだけ言うと
職員室に戻り、
「またつかまらないうちに帰ろうぜ。」
と大急ぎで帰り支度を始めて、
「お先に失礼しまーす!」
と元気よくあたしを引っ張って学校からつれだした。
「何があったんだ?」
心配そうに雄ちゃんが聞く。
言うべきか?言わざるべきか?
それが問題だ・・・???




