ライバル出現?①
10月になって産休に入る先生がいた。
今日は、代わりの臨時の先生が着任。
校長が職員朝会で紹介した。
「今日着任された、川上先生です。」
あたしより少し若い先生。
「初めまして!よろしくお願いします!」
元気よく挨拶して、職員室を見回す。
一瞬、はっとした顔になった。
何に驚いたかというと・・・
休み時間になった。
川上先生は初めてなのでコーヒーの場所を
教えてあげた。
「ありがとうございます!」
にこっと笑って言われると
あたしも嬉しくなった。
・・・・が、あたしの笑顔は
次の瞬間、うち砕かれた。
「先ぱーーい!」
川上先生がにこやかに、甘えた声を出して
駆け寄っていったのは・・・・・・・
・・・・・雄ちゃんのとこ。
そう、職朝で驚いたのは雄ちゃんがいたからだった。
「偶然だな。」
雄ちゃんは懐かしそうに言った。
「ほんとにーー。先輩お兄さんっぽくなって
びっくりしましたーー!」
って、嬉しそうに笑う。
「また、前みたいにカラオケ行きましょ!ねっ!」
「そうだな。」
何なんだーー。この展開はーーー!!!
雄ちゃんと川上先生は
大学の同じサークルだったそうで
仲良かったらしい。
だから???
ここは職場なんですけど!!!
あの、しかも職員室なんですけど!
子どもも何人か見てるんですけど!
なのに雄ちゃんは・・・
大学時代の仲間の話を
川上先生と楽しそうにしてる。
あたしの知らない頃の雄ちゃんが
そこにいた。
あたしには入り込めない世界だった・・・
江藤先生が
「なにあれ。しんじられない・・・
感じ悪ーい!」
と、明らかに敵意むき出しで
横目でじっと見ていた。
あたしは・・・
せっかく入れたコーヒーを
机の上にそのまま残して
黙って職員室を後にした。
この前、江藤先生とのことで
感じたやきもちとは全く違う、
言いようのない悲しみで
何だか胸がいっぱいになった。
昼休みに6年生がいつものようにやってきた。
「なあなあ、先生、
川上先生と雄ちゃん先生、
見た?」
ズキッ。
痛い所に触れるんじゃない!
そんなことは気にせず
「メッチャ仲ええやろー」
「彼女なんかなぁ。」
「先生なんか知っとる?」
そう聞かれて、あたしは
「大学が一緒やったらしいで。」
かろうじてそう答えた。
「ちょっとゴメン。
職員室に用事。」
って音楽室を出て・・・
更衣室にそっと入ると
・・・・・
タオルで顔を押さえて
声を立てないように泣いた。




