スタート⑮
二時間目、音楽室に6年生がやってきた。
良のクラス。
雄ちゃんは昨日、荒れるぞって予言したけど
いつも通り変わりはない。
・・・と思っていたら・・・
良の顔が固まった。
そして、机の上につっぷしてしまった。
「どうしたん?気分悪いの?」
顔をのぞきにいっても反応しない。
仕方ないから、そっとしておいた。
が、五分たってもそのまま・・・
10分、20分・・・そのまま。
とうとうそのまま音楽の時間が終わってしまった。
あたしは、良をそのまま残して
ほかの子達を教室に帰らせた。
「どうしたん?何かあったん?」
良は黙っている。
「今までそんなことなかったやん。」
何もいってくれない。
そのうち・・・
「ごめん、先生。俺もう帰る。」
そう言うと椅子から立ち上がろうとした。
「ちょっと待ち!まだ話は終わってない!」
と、良の手を捕まえた。
良はそのままじっとしている。
あたしの手を見つめたまま。
・・・・・
その視線の先には
昨日雄ちゃんがはめてくれた指輪があった。
もしかして、これのせい?・・・・・
雄ちゃんが言ったのはこのこと?
だけど何で・・・
良は結局あたしに何も言わないまま
教室に戻っていった。
その後
呆然としていたあたしの所へ
雄ちゃんがやってきた。
「な、俺が言ったとおりだろ?」
「どういうこと?」
「お前も鈍いなあ・・・」
あきれたように雄ちゃんが言う。
「わざわざ解説しなくても
分かりそうなもんだけどな。」
そう言うと、
「後は俺に任しとけ。」
と、音楽室を出ていった。




