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スタート⑭

ここは覚えがある。


いつか雄ちゃんが連れてきてくれた


山の上のレストラン。


今日もランプの光が暖かい。


「さ、行くぞ。」


雄ちゃんはあたしの手を取って


レストランに入っていった。





あたし達がこの前座った席は


Reserved


札がおいてあるので座れない。


あの席良かったのにな・・・


そしたらお店の人が


あたし達をその席に案内してくれた。


びっくりしてたら雄ちゃんがピース。


「あの席、良かっただろ?」


そして、テーブルには


今日は赤いばらとかすみ草。


それからキャンドル。


揺れる炎を見てると


催眠術にかかりそう。


こういう雰囲気にあたしは弱い。





今日もとってもおいしい料理だった。


最後のデザートは


あたしの大好きなチョコレートケーキ。


幸せそうにケーキを食べてるあたしを見ながら


雄ちゃんは言った。


「お前、ポケットの中になんか入ってるだろ。


出してみな。」


・・・ハンカチは入ってるけど


いきなり生活検査ですか?


「ハンカチしか入ってないよ・・・」


と、ハンカチを出すと、


カラン・・・・


テーブルの上に何か落ちた。



ハートの付いた指輪・・・


なんで?あたしのじゃないけど・・・


「ちょっとかしてみな。」


そういうと雄ちゃんは指輪を受け取り


「はい!」って右手を出した。


「なに?」


「お前の手もかせ。」


なに?と右手を出すと


「そっちじゃねーよ。」


ドキドキドキドキ・・・・


そっと左手を出すと雄ちゃんはその手を取って


さっきの指輪をすっと薬指にはめた。


ぴったり・・・・


「外すんじゃねーぞ。」


「これ・・・・」


「プレゼント。」


そう言って雄ちゃんはニコッとした。





めちゃくちゃ嬉しかった。


こんなことがあるなんて


思ってもみなかった。


大好きな雄ちゃんからの


突然の贈り物。


それも、左の薬指への指輪。


幸せで、嬉しくて、あたしは・・・・


泣き出してしまった。





「音楽室で、何話してたんだ?」


レストランを出て


前も見た綺麗な夜景を見ながら


雄ちゃんが聞いた。


「雄ちゃんもやきもちやいたでしょ。」


と、ちょっと笑いながら言うと


「やいた。でも、お前は俺が好きだろ?


だから、心配はしねえ。」


「そんなこと言ってーー。


顔引きつってたよーーー」


とからかう。


「あのね、良、覚えてる?あの子


いま、あれてるんだって。」


「良が?あいつ真面目なやつなのにな。」


「それで、お母さんが心配して


山本先生に相談したんだって」


「ふーん」


「音楽室によく来るけど、あたしの前では


そんなにあれてないし、ちゃんとしてるんだけどな。」


雄ちゃんは何か考え込んでいる。


「音楽室で何の話してるんだ?」


「いろいろだけど、今日は恋の話。


良はありさちゃんと両思いだったとか。」


「良は何か言ってたか?」


「それは前の話だって。」


雄ちゃんは何か考え込んでいる。


「で、今、誰が好きとか言ってたか?」


「言えないって言ってた。」


良は去年、雄ちゃんのクラスだった。


雄ちゃんはじっと考えている。


何か思い当たることがあるのかな?


「良はよく音楽室に行くのか?」


「よく来るよ。」


・・・・・


雄ちゃんはじっとあたしの顔を見ると


「俺、多分、良が変な原因はお前だと思うぞ。」


え?????なんで???


「自覚無いのか?」


「あるわけないじゃん」


何を根拠にそんなことを・・・


そして・・・雄ちゃんはもう一つ、


「たぶん、明日音楽の時間、あいつあれるぞ。」


と、予言。


そんなわけないでしょ。


今までそんなこと無かったのに。


あたしは信じなかった。


何であたしのせいよ・・・


ところが、


雄ちゃんの予言は


・・・・当たってしまった。


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