スタート⑪
雄ちゃんの言うとおり
あたしは部屋に戻った。
「もう外してよー」
「そんなに簡単には外さないっていっただろ」
雄ちゃんったら・・・
「はい、帰ってきたよ。次は?」
「まあ座れよ。」
あたし達はソファーに座った。
「座りましたけど?」
「よし、じゃあ、よーーーーく聞け」
そう言うと、雄ちゃんはあたしの目を
真っ正面から見つめて言った。
「俺を信じろ!絶対に疑うな。」
・・・・・・
「俺は絶対裏切ったりしないから。」
・・・・・・
「信用できないか?」
雄ちゃんは真面目な顔で問いかける。
「分かって無いなぁ・・・・」
あたしはため息混じりに言った。
「何が?」
「あたしの気持ち。別に疑ってるわけじゃない。」
「だったら、今日みたいに怒ること無いだろ?
俺のこと信用してないから怒るんじゃねーか。」
「だから、違うってば!」
「何が違うんだよ!」
「もういい!」
あたしは、涙が出そうになってきた。
信用してないわけじゃない。
雄ちゃんがいつだってあたしのこと
好きでいてくれることを疑ったことはない。
ただ、目の前で他の人となかよくするのを見るのが
どうしても耐えられないだけ。
まして仕事だったら止めることは出来ない。
それも分かってるけど
感情が納得できないだけ。
どうしようもないから悲しくて
ぶつけようのない気持ちに
困ってるだけ。
ただ、それは雄ちゃんには
分かってもらえないだろう。
だからもういい・・・・
この話はしたくない・・・・
「よくねーだろ!」
雄ちゃんは珍しく声を荒げた。
思わずあたしはビクッとした。
「思ってること言ってみろよ。
言わなきゃ、わかんねーだろーが!」
こんなに怒る雄ちゃん
初めて見た・・・・
「ほれ、言ってみな、聞いてやっから。」
「それに・・・」
雄ちゃんはにこっと笑って
「言わなきゃ外してやんねーぜ。」
あたしは覚悟を決めた。
「イヤだったの。雄ちゃんが江藤先生と
仲良くしてるのが。
仕事だからって思っても
頭では分かるけど
気持ちがついてこないの!
雄ちゃんが悪い訳じゃないけど
あんな風な雄ちゃん見るのがイヤだったの!
自分でも変だと思うけど
でもどうしてもいやなの!」
そこまで言うと
抑えきれなくなって涙がポロポロ
止まらなくなった。
「バカ・・・・・変な心配すんな」
「だって・・・・」
雄ちゃんは、黙って鍵を出して
あたし達をつないでいた手錠を
カチンと外した。
そして、優しくそっと抱きしめてくれた。
暖かい胸に抱かれて
よけい涙は止まらなくなったけど
泣きやむまで雄ちゃんはそのままでいてくれた。
「お前だってつらかったかもしれないけど
待ってる俺もつらかったんだぞ」
「ごめんなさい・・・」
「ほんとにそう思う?」
雄ちゃんはあたしに問いかける。
「うん。」
「じゃぁ、わび入れてもらおうか。」
???
突然雄ちゃんはあたしを押し倒した。
「今日は、ちゃんと償いしてもらおー。
文句はねーよな!」
今日の雄ちゃん、どうしたの?
いつもの優しい雄ちゃんじゃない・・・
でも・・・・
こんな雄ちゃんも好き・・・
あたしは、
激しい情熱の嵐の中に投げ出されて、
必死で雄ちゃんにしがみついた。
「雄ちゃん・・・大好き・・・」
夢うつつでつぶやくと
「俺も好きだよ・・・」
耳元で甘く囁く雄ちゃん。
次の朝・・・
あたし達はそろって目の下にクマを作って
出勤することになった・・・




