スタート⑦
部屋を出て、
雄ちゃんと車でどこかに出発。
どこに行くのか聞いてないけど・・・
「いいから俺に任せとけ。」
雄ちゃんは行き先を教えてくれない。
まぁ、いいけど・・・
着いたのは山の上にあるレストラン
柔らかいランプの明かりがともされた
素敵なレストラン。
こんなところがあったのか・・・
テーブルの上には一輪のピンクのバラの花とカスミソウ。
雄ちゃんは窓際の席に座る。
窓から見えるのは
本当に宝石箱をひっくり返したような
きらきらした夜景。
「きれい・・・・」
つい見とれてしまう。
「いいだろ、ここ。」
そういって雄ちゃんは優しく笑った。
食事も最高においしかった。
なんて素敵なところだろう・・・
「ちょっと歩こうか」
店から出た雄ちゃんについて少し歩く。
淡いランプの明かりが道を照らしている。
雄ちゃんは黙ってあたしの手をつないだ。
そのまま歩いていると展望台に出た。
さっき窓から見たのと同じような夜景が
目の前に広がっている。
いろんな色がキラキラして
とってもきれい。
なんて素敵な夜景なんだろう。
周りには誰もいない。
こんなにきれいな夜景を
あたしたちだけで見てるなんて
すごい贅沢・・・
「ここは、あまりみんな知らない穴場。きれいだろ・・・」
「うん・・・」
「ここなら、誰にも邪魔されないな・・・」
そう言うと、雄ちゃんはあたしの肩を
そっと抱き寄せた。
そして・・・
「ひとりで泣いてんじゃねーぞ」
あたしにささやいた。
「はい・・・」
「なんで泣いてたか、言ってみな」
「あたし・・・・」
「どうした?」
「雄ちゃん好きなの。」
「それは知ってる。」
「今日、江藤先生と楽しそうに話してたでしょ?」
「そりゃ話くらいするだろ。」
「分かってるけど・・・ごめん、ただのやきもちです。」
「バカだな、お前。そんなことで泣いてたのか。」
雄ちゃんは笑ってる。
あたしには笑い事じゃなかったのに。
「あのな、お前は自信持てよ。
愛されてるのはお前なんだからよ。」
そういうと雄ちゃんは思い切りギュって
抱きしめてくれた。
きれいな夜景と素敵な雄ちゃんに
心は溶かされて今にもくずれそう・・・
そして、とどめ・・・
柔らかな雄ちゃんの唇に完全によろめいて・・・
だめです。もうブレーキが利かない。
「今日は一緒にいてくれる?離れたくない・・・」
「しょうがねえなあ」
あたしは雄ちゃんにしっかり抱きついて
胸のドキドキに耐えていた。
「どうしたんだ?おまえってそんなだったっけ?
あんまり抱きつくと、俺、
止められなくなっても知らねーぞ・・・」
「あたし、自分でもう止められない・・・」
「じゃあ・・・」
雄ちゃんは突然荒々しくキスしてきた。
お互いをむさぼるようなキス・・・
しばらくして
「行くぞ。」
と、雄ちゃんはあたしの手を引いて歩き始めた。
「どこへ?」
「いいとこ」
そして、
「今日は、離さないからな・・・」
とささやいた。
「つまんねえやきもちなんか
忘れさせてやるからさ」
そして、
雄ちゃんが言ったとおり
その夜、あたしのつまんないやきもちは
どこか遠くへ飛んでいった・・・




