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スタート④

魔法にかけられて


熱くて最高に甘い夜を過ごしたあたしは


不覚にもそのまま眠ってしまった。


あったかな雄ちゃんの胸に


催眠術もかけられたかな?





ふと目覚めると


「おはよう、め、覚めた?」


いきなり雄ちゃんのどアップ。


うそー、もう朝?


え?朝まで一緒に?


・・・・・・・・・・・・・





一応あたしも教師ですから・・・


雄ちゃんあなたもです・・・


あたし、真面目なので


これはまずいと思うのですが・・・・


こんなこと、いけないでしょ・・・





複雑なあたしの顔を見て


「そんな顔するなって。俺が守ってやっからよ」


ここで、あたしが大好きな牧野つくしなら


「あたしは守ってもらいたくなんかない!」


となるんだろうけど


あたしは、こういうセリフにはめっぽう弱い。


ためらいは、一瞬で消え去った。


さすが雄ちゃん。





「じゃあ、また学校でな!朝飯、うまかったよ」


そういうと、


すばやくチュッ!


「ご飯のお礼な!」


で、着替えに帰っていった。





雄ちゃんがいなくなった部屋は


元に戻っただけなのに


しーんとして


・・・・・寂しかった。


ちょっといただけなのにな・・・


でも・・・ほんとに今日も来るのかな・・・


なんだかあたしの心のねじがゆるんできた。





今日は授業が終わると


一時間休みをもらった。


なぜかって?


ねじのゆるんだあたしは、買い物に・・・


何買いに行くかって?


決まってるじゃん、ハンバーグの材料。





5時過ぎにハンバーグと


カボチャのポタージュスープは


できあがった。


よかった。おいしくできた。





それから10分後。


チャイムが鳴った。


「はーい。」


こんなに早く学校から帰る訳ないから


雄ちゃんじゃないはず。


宅配かな?


ドアを開けてびっくり。


雄ちゃんだ。


「どうしたの?こんな時間に?」


尋ねるあたしに


「それは俺のセリフだろ!」


???


「職員室に戻ったら、帰ったって言うから


びっくりした。調子悪いのかなって」


そんなー・・・


「で、何かあったのか?」


うつむくあたし。


「あった・・・・・・」


「何?」


「ネジが外れた・・・」


「え?どこだよ。あがるぞ!」


きょろきょろ見回して、


「どこもはずれてないけど・・・


・・・あーーーうまそーハンバーグだー」


そして、腑に落ちない顔して


「おまえ、ハンバーグ作りに帰ったんじゃないだろーな。」


「・・・・・・・」


「何で?まさかそうなの?」


なんだか雄ちゃんの顔見るのが恐い。


だって声が怒ってるもん。





しばしの沈黙の後


「じゃ、俺帰るわ・・・今度からずる休みすんなよ」


ちょっと待ってよ。


そりゃないでしょ。


「まって!」


雄ちゃんは立ち止まった。


「なんだよ。」


「ネジはずしたのは雄ちゃんじゃないの!」


「何で俺?」


「昨日から一緒にいて、あんな事初めてで


今日は全然落ち着かなくて・・・・・」


「一日中、雄ちゃんのことが頭から離れなくて


苦しくて・・・なのに・・・」


雄ちゃんはあたしをじっと見てる。





あたしはなんだか苦しくて悲しくて


切なくて涙が出てきた。


雄ちゃんはそんなのが嫌いだ。


だけど、涙は止まらない。


「知ってるよ、うじうじした女はうっとうしいって


前言ってたもんね。こんなのいやだって思ってるでしょ。


だけど雄ちゃんのせいだからね!


雄ちゃんのせいであたしの心


自分でどうしようもないんだからね!


こんなに誰かを好きになったことなんて


今までになかったから


コントロール効かないもん!


こんなふうにしたのは


雄ちゃんの・・・・・」


「わかった!」


暴走するあたしの言葉を雄ちゃんは遮った。


「分かってないよ!


だからそんなに怒ってるんでしょ!


何であたしが怒られなきゃいけないのよ!


あたしは・・・」





うっ・・・・反則技・・・・


雄ちゃんはあたしの言葉を唇で遮り


思い切り抱きしめた。


「・・・ずるいよ、そんなの・・・」


体から力が抜けていく。


とっても暖かくて


また魔法をかけられる。。。


「分かったから。な、」


耳元で囁く雄ちゃんの声。


なんて心地よい響き・・・・





どのくらい抱きしめられてただろう・・・


静かな時間が過ぎ


「ハンバーグ食べようかなー」


と、雄ちゃんがつぶやいた。


「でも、約束な。今度から勝手に帰るな。


一緒に帰ろうと思ってたんだから。


心配したんだぞ・・・」


「はい・・・」


「へー、素直じゃん。いつもそうだとかわいいのにな」


え、どういう意味?


「じゃ、この話はもうおしまい!


あー、腹減ったー」


と、雄ちゃんはいつものようにニコッとほほえんだ。


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