序章
初作品です。よろしくお願い致します。
中三のある日曜日、俺たち野球部は部内での紅白戦をしていた。俺―橘 龍はここ一帯でかなり有名な左投手だった。球速、キレ、コントロール、どれをとっても高校生レベルだったし、俺はナックルという球がなげれる。しかしナックルはかなりの握力を使うのでそうそう投げれる球じゃない。(自分が投げれてすごいと思う)
そのためいままでは練習以外では極力投げないようにしていた。でももうすぐ俺たち三年生最後の大会があるので、今日の試合で実戦でのナックルを投げる練習をしていた。
九回裏、後一人抑えれば勝ちという場面で左バッターボックスに入ったのは俺の親友の相川 彰だ。彰とは幼稚園の頃からの付き合いで、かなりのバッティングセンスをもっている。普段は俺とバッテリーを組んでいる。
一球速スライダー ストライク
二球目ストレート ストライク
そしてこれが最後だとばかりに思いっきり腕を振ってボールを投げた。
今日の試合で最速の球だろう。135kmものストレートが放たれた。
しかし今までにナックルを投げていたせいで握力が最後まで入らず、球がすっぽ抜けてしまった。
その球は彰の顔目がけて真っすぐとんでいった。
一瞬のできごとだった。
気が付くと彰は右目をかばいながらうずくまっていた。
手の指の間から血が溢れだしている。
そして彼はその日から右目の光を失った。