生き延びた一人の英雄
地下通路の非常口から外に脱出し、プルウィウス王国へと歩く者が一人。あと一〇〇メートル先にプルウィウス王国の検問が見える。
「はぁ、はぁ、はぁ……。くっそ……。まさかここまでしてやられるとは……」
腕が折れ、肝臓に大きな蓄積を負い、歩くのもやっとの状態。
「ヨハン隊長! どうしたんですかその怪我!」
検問にいた兵士が男のもとに駆け寄る。
「はぁ、はぁ、はぁ……。第一作戦は失敗に終わった……」
「そ、そんな。えっと他の兵士は?」
「ここに戻ってきていないと言うことは、俺以外全滅したらしい……」
「そ、そんな……。ヨハン隊長が率いていた兵が全滅。ヨハン隊の者達もですか?」
「ああ、そうだ。一人の男に壊滅させられた……」
「う、嘘ですよね……。だ、だってヨハン隊は過去にルークス王国の聖騎士を何人も倒してる超優秀な部隊じゃないですか。そんな部隊が、なんで……」
「相手が馬鹿みたいに強かった……。それだけだ」
「な、名前は何て言うんですか。今すぐ連合国のブラックリストに乗せないと」
「名前はわからない。だが、顔はわかる。俺が言う特徴を今すぐ似顔絵捜査員に伝えろ」
「は、はい!」
「黒髪の短髪、顔は童顔。あと小顔だ。眉は細め。目は二重の切れ長。瞳の色も黒だ。歯並びは良い。唇は薄い。鼻がそこはかとなく高く、全体的に好青年。年齢は……ざっと一八歳ってところか」
「わかりました。えっと、名前のところはどうしましょうか?」
「通り名でいい。そうだな……、ダイング・ソルジャーでいい」
「ダイング・ソルジャー……。死にたがりの義勇兵ですか?」
「ああ。そうだ。ダイング・ソルジャー。『死にたがりの義勇兵』だ。奴を見たら注意しろ」
「はっ!」
――ダイング・ソルジャー。次会った時は目にもの見せてくれる。
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