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死にたがりの義勇兵。~死にたいのに、どんな逆境でも生き残ってしまう。そんな才能を持った主人公が多くの者を死ぬ気で救っていく物語~  作者: コヨコヨ


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誰かの指金

「では、私は軍法会議に出席してきます」


 ルーナははきはきと言う。


「ん? 軍法会議……」


「今回、私達に無理やり死地に行かせ、貴族の子息の救出作戦を放棄した、上級騎士指揮官レナード・マルコスを訴えたんです。運が良ければ、大金が舞い込んでくるでしょう。ま、レナードの降格は絶対でしょうが……。あぁ、キースさんにも見せたかったですね、私達が第三幽閉施設から帰って来た時のレナードの顔を……」


 ルーナは微笑み、中々悪い顏をしている。まぁ、死にかけたんだ。たっぷりいたぶって来てもらおうじゃないか。


「じゃあ、その何とか会議で泣き顔のレナードをしっかりと見てきてくれ。その後、笑い話として俺に聞かせろ」


「わかりました。では、行ってきます」


 ルーナは病室を出ていく。すると無音の病室に逆戻り。


 俺は白い天井を見上げ、左に視線を向けると息をのむほど綺麗な街並みが広がっていた。建物はほぼ汚れておらず、高級感溢れる白や黒、赤茶のレンガなどを使用しており、俺の知っている街じゃなかった。


「は、はは……。これが王都……。王都の家一軒で下町の家は何軒建つんだ……」


 俺は朝に目覚めたらしく、朝食が運ばれてきた。


 運んできたのは超絶美人な看護師で胸と尻がデカく、俺の血圧が上がる。


 料理はパン粥に牛乳、魚のソテー、ふかし芋だ。どれも質が良く、腐っている料理は無かった。左手でフォークを持ち、パン粥を食べる。


「うまぁ……。料理人さん、看護師さん、ありがとうございます……」


 俺がパン粥を食べて涙すると、看護師がくすくすと笑っていた。何か面白いことでもあったのだろうか。まぁ、バカにされているだけかもしれないがな。


 朝食を得て元気になった俺は体を動かすことにした。とりあえず、部屋の中を歩く。

 ずっと横になっていたせいか、体があまりにも動かない。

 躓いてこけ、看護師さんに助けてもらうという情けない姿を何度も見せた。だが、そのたびに歯を食いしばって立ち上がり、歩く。


「はぁ、はぁ、はぁ……。歩けないなんて情けなさすぎて笑っちまうぜ……」


 俺は汗をどっと掻き、入院着の胸元を開いて汗を乾かす。点滴が打たれていないということは体の内部は無事と言うことだろう。

 骨や外傷さえ気を付ければ、身動きは取れる。


 少し休んで動き、少し休んで動きの繰り返し。それだけで、一週間後には普通に立って歩けるようになった。


 体の回復が異様に早いと医者も驚いているようだ。ただ、右手が治るのは時間が掛かった。

 そのため、体を一人で拭くのが難しく、看護師さんにやってもらう。毎度毎度申し訳ないのだが、大きな胸が体に押し付けられると俺の下半身が疲れを知らずに立ち上がってしまう。もちろん全身拭かれるわけだから、パンツも脱ぐわけだが、俺の俺が看護師さんに毎度見られてしまい恥ずかしい……。


「あ、あの……、毎度すみません……」


「いえ、気にしないでください。今日は胸と口、どっちにしますか?」


「…………両方で」


「もぅ、欲張りさんですね」


 ここの病院の看護師さんは全員卑猥だ。俺の担当になる人は皆、胸がデカく、大人っぽい。俺の性癖に突き刺さっているので、誰かの回し者の気がしている。まぁ、もの凄くありがたい。泣いて感謝しよう。ただ、問題だったのは……。


「今日は私が担当します」

「いえ、私が担当します」

「ちょ、あなたは昨日担当したでしょう」

「七日に一度って話したじゃないですか」

「七日に一度じゃ、キースさんの成分が足りませんよ」

「もっとキースさんと一緒にいたいです~」


 七日に一人看護師さんが変わるのだが、その人たちが全員押し寄せてきててんやわんや。いったいどうしたというのだろうか。話しを色々聞くと、俺が鍛錬で病室の外に出て、多くの者を助けている場面を見てもっと俺を助けたくなったらしい。

 こんなご褒美が貰えるなんて、何とも愉快な場所だなと思っていると扉が開く。


「けっ、デカい胸に鼻の下を伸ばしてくれちゃってまーに。皆さん、今のキースさんにそんな沢山人では必要ないでしょう。さっさと出て行ってください」


 機嫌が悪そうなルーナは病室に入って来て、パイプ椅子にドカッと座る。


「ル、ルーナ様……。招致しました」


 看護師さん達は病室を出ていき、俺とルーナだけになった。


「今日はご立腹だな。どうかしたのかよ」


「誰のせいで怒ってると思ってるんですか。そんなに巨乳がいいんですか、巨乳が」


「なんだ、やっぱり貧乳なのを気にしてるのか?」


「き、気にするなと言う方が無理な話です。私も一八歳の立派な女性なわけですからね。母は大きいのに、私は魔力のせいで成長が遅れているのか、未だにぺったんこ……、ではなく、そこはかとなく膨らんでいるんです!」


 ルーナは胸を張り、言い放った。だが、膨らみはどこにも見当たらない。


「そうかい……。ま、両者共に死に損なったことを喜ぼうじゃないか……。にしても、もう七日経ったのか。時が流れるのは早いな」


「それを言うなら、キースさんの回復力も異常ですよ。全治三カ月が一ヶ月に縮まるなんて、普通あり得ません。どんな体をしているんですか?」


「ん、見るか?」


 俺は入院着を脱ぎ、体をルーナに見せようとする。


「なっ! ちょ、いきなり脱がないでください。そう言う意味で言ったわけじゃありません。キースさんが良い体をしているのは十分知っていますから入院着を羽織ってください」


 ルーナは両手を顔の前に突き出し、俺の体が見えないようにする。


「んで、ルーナ。今日は何しに来たんだ?」


「今日はですね、キースさんのお見舞いに来たいと言う子供達を連れてきました」


「子供達?」


「皆さん、入って来ていいですよ」


 ルーナが合図を出すと病室の扉が横に動き、五名ほどの子供がなだれ込んできた。そのまま俺のベッドに飛び乗って来て、抱き着いてくる。皆、ツルツルピカピカの良い子供服を着ており、貴族の子供で間違いない。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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