プロローグ
「はぁ、はぁ、はぁ……。ここで死んだら、最高に気持ちいんだろうな……」
鉄筋コンクリート塀の向こうから聞こえる耳を劈くほどうるさい大量の銃声音、鼻の奥を焦がすほど熱い硝煙、隣から微かに香る女の汗のにおい……。男にとって興奮するなと言う方が難しい状況だ。
「はぁ……、またそんなことを言う……。でも、今回ばかりは同感ですね。ただ、まだ死ぬわけにはいきませんよ。作戦の遂行が私たちの責務です。私が活路を開きますから、続いてください」
金色の長髪を首筋辺りで纏めたポニーテール。穂先が地面に擦れそうなほど長く、綺麗な輝きを放っていた。
顔に似合わず、銀色の鎧を身にまとった小さい女。
国で七番目に強いと豪語する聖騎士様が俺に向って先に行くと言い放った。
「おいおい……、こんな死地まで来て、俺に先に行かせてくれないのかよ……。そりゃないぜ、指揮官さんよ」
「あなたは単体戦の方が得意でしょ。私は複数人相手の方が得意なんです。今は私達しかいないんですから、役割分担をしないと……って!」
俺は超絶美人な聖騎士様からの命令を無視して鉄筋コンクリート塀から出て行く。
「はははっ! 俺が敵陣に穴をあけてやるからよ! あとは頼んだぜ、貧乳指揮官!」
「なっ! 私は貧乳じゃありません! 揉めるだけは多少なりともありますよ!」
「はははっ! 俺が死に損なったら、お前のでっかいケツでも揉ませてくれよな!」
「絶対に嫌です! ふ、触れるくらいなら……、良いですけど……。って、何を言ってるの私!」
俺は貧乳の聖騎士様の美声を後方に大量の発砲音を前方に全力で走る。こめかみに銃口を向け、活を一発入れて視界を真っ赤に染めた後、鳴りやまぬ心臓の鼓動と耳鳴りを全身で感じながら、大声を出す。
「さあ……、俺を殺してくれるのはどいつだっ! 俺を妹のところに早く行かせてくれよ!」
俺は両手に持っている二丁拳銃の引き金に一指し指を掛け、敵兵の眉間に照準を合わして発砲する。
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