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第十四話 聖者と元女囚③

第十四話 聖者と元女囚③


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━


 天井が高い、果てしなく高すぎる。

 床面から天井下面までを、ざっと目視で測った垂直距離が、とんでもなく長いのだった。

 なんだ、この天井高。


「なんだ、ここは……」

 次に目を覚ました時、私は、神殿のような所にいた。

 真っ白くて大きな円柱がたくさん並んでいる。見上げると、柱頭には、技巧的で華美な彫刻装飾が施されているようだった。


 しんと静まり返っている、この神殿みたいな建造物。内部もとにかくだだっ広く、がらんとしていた。

 その平面中央部にぽつんと置かれた、豪奢な天蓋付きの寝台。

 光沢のある布地でできた寝装類は、さらさらという耳に心地よい衣擦れの音がした。

 私は、それに埋もれるように寝かされていたのである。


 いくつもの羽根枕やクッション類。ふんわり、フッカフカの寝具たち。

 幾層にも重ねられた純白のシーツ群には、大袈裟なくらいのフリルや刺繍があしらわれている。

 ダブルサイズどころかクイーン、キングサイズくらいに広々とした圧巻の寝心地。

 あまりにも贅沢で快適すぎる、至高の寝床だった。


 壁際には、たくさんの柱が一定の間隔で並んでいる。彫刻装飾の施された大きな円柱。ふと、ある一本の柱に目が留まった。

 その柱の後ろに、人影があったのだ。

 よく見ると、不気味な形相の人物が立っている。

 真っ黒い頭巾を被った、黒衣の怪人。 


 荒神(あらがみ)様、いや、ジュドー!



「ジュドー!生きてたんだな!」

 私はすぐさま寝台から飛び起きると、彼から距離を取りつつ身構えた。


「雷害のことか。ご覧のとおり、生きているよ」

「シンギュラ(ねえ)さんは?」

「ああ、無事だよ」

 ジュドーは仮面を外して、素顔を晒す。

 そして目を伏せた。


「雷撃を受ける少し前、僕たち二人は、おまえを探すために屋外に出ていた。おかげで危機は免れたよ、だが、部下が何人も犠牲になった」

 そうだったのか……。


「シンギュラとは、仲間割れを起こしているのも馬鹿らしくなって、そこで手打ちにしたよ。和解をして、失った部下たちの穴埋めをすべく、組織の立て直しを図ることにしたんだ。シンギュラの言うとおり、たしかに僕も、女性に対して傲慢で卑劣なところがあったようだし、そのあたりは彼女とよく話し合ったよ。おまえにも謝らないといけないのだろうな。悪かったよ、壽賀子」


 ジュドーは、小さく頭を下げた。

 以前とは打って変わったような、弱々しげなもの哀しさが、そこにはあった。彼にとって組織と部下たちとは、まるで家族のように大事なものだったのかもしれない。


 シンギュラ(ねえ)さんとも仲直りをして、彼女の説諭もちゃんと聞き入れているようだし。

 非道な彼なりに、この謝罪は、重きを置いた真摯な対応なのか。


 ……もー。

 しゃーねぇな、許してやるか。



「それで、ここは?」

 私は、きょろきょろと、あたりを見回した。

 神殿みたいなところ。

 天井が高くて吹き抜け感のある、この建造物。装飾彫刻が施された、存在感のある、この列柱群。

「反省して謝ってくれたのはいいが。なんでまた、荒神様スタイルで誘拐するんだよ。今度は一体、何のために私を連れ去って、こんなところに連れてきたんだ?」


「それは仕方ない。僕も仕事だからな」

 し、仕事ぉ?

 悪党の、人さらい業?


「大口で、新規の顧客からの頼まれごとだ。ではな、謝罪も済んだし、僕はもう行く。また会うこともあるかもしれないな……シンギュラもまだ、おまえのことをあきらめきれないようだったし」

「あっ、待てよ!」

 柱の奥に身を隠すと、すぐにその気配は消えた。


 こうして、荒神(あらがみ)様……ジュドーは消え去ってしまった。



「もぉお!━━で、ここはどこなんだよ!」

 私は屋内のあちこちを歩きまわって扉を探し、外へ出ようとした。

 だが列柱ばかりがあるだけで、外へと通じる扉は、どこにも見当たらなかった。


 列柱廊の先には、聖舟祠堂が備えられていた。神像を安置する小室までが設けられている。

 調和と均整を重視した柱間間隔、直線的な造りが、神秘性を高めていた。重厚感があって厳かな雰囲気の、どこかの神殿みたいな建築様式。


 大口で新規の顧客からの頼まれごと、と言っていたが。

 誰だ?まさか……?

 こんな神殿みたいなとこに、私を攫ってくるように命じた、雇い主って……。



「久しぶりだね、壽賀子さん」


 私の名を呼ぶ、よくとおる柔らかな声が響いた。聴く者を惹きつけて離さない、独特の美しい発声法。


「………………聖者様⁈」

 聖者様だった。

 私が寝かされていた、天蓋付きの豪奢な寝台。

 そこに、いつのまにか姿を現していたのだった。


 光沢のある布地でできた夜具類、いくつもの羽根枕やクッション類、フリルや刺繍があしらわれた、幾層にも重ねられた純白のシーツ群。

 ふわふわのたくさんの布地に埋もれるように横たわり、アンニュイで気怠げなポーズをかまして寝そべっていた。



「元気だった?ああ、ずっと会いたかったんだよ。さあ、こっちへ来て、よく顔を見せて」

 夜着と言おうか寝巻きと言っていいのか長布を簡易的に巻いただけの、片上稞を見苦しくも丸出しにした、ほぼ半裸のような、だらしない出で立ち。

 それでも彼は変わらず彫刻の如くに美しく、光り輝くように神々しい独特の空気感を纏っていた。

 均整の取れた肢体と、威容を誇る端麗な容貌を振りかざすように見せつけては、相手を圧倒し、悦に入る。


「壽賀子さん、おいでよ。手くらい握らせてよ」

 ひらひらと手招きをして、私を呼び寄せる。



「聖者様、まさか、あんたがジュドーの雇い主⁈」

 私は、柱の後ろに身を隠し、彼を警戒しながら声を張り上げた。


「聖者ともあろう者が、金を積んで悪党を雇って、人を誘拐させるとか、世も末だぞ!」

「だってねぇ。君は今、名前も変えて、住む場所も全く知らない遠い土地に移されて。受刑中に既知だった関係者には何も知らされない、会ってもいけないってことになっているんだもの。ジュドーたちの力を借りでもしないとね。こうでもしないと、私は君と話もできないんだよ。顔を見ることすら叶わないんだからね」


「こ、ここはどこだ⁈」

「前に言ったことがあるかなぁ。君を幽閉するための、私だけの監獄。閉じ込めて誰にも見せない、奪わせない、そのためだけに造られた、私と君だけのお城だよ。教団の上層部に無理を言ってね、特別な別荘を造らせたんだ」

「な、何を、馬鹿な!」


 たしかに、いつだったか、聖者様はそんなようなことを言いのけたことがあった、ような気がする……。

 幽閉とか、閉じ込めとか、物騒なワードを並べ立て、私を震え上がらせたことがあったような、気がする……。


「わ、私を出せ!!ここから!今すぐに!出口はどこだよ?外へ繋がる扉はどこにあるんだ⁈教えろ!怒るぞ!聖者様!」

 私は目を閉じて、聖者様の姿を目に入れないようにして、喚いた。


「も、もう、許さないからな!あの時のことだって!あの聖堂でのこと!私があんたに弄ばれた、なんて!私にひどいデマ吹き込んでショックを与えたろう!嘘をついて私を動揺させて、言いくるめようとしたろう!うまいこと婚姻関係に持っていこうとしたろう!およそ聖者のすることじゃないからな!あんた最低だぞ!非道も外道もいいとこだぞ!私に謝れ!償え!土下座して詫びろ!!絶対許さないからな!!」


 わあわあと、喚き散らした。

 彼への怒り。

 嫌悪、憎悪、恨み、つらみ。悲憤慷慨、毒念、忿懣。

 憤怒、怨嗟といった、どろどろとした感情ばかりが溢れ出す。


 黙っているなんて、できなかった。



 すると。

 聖者様は、心底愉快そうに、けらけらという笑い声を上げるのだった。


「ははは、ごめん、ごめん、ちょっと言ってみたかっただけだよ。一瞬でも、私が君と結ばれたなんて本気にしてもらえたら、想像してもらえたら幸せだなぁって、考えちゃったんだ」

 聖者様は、そんなふうに反論をする。


「悪かったよ、壽賀子さん。閉じ込めるなんて嘘だよ、ただ君に会いたかっただけだ」

「え……っ」


「扉は、その端から三番目の柱の裏手にあるよ。扉の外には、グエンもスヴィドリガイリョフもいる。君に安心してもらうためにね、二人のことも、私がこの別荘に招待したんだよ」

「え、えええ、な、ななな⁈」

「言ったろう、私は、君に会いたかっただけだ」

「は、はああぁぁ⁈」

 

 私は驚き、思わず目を開いて、聖者様の表情を仰ぎ見た。


「ねえ、壽賀子さん。また、こうして会いに来てくれる?たまには、旅にも付き合ってくれると嬉しいな」

「な、何言ってんだぁぁ!!」


「あれから元気にしてた?仮釈放後の暮らしはどう?困ったことはない?今の名前って何?教えて?」

「げ、元気なわけないだろぉ⁈あんたのせいで!あんた、許さないからな!ふざけるなぁぁ!!」

「壽賀子さん、怒ってるの?怖い……でも、生き生きしていてまっすぐで、すごく魅力があるんだよね、癇癪の激しい壽賀子さんの姿って。ぴーぴー喚いて可愛くて威勢が良くて。不思議と、とても私の目を喜ばせるんだよね。私は、その姿を、嫌いになれないんだよ」

「ふざけるなぁぁぁ!!」


 何を言ってるんだ、こいつはぁぁ!ああああもう!!


「……も、もおぉぉぉ!」

 もおぉ。やれやれだぜ。

 あーあーもう、まったく。


 ……しょうがない。


 私も、いいかげん、彼と、向き合おう。

 逃げずに。


 私は、柱の後ろに隠れるのをやめる。

 ゆっくりと歩みを進めた。彼のいる寝台のほうへと、近寄っていく。



「……わかったよ、聖者様。あなたが私を救ってくれた、ところもある。やっぱり聖者様は偉大だった。すごいと思う」

「え、壽賀子さん?」


「あなたが私を導いてくれたんだ。色んなところへ連れていってくれた。私に、世界を見せてくれた」

 もっと早くに、ありがとう、と伝えるべきだった。


「……ありがとう、フューリィ様」


 私は、やっと、彼に感謝を伝えることができた。


「わあ、やっと私の名前を呼んでくれたね、壽賀子さん。君が素直に私に感謝の念を伝える日が来るなんてねぇ。ははは、なんだかおかしいな。ねえ、もう、いつもの辛辣な壽賀子さんはどこにいっちゃったの?」

 私は手を伸ばして、聖者様……いや、フューリィ様の頭を撫でた。


「よしよし。フューリィ様、えらいえらい」

 頭なでなでして、誉めそやしてやった。

「……壽賀子さん……」


「ちゃんと世のため人のため、聖者業してるんだものな。世界の平和のために自らを犠牲にして貢献してるんだから、いつも頑張ってるんだものな、フューリィ様は偉いよ。立派だよ。私だって本当は、ちゃんといつも尊敬してるよ」


 フューリィ様は、寝台から降りると、私の目の前に身を投げ出す。

 膝を曲げて床につく。

 ひざまづいて、私の胸にすがりつくように抱きついた。


「壽賀子さん……ごめんなさい、私は……君にひどいことをたくさん言った。私は聖人なんかじゃない。弱くて、ずるくて、だめな人間だ。自分の我儘ばかりを貫き通そうとしたんだ。君の気持ちなどお構いなしに」

「いいんだ、たまには。聖人でなくていいんだよ、ただの人間で。弱くても、ずるくても、だめなところも、あっていいんだ。フューリィ様、大丈夫だよ。私は、そんなあなたも、いていいと思ってるよ」

「……壽賀子さん」


 そこに他意はない、と、私は信じて胸を貸した。

 甘えているだけだと、信じてやった。


 弱音を吐ける相手。

 弱い自分を曝け出せる相手。

 弱っている時にすがりつける相手。 


 きっと彼は、それを求めていただけだ。


 私は、自分でよければ、存分に、彼を甘やかしてやろうと思えた。彼が私を求める限り。






「そろそろ二人が心配をする頃だ……」

 しばらくすると、フューリィ様は自ら立ち上がった。


「……さて、そろそろ出ようか。また来てね、壽賀子さん」

 そうして私の手を取り、優しく引く。

 外へと通じる扉を目指してくれたのだった。


 隅のほうだった。端から三番目の柱の裏手にある、わかりにくい位置にだが、たしかに扉がひとつ、ついていた。

 フューリィ様はそこに案内をしてくれた。


 扉を開けると、前の廊下には瀟洒な調度品の数々と、いくつかの長椅子が置かれている。

 その長椅子のひとつに、二人の男が座っていた。

 二人の男。

 それは、グエンと、スヴィドリガイリョフだった。



「お話は終わりましたか、フューリィ様」

 グエンは落ち着いた表情で、優しく語りかけてくる。


「ああ、心配をかけたな、グエン」

 フューリィ様は、そんなグエンに声をかけて労った。

 その眼差しは、敬愛すべき理想通りの聖者像に戻っていた。


「おまえには、苦労をかける」

「フューリィ様……」

 もう品位を欠いた嘲りの意図などはなく、まっすぐに臣下を思い遣るだけの、品行方正な聖者フューリィ様が、そこにいた。


「フューリィ様……!!」

「な、泣くなよ、グエン、おまえは、まったくもう」

 滝のような涙を垂れ流すグエンを仰ぎ見て、戸惑うフューリィ様。


 ああ、よかった。

 もう、いつも通りの二人だ。

 互いに敬意を表し合い、深い感情の部分でも通じ合おうと理解を深める。これぞ、こちらの胸を打つような素晴らしき、理想の主従関係。

 私も思わず目を潤ませながら、二人の姿をじっと見守った。


 と、そこへ。



「壽賀子、いいですか?よく聞きなさい、先程入ってきたばかりの情報です。こんな時になんですがね、あなたには真っ先に伝えておかなければならない案件です」


「ん?何だよ?いいとこなのに」

 感動的なシーンの途中に、スヴィドリガイリョフが割り込んでくるのだった。

 私は目尻の涙を拭いながら、しぶしぶと彼の話に耳を傾けてやることにする。


「あなたは、釈放されます」

「……え?」


「つまり、本釈放されて異界に帰ることになるんです」

「は、はぁ?」

「異界の政権が交代したんですよ。投獄されていた前政権の政敵は、順次釈放されることになるでしょう。つまり、あなたもですよ、壽賀子」


「え、えええええええええ⁈」

 私、元の世界に、帰される⁈


 この私を異世界に追放していた、元の世界のクズ政権。

 そいつらが、反政府ゲリラと革命軍によって打ち倒されたのだという。もはや私の敵はいない。元の世界に戻ってこいとのことだった。


 そ、そんなことが……!!




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




 とある離島。

 私はものすごく久しぶりに、元いた世界の衣服に腕を通した。

 きっとすっかり流行も遅れていて向こうで浮いちゃうんであろう、古びた小花柄ワンピースにベレー帽だが、精一杯のお洒落な一張羅である。

 ガラガラとキャスターを転がし、キャリートランクを引っ張った。

 ああ、トランク持っておめかしして、って……まるで海外旅行感覚なんだが。

 いいんか、こんなんで……異世界転移。


 地下迷宮のような奥まった洞窟の先に、転移装置っぽい門はあった。


 これが、私が元いた世界と、こっちの異世界を繋ぐ、ゲートの役目を果たしているらしかった。

 空港のゲート型金属探知機がある保安検査場、検問所みたいなスペースである。


 身につけている金属類、鍵や小銭、電子機器類、ペットボトルや水筒などの液体物は、備えつけのトレーに入れて、ベルトコンベアーに乗せてっと。

 ああ、コートや上着、ジャケットの類はあらかじめ脱いでおかないとな。

 さあ、これでボディースキャナーのついたゲートを無事通過することができるはずだ。


 


 見送りには人数制限や厳しい条件もあり、限られた者のみしか駆けつけることが許されなかったが、それでいい。

 別れが悲しくなるだけだ。

 ああ、いや、別れじゃない。


 グエン。

 フューリィ様。

 スヴィドリガイリョフ。


「別れじゃないよ、ちょっと里帰りしてくるだけだ。すぐに、またこっちに戻ってくるからな」

 私は、明るく微笑みながら、三人に語った。


「私の元いた世界さぁ、政権も交代して、これから良い世界になると思うんだ。これからは、きっと、こっちの聖者様たちのいる世界とも関係性も変わっていくと思う。友好国みたいに交流が盛んになったりしてさ、庶民でも気軽に行き来できるようになる日が、きっと来るよ。旅行したり留学したり移住したり、もっと簡単に、すぐにでも会えるようになると思う」


 私は涙をこらえて、それだけのことを言った。

「きっと、また会える」



「俺、待ってるよ、壽賀子」

 うん、待っててくれ。私、すぐに会いに行くから。


「また一緒に旅をしようね、壽賀子さん」

 まあ、たまには旅行も、いいもんかもな。


「まあ、めでたい新政権といっても、まだまだ政情不安定だ。旧政権が盛り返しでもしたら、壽賀子、あなたはまた投獄の身。こっちの世界へ逆戻りでしょうしね」

 お、おそろしいこと言うなあ……。


 もー。あのなぁ。

 ここは受刑者の出所シーンみたいなもんだろうが。

 刑務官から情けの言葉をかけられるとかさぁ、屈指の感動シーンになるはずの、いいところなんだぞ?

 もっと、おまえ、なんか、ないのかよ?


 私は困惑した。

 もう、ずーっと、困ってるな、私。

 きっと、これからも。



 フューリィ様が、右側から抱きついてくる。

 それに対抗するかのように、左側からグエンが抱きしめてくる。

 先に私に腕を回していたフューリィ様の上肢ごと、私たち二人分をそのまま丸ごと抱えるように、グエンは、その大きな体躯と上腕で包み込んだ。


 ぎゅうぎゅうに二人から抱きしめられて揉みくちゃにされている私は、二人分の鬱陶しいほどの熱気と男臭さに翻弄されて、昏迷するばかりだった。

 

 スヴィドリガイリョフは、そんな私たちを眺め続けていた。

 一歩下がった後方から、ただ傍観しているだけだった。静観に徹して見守り続ける、守護天使の立ち位置でも気取っているかのように。


  

 ああもう!

 やれやれだぜ!

 なんなんだろう、この状況、関係性!

 ど、どうにかしないと!!


 こ、困る!一択!!



おわり! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「喪女囚のすてきな冒険」 悪態つきすぎ喪女OL、口が災いして女囚になる! 〜異世界への島流しの刑に処されるも聖者様御一行から溺愛されて困ってる!〜 

  ☆☆☆ご愛読ありがとうございました!!☆☆☆ショウリ鍾玄

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