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神々は天罰を下す  作者: 杏みん
219/222

あの時の会話

申し訳ありません。投稿順番間違え、またやってしまいました…

既に投稿済の218話の続きはこちらになります。

既にお読みくださった方、「???」な内容だったかと思います。申し訳ありません。

懲りずにお付き合いくださいますと幸いです。

 『不老不死の血統種がもう一人いる? ウイリアムの他にか?』


 『うん。俺はラボベビーで……五歳位までとあるラボで育ったんだけど。そこにね、いたんだ』


 『間違い無いのか?』


 『多分ね。ウイリアムさんと、その人がそれっぽい話してたから』


 『ん? なんでお前が育ったラボでの話に、ウイリアムが出て来るんだ』


 『ラボを破壊して、俺を解放しれくれたのが、ウイリアムさんだから。あの人、通常種から血統種を守る為に、世界中のラボを襲ってた時期があったらしくて』


 『……改めて、ぶっ飛んでる奴だな』


 『百年ぶり位だね~とか、なんでラボなんかに捕まっちゃったの~、とか。何百年も生きてると色んな事があるわよね~とか話してた。ガチ不老不死のウイリアムさんが、冗談でそんな事言わないでしょ?』


 『……確かに。で? そいつについて俺が知って、何の得があるんだ?』


 『結論から言うとね、彼女……あ、口調でわかったと思うけど、その血統種は女性らしかったんだけどね、結局死んじゃったみたい。詳しくはわからないけど、ウイリアムさんが前に言ってたんだ』


 『死んだ? 不老不死なのにか?』


 『そう、ウイリアムさんも言ってた。なぜ、どうして、どうやって……って』


 『……死にたがりのウイリアムとしては……なんとしてもその理由を知りたい。今後ウイリアムと取引する必要が出てきた時、強力な切り札になるって事か……だがどうやって調べる?』


 『それは自分で考えてよ。ここまでヒント出したんだから』


 『おい、それはないだろ。きっとウイリアム自身、血眼なって調べた筈だぞ。それでもわからなかった事を、どうやって俺が……』


 『それはもう、頑張ってねとしか言いようがないよね。まぁ、俺も方々聞きまわってみるからさ』




 ……という。なんとも締まりのない会話だったが。


 『なになに?』と、興味深そうにこちらを凝視するアルマンとロザリーにも一応、事のあらましを説明した。


 するとロザリーは『あの人、ジュノにも話していたんですね』と、小さくため息を吐いて。


 「私も彼女の話は聞いた事があります。ウイリアム隊長とは数百年来の友人だったそうです。亡くなったのは約十年前。私も、その死因の調査に協力しました」


 「なんだ、ロザリーの方が詳しそうじゃん。知ってたんなら、どうして俺に教えてくれなかったのさ」


 気だるそうな喋り方で不満を口にするジュノに、ロザリーは再び眉間に皺を寄せた。


 「ウイリアム隊長が欲しがってる情報なんかに、あなたを関わらせたくなかったからですよ」


 「ちょっとお二人さん、親子の諍いは後にしてよっ。それよりジュノさん? その血統種の話とリチャード隊長の件と、何の関係があるんですか?」


 「うん……ちょっと飛躍しすぎてるかもしれないんだけどさ。リチャード隊長が見つけた、娘を助けてくれる血統種って、イコール不老不死の血統種って事ないかな?」


 「……どういう事だ」


 本人の言う通り、飛躍しすぎている可能性に、首を傾げてしまう。


 「だってさ、娘さんの病気ってクレア・ボード先生にも治せなかったんでしょ? 心臓さえ動いてれば瀕死から全快まで一気にもっていける、あのスーパー血統種ドクターに。俺は色んな血統種を見てきたけど、あの人を越える治癒能力者はまずいないよ。だから、リチャード隊長が見つけたのは治癒能力者じゃないんだと思う。それに、隊長は娘を助けてくれる血統種を見つけたって言ったんでしょ? 治してくれる血統種じゃなく。それって、不老不死の特質を分け与えて、寿命を長らえさせてくれる血統種って意味だとしたら?」


 「私がウイリアム隊長にしてもらったように……という事ですか? う~ん……少し、こじつけのようにも思えますが」


 「え、待って待って! ロザリーさんみたいに不老不死の血統種の血を分けて貰って不老状態になったら、病気も治るんですか!?」


 突然立ち上がり、先程のロザリーといい勝負の声量で質問をするアルマン。


 「アルマン。お前の言いたい事はわかる。だったら俺もウイリアムの血を分けて貰えば、死なずに済むんじゃないか? だろう?」


 「そのリアクションから察するに……それは無理って事?」


 変わらずフラットな反応の俺に、興奮気味だったアルマンの表情が一気に曇る。

 それを見たロザリーは、気の毒そうに眉尻を下げた。


 「ウイリアム隊長の血は、特殊すぎて猛毒です。恐らく……普通の血統種なら、その血が体内に入っただけで、激しい拒絶反応が起こり、命を落としてしまいます」


 「そんな……! だって、じゃあロザリーさんは!?」


 「私はウイリアム隊長との子供を産んでますので、免疫的なものがついているのではないかと。それでも、血を分けて貰っている時は拷問のような苦しみがありますし、妊娠初期は何度も意識不明に陥りましたよ」


 「てゆーか、それで治るならとっくに試してるに決まってるじゃ~ん」

 

 「そう……そうですよね……」


 姉の夫を救う手立てが瞬殺され、肩を落とすアルマン。


 「でも、不老不死の血統種全てがそうだとは限りませんし……希望は捨てたくないですね」


 「……はい。ありがとうございます」


 「……で? リチャードの言う血統種イコール、不老不死の血統種だったとして。そうなれば、ウイリアムも食いついて、リチャードの元を訪れる筈。だから、キサラギとルークだけじゃ不安。て、事をいいたいわけか、ジュノは」


 「うん。そーゆーことだね」


 「そーゆーことだね、じゃありませんよ! そういう事なら、ますます反対です!」


 優しくアルマンを慰めていたロザリーが一転、再び息子を想う母の険しい顔になる。


 「大丈夫だってば、念の為、だから。いくらなんでも、いきなりバトル開始みたいな展開にはならないよ」


 「わかりませんよ!? 大荒れのリチャード隊長が聴取を拒んで、でもウイリアム隊長は強引に聞き出そうとして……そしたら即ゴングが鳴ります!」

 

 「ええと、ゴングが鳴ったら……どうなるんですか? ぶっちゃけ、キサラギさん、リチャード隊長、ウイリアムさん、ジュノさんだと……誰が一番強いんです?」


 怖いもの知らずなアルマンの質問に、俺とロザリー、ジュノは顔を見合わせた。


 「キサラギさんは元副隊長ですから……やはり隊長方には及ばない……でしょうか?」


 「俺を含めた他の三人はいい勝負なんじゃない~?」


 「誰かの圧勝って程、力の差はないとして。どっちにしろ高速治癒能力があるウイリアムに軍配が上がるだろうな」


 改めて口にすると、あいつの厄介さを思い知る。


 「それでも、俺とキサラギ副隊……新隊長が組めば、何とかなるっしょ」


 「リチャード隊長とウイリアム隊長と三つ巴になったらそうはいかないでしょう? やっぱり私は賛成できません」


 「それじゃあ……皆で行くっていうのはどうでしょうか!?」


 ん?


 突然背後から聞こえてきた、四人目の声。

 振り返ると、そこには寝間着姿のマリアが立っていた。


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