1話 落ちてきたんだ、異世界に!
文章書くのって大変ですね…。
定期更新。ストック切らさないように頑張ります。
いつも通りの帰り道。
今日は、お気に入りのコンビニスイーツを買ったので、家でゆっくりゲームしながら食べよう。
そう思いながら、私こと、花崎莉良は夕暮れに染まり始めた空を眺めながら、駅からちょっと遠くにある住宅街の中を歩いていた。
そこまでは普段と変わらなかったのだ。疲れてはいたけど、気分はいつもより明るかった。
コンビニスイーツ美味しそうだったし。
でも…、ちょっと意味不明な現象に巻き込まれて、現在、真っ白い空間で、自分の死体を眺めています…。
そう、死体なんです。
私の癒しのスイーツタイムはどこに…。
「ほんっっとうにごめんなさい!!!!」
「いや、まあ、そう言われたしても…。」
私の前で頭を下げて、両手を合わせているのは、神々しい雰囲気を纏った神様、らしい。
真っ白な長髪に白い服を着ていて、ローマとかにある像みたいだな、なんて思った。
なんか、光を放っているので人間ではないのは確かなのだろう。
ただ、状況が状況なだけに脳の理解が追いついていない。
先程まで道を歩いていた私だが、突然目眩がして、視界が暗くなったかと思えば、30秒程、真っ白な世界を落下していたのだ。
最初は慌てたのだが、途中から、「あ、これもう助からないわ。」と思い、目を瞑っていたら、案の定死んだらしい。
最後の方は失神していて記憶が無い。
んで、今目の前には神様と、私の死体。
私は、なんか透けてるので幽霊?なのかな?
「ちょっと、手違いで、地球の管理をしてる時に、世界にちょっとだけ穴開けちゃって…。それでたまたま穴の空いた場所にあなたがいたので、そこから落っこちてあなたは死んでしまいました…。ごめんなさい…。」
「穴、ですか…?私は地球から落ちて、落下死したってことですか…?」
地球から落下て。
どこを、どうやって、どんな原理で落ちるのだろうか。
まあ、目の前で自分が死んでるので、よく分からんがそうらしい。
「そういうことです。こんな真っ白な場所に落としてしまってすいません!!!」
「いや、まあ、死んでしまったのはどうしようもないですし…。」
うわあ、神様が土下座しそうな勢いで謝り倒してきてる。
神様ってもっとかっこいいと思ってたのに。
ちなみに私の死体は見るも無惨な状況である。
直視しても大丈夫なのは、私がもう死んでいるからだろうか。
「元々、世界にはちょいちょい穴が空いてたりするんです。それを直したりするのが私の仕事なんですけど、他のところを直したら、弾みで別の場所に…。ああ、久々に怒られちゃう…。」
「いや、大丈夫ですよ。もうなんか一周まわってどうでも良くなってきましたし…。」
正直、私の脳のキャパを超えてて混乱状況なのだろう、感情が上手く機能してない気がする。
「本当ですか!!ありがとうございます!!」
そう言うと神様はガバッと顔を上げた。
うぉう、顔も神々しい…!
「こういった場所で死んでしまうと、もう地球の輪廻に戻ることが出来ないんです。ここは、いわゆる世界と世界の狭間です。世界と世界は、物質的にではないんですが、基本的に上下関係があるんです。色んな世界が縦に並んでて、そこに重量的なものが働いているイメージです!私たちのような神様以外は、基本的に上から下へ移動することしか出来ないんです。世界に穴が空くと、どんどん色んなものが下の方に落ちていっちゃうので、私達が塞いでいるんです。なので今回の事故は私の責任が…、重くて…。」
…神様が泣き出しそうになってしまった。
説明を聞く限り、私は地球に空いた穴からこの狭間に落ちてきたのだろう。
神様が言う穴、とういうのは普通の落とし穴とかじゃなくて、ワープホールみたいなものなのらしい。
そんで、世界間を移動する時に働く重力があって、私はそれに逆らえず落下死したと。
上から下へしか移動出来ないから、私は地球へ戻れないようだ。
突然こんなことになってしまったが、正直、未練とかはあまりない。
この状態で今後どうなるのかは分からないが、日本で生きていた頃は、30くらいで死のうかな、とか考えていたくらいなのだ。
不幸ではなかったが、幸福でもなかったな、と思う。
「でも、他の世界、地球より下の方にある世界に転生させることは出来ますよ!!なんか、地球で流行ってるんでしょう?異世界転生!」
「え、本当ですか!?」
「はい!どんな生き物になりたいですか?あ、まずはどんな世界か決めてからか。色々ありますよ!めっちゃ機械が発達してるところとか、あ!ファンタジー?魔法とかがあるところが流行りなんでしたっけ?それなら……」
急に元気になった神様は随分と饒舌に異世界転生を提案してくれた。
やっぱりちょっと憧れるよね、異世界転生。
現世ではつらいことがあった時とか、割と本気で出来ないかとぐーぐる先生に尋ねたものだ。
でも、キツイのはいやだから、できるだけ面白くて、楽に生きていけそうな世界がいいな。
私が異世界転生したいと伝えると、神様は色んな世界の紹介をしてくれた。
私は、魔法を使ってみたかったので、魔法がある世界で、よくある中世風な世界にしてもらった。
「体はどうします?まあ、人間のままの方が色々やりやすいと思いますけど…。」
「あ、はい。人間で大丈夫です。」
「了解です!あと、この世界、結構下の方にあるので、色んなものが上から落ちてきちゃったりするんですけど、まあ、普通に生活する分には大丈夫ですよ!」
上から落ちてくるって…。
え、それって結構やばくね?
私みたいな死体が量産されちゃうんじゃ…。
「よし!じゃあ体、体…。えっと、丁度よさそうなところは…。んー、見当たんない…。あ!あー、でもここは…、いや、大丈夫か!よし!」
神様はなんか水鏡みたいなものの中を覗いてブツブツ言っている。
私からするとなんにも見えないのだが、神様しか使えないのだろうか。
「よし!じゃあ行きますよ!!」
「えぇ!?ちょ、早いな!」
驚いたのもつかの間、地球から落ちた時と同じような目眩が私を襲った。
前回の落下より、随分長い間浮遊感を味わったあと、急停止した。
どうやら到着したらしい。
しかし、なんだか眠たいし、頭が重い…。
「じゃあ、楽しんでね!体は結構いいやつだから、まず死なないと思うし!僕は怒られる前に君が落ちた穴を塞がなきゃ!」
そう言い残して神様はどこかに行ってしまった。
謝るときは全力で、そこからの仕事が速いところに、慣れが見えたのは気のせいではないだろう。
そんなことを思っていたら、だるいような、ぼんやりとするような感覚に襲われた。
そして、地球から落っこちて転生することになった花崎莉良は、深い眠りに落ちていった。