第三話 復讐の決意
ここは……どこだ?頭が痛い…意識がぼんやりして周りがよく見えない。
「早く目を覚まさないか罪人!王の前だぞ」
「へぁッ!?王様の前?」
アルスはようやくはっきりしてきた意識で周りを見回すと後ろには兵士、前には神父のような男性とこの国の王が見えた。
「えーと、どういう状況ですか?」
そんなアルスの言葉には誰も耳を傾けず神父のような男性が口を開いた。
「アルス・クローバー、貴方は自分の罪を分かっていますか?」
「はぁ?」(意味が分からない、僕はただ巻き込まれただけだ罪を犯してるのは街中であんな強力な魔法を放ったアイツの方じゃないか?)
神父は続ける。
「貴方は街中で女性を強引に馬車に乗せようとしたばかりか、邪魔になった仲間に大規模な炎魔法を使い、大火傷を負わせています」
アルスはこの時トウゴも大火傷を負っていたことを思い出した。
「そうだ!トウゴは無事なのか!?」
「トウゴ……というのが誰かは分かりませんがあの場で巻き込まれた方は全員、意識不明の重体ですよ。」
(よかった、トウゴは一応生きてたか。)
(だけど何故自分に全ての罪がかかっているんだ?僕は何もしていないはずだが……)
「では言うことはないですか?、本来なら勇者様に掴みかかった罪も含めますが許してくださった勇者様に感謝しなさい。」
そう神父がアルスに告げると王に何か耳打ちした。
すると王がゆっくりと口を開く。
「アルス・クローバー、そなたは街中で混乱を起こして5人に大火傷を負わせている、本来なら二十年ほど牢屋で暮らすのだが勇者様のお慈悲に加えそなたはまだ子供……よって国外追放処分とする!」
(ようやく理解出来た……僕はアイツに罪を着せられたんだ)
アルスに兵士達の声が聞こえる
「勇者様もお優しいなこんな罪人に慈悲をかけるなんて」
「ああ、こんなやつを許さなくてもいいのに」
そしてアルスは明日までにはこの街を出ていくように告げられた。
「あら!奥さん見なさいよ!あの子が昨日の騒動の犯人らしいわよ~」
「それに知ってる?本来なら牢獄行きの所をお慈悲で国外追放にしてもらったらしいわ~」
「マァ!なんて勇者様は優しいのかしら」
アルスはそんな噂をどこへ行ってもされた
(出ていく前にトウゴの様子だけ見ておこう)
アルスはそう考えトウゴの運ばれた病院へと足を運んだ、
しかし病院の看護師にはこう告げられた
「トウゴさんは面会謝絶です。」
「……分かりました」
アルスは歩きながら考えた
(僕には何も出来ないのか?親友が大怪我を負わされて幼なじみはあの野郎に取られたのに何もせずこの街を出るのか?そもそもなんであんな奴が勇者様と崇められて僕は罪を着せられているんだ?)
そんな思いがアルスの中で渦巻き、そしてどす黒い感情が生まれた。
(あんな奴が勇者だなんて認めない、そしてアイツを僕は絶対に許さない)
その時アルスはある程度トウゴとカレンに関する記憶を取り戻していた。二人が昔、暗かった自分をすくってくれたことも。
「思い出したよ……戦い方と二人のことを」
【銃スキルとナイフスキルを取り戻しました】
「僕は銃とナイフを使うことができるんだ。」
「戦えるならアイツに復讐も出来るはずだ!」
(僕はアイツに復讐する、たとえ国を敵に回そうと)
そしてアルスの中で一つのスキルが目覚めた。
【スキル・感情具現化を獲得しました】
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