セロフィート
「〈 久遠実成 〉から『 幽霊が見える 』という現象を使い、何を教え様とされているのか──、〈 久遠実成 〉の御意趣を正しく知る事が出来ません。
其の為に多くの人間は──、気味悪がります。
『 呪い 』だの『 祟り 』だの『 悪霊 』だの『 怨霊 』だの『 悪魔 』だのと騒いでは、お祓いだの祈祷だのという一時的な気休めに走り、大金を支払って迄も、すがってしまうのです。
面白いでしょう」
マオ
「面白いかは別としてだな〜〜〜。
幽霊の事は大体分かったよ。
〈 大陸神エルゼシア様 〉から用事がある──って事なんだよな?
大事な事や必要な事を教える為の手段の1つとして、実体が無くて目に見えない存在を態わざ態わざ見みさせて、気き付づかせ様ようとされておられる──って事ことなんだよな?
幽ゆう霊れいゴーストも〈 大たい陸りく神しんエルゼシア様さま 〉が使つかわれる道どう具ぐの1つに過すぎないから、幽ゆう霊れいゴーストが見みえるからといって、怖こわがる必ひつ要ようはないって事ことなんだな。
幽ゆう霊れいゴーストを見みさせられたら、何なにを教おしえ様ようとされているのか、〈 大たい陸りく神しんエルゼシア様さま 〉に御お伺うかがいすればいいんだよな?」
セロフィート
「そうです。
分わかって来きましたね、マオ」
マオ
「怖こわがる必ひ要つはない──って言いわれてもさ、難むずかしいと思おもうんだけどな〜〜」
セロフィート
「〈 久く遠おん実じつ成じょう 〉と意い志し意い思しの疎そ通つうが出で来きない間あいだは仕し方かたのない事ことです。
〈 祈き祷とう師し 〉〈 祓はらい師し 〉〈 呪まじない師し 〉等などの商しょう売ばい人にんは繁はん盛じょうして儲もうかりますけど」
マオ
「……………………。
セロはオレを〈 皇コウ 〉にしたいのかよ……」
セロフィート
「そんな事ことは言いってません。
仮かりにマオが〈 皇コウ 〉となれば、エルゼシア人じんは〈 神かみの遣つかい 〉の元もとで本ほん統とうに正ただしい真しんの宗しゅう教きょう,信しん仰こうを學まなぶ事ことが出で来きる様ようになります。
そうなれば間ま違ちがいなく〈 祈き祷とう師し 〉〈 祓はらい師し 〉〈 呪まじない師し 〉等などの商しょう売ばい人にん達たちは、お役やく目め御ご免めんとなり、廃はい業ぎょうする事ことになります」
マオ
「……………………。
〈 神かみの遣つかい 〉の元もとで本ほん統とうに正ただしい真しんの宗しゅう教きょう,信しん仰こうを學まなぶ事ことが出で来きる様ようにならないと、エルゼシア人じんは真しんに救すくわれない──って言いうんだろ!!
………………オレは嫌やだからな!
どんなに勧かん誘ゆうされたって、オレは〈 皇コウ 〉にならないんだからなっ!!」
セロフィート
「勧かん誘ゆう等などしてませんし……」
マオ
「ちょこちょこ話はなしの中なかに〈 皇コウ 〉の事ことを捻ねじり込こんで来くるじゃんか」
セロフィート
「其それはマオの気きの所せ為いです。
マオが無ム駄ダに意い識しきしてるから、そう思おもうのです」
マオ
「そうなのかな?
オレ、そんなに意い識しきなんてしてないよ」
セロフィート
「おや?
そうです?」
マオ
「そうだよ!
──あっ、見みえて来きた!」
セロフィート
「さっきから見みえてますし」
──*──*──*── 30分後
徒と歩ほで移い動どうしていたマオとセロフィートは、漸ようやく≪ 魔ま物ものの村むら ≫の前まえへ到とう着ちゃくした。
マオ
「何なんか……、静しずかそうだな。
もっと賑にぎやかなのかと思おもってたけど……」
セロフィート
「≪ 廃はい墟きょ ≫ですし。
中なかへ入はいれば≪ 魔ま物ものの村むら ≫の現げん状じょうも把は握あく出で来きます」
マオ
「う、うん。
そうだよな!」
白はく銀ぎん色いろの糸いとで美うつくしい刺し繍しゅうのされている神しん秘ぴ的てきな真まっ白しろいコートのフードを深ふか深ぶかと被かぶったまま、マオとセロフィートは≪ 魔ま物ものの村むら ≫の中なかへ足あしを踏ふみ入いれた。
──*──*──*── 魔物の村
マオ
「…………………………。
なぁ、セロ……。
殺さっ風ぷう景けい過すぎるよな。
見みた限かぎりじゃ、全ぜん然ぜん≪ 魔ま物ものの村むら ≫ っぽくないしさ……」
セロフィート
「≪ 廃はい墟きょ ≫ですし。
中ちゅう心しん部ぶなら、ある程てい度どは出で来き上あがっているかも知しれません」
マオ
「中ちゅう心しん部ぶぅ〜〜。
此こ処こからどのくらい掛かかるんだ?」
セロフィート
「そうですね……。
≪ 都と市し ≫とは言いっても名なばかりです。
大たいして広ひろくないですし、徒と歩ほで8時じ間かん程ほどです」
マオ
「はぁぁぁあ?!
8時じ間かんも掛かかるのかよ?!
めっちゃ歩あるくじゃんかっ!!」
セロフィート
「運うん動どう不ぶ足そくに丁ちょう度ど良よいでしょう?」
マオ
「どっちかっていうと、運うん動どうよりハードな事ことしてるんだけどっ!!」
セロフィート
「ふふふ…。
『 物もの足たりない 』と態たい度どに出でてますけど?」
マオ
「そんな事ことない!
其それこそセロの気きの所せ為いだよ!」
セロフィート
「そうです?」
マオ
「そうなの!
なぁ〜セロ〜〜〜。
〈 移い動どう魔ま法ほう 〉でさ、パッと行いこうよ!」
セロフィート
「おや?
歩あるきません?
〈 転てん移い魔ま法ほう 〉を使つかってしまって良よいです?」
マオ
「いいよ!
8時じ間かんも歩あるいたら、日ひが暮くれちゃうだろ!
暗くらい中なか、≪ 廃はい墟きょ ≫を歩あるきたくないじゃんか」
セロフィート
「ワタシはマオと一いっ緒しょなら歩あるきたいです」
マオ
「そ…そう?」
セロフィート
「星ほし空ぞらの下もと、≪ 廃はい墟きょ ≫を散さん歩ぽするのも楽たのしいですよ」
マオ
「…………怖こわいんだよ…」
セロフィート
「ワタシが居います」