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小説家になりたい僕と異世界転生した僕  作者: しかわ
第一章 小説を書きはじめた僕と異世界転生した僕
4/12

その女。村長、ウェル

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 大きな木造の家に入ると、壁一面に布が張ってあった。今、僕が腰に巻いている布に似た模様で彩られている。大きな一部屋になっていて、部屋の奥は祭壇のようになっている。その前に一人の若い女性が座っていた。


「村長ー、アイネです。話があります」


 アイネが元気よく女性に話しかけた。あの女性が村長? よぼよぼのおじいちゃんを想像していただけに意外だった。金髪を耳の下で短く切りそろえており、豪華な紋様の入った服を着ている。歳は30手前くらいだろうか。僕より年上に見える。


「おう、アイネか。そっちは誰だ? 黒髪の男なんて珍しいな」


 あぐらをかいて床に座っていた女性がアイネにたずねる。その声は女性ながら妙に迫力があり、長の威厳を感じさせる。


「そのことなんです。彼はタクトというのですが、どうやらマロードだと思うんです」


「ほう! マロードか、道理で」


 笑いながら大きな声を出す村長。地声の大きい人のようだ。


「ワシはこのマールデンの長、ウェルじゃ。マロードは一度、都会で見たことがあるぞ。そういえば、そのマロードも黒髪じゃったなー。ガハハハハ」


「タクトと申します。よろしくお願いします!」


「まぁ、そう硬くなるでない。もっと近くに来い」


 そう言ってウェルさんは立ち上がり、僕の頭を抱えた。大きな胸が体に当たる。そのままヘッドロックのような体勢で、また床に座った。


「ちょちょ、ちょっと! 離してください」


「まぁまぁ。いいではないか。いいではないか。この村にマロードが来たとは、縁起が良い。仲良くやっていこうぞ」


 ヘッドロックの体勢でグリグリ僕の頭を強く撫でるウェルさん。その間もずっと僕の顔に巨大な胸が当たっている。ウェルさんは全然気にしないのだろうか。


「村長! マロードをそのまま村に置いておくわけにはいきません! ちゃんと領主様に報告しないと」


 嬉しそうにはしゃぐウェルさんに対して、アイネが怒ったような口調で話す。


「領主のアホがなんじゃ。マロードはワシのもんじゃ。誰にも渡さん。マロードがいればモンスターの危険もなくなるしのう」


「ダメですよ村長。マロードを隠してたなんて領主様に知れたら、村がどんな処罰を受けるか」


 アイネが僕をウェルさんから引き剥がしながら言う。僕はようやくウェルさんの手から逃れ、座り直す。とりあえず正座したが、正座で良かったのだろうか。


「分かっておるわい。冗談じゃ、冗談。……真面目な話をするとじゃ、今クライネとナハトが、用事で村を離れておるじゃろう。だからのう、二人が戻るまでは領主様のところにも行けんのじゃ」


「私一人で領主様のところまで行けます。マロードのタクトだっているんだし」


「アホウ。マロードだって無敵ではない。モンスターは大丈夫でも、山賊が出たらどうする? なーに、もう4、5日もすればクライネとナハトも戻る。焦るでない」


 そう言って、ウェルさんは場をおさめる。アイネは「えー」と言って、ふくれっ面である。意外と負けず嫌いなのかもしれない。


「まぁ座れ、アイネ。このタクトも疲れておるだろうし。さっきのロックバードの件もタクトが収めたんじゃろう」


 アイネは座るように促されて、床にあぐらをかいた。ウェルさんもあぐらをかいているし、あぐらが普通なのかな。僕も足を崩し、あぐらをかいた。


「そうです、村長。ロックバードを追い返してくれたのはタクトです」


「ようやったタクト! お前のおかげで無傷で村を守れたわい。ハーハハハハ」


 僕の肩をバンバンと叩くウェルさん。痛い痛い。


「それにしてもタクト、お前貧相な格好しとるのう。飾り布を腰に巻いているだけではないか」


「あ、これアイネさんから貰ったんです。もともと全裸だったんで」


「ほう。では好きでその格好をしているわけじゃないのじゃな」


 当たり前だ。僕は文明人だぞ。誰が好き好んで全裸になるか。


「アイネ、タクトに服を着せてやれ。ガンじーさんのところに行けば、余りがあるじゃろ」


「分かりました。ほら、タクト。行こ」


 アイネは立ち上がり、僕の方に手を伸ばした。また手を繋ぐのか。恥ずかしいなあ。


「そうじゃ、アイネ、タクト。今日、皆が帰ってきたら軽い宴を開くぞ! マロードが村に来た記念じゃ!」


「本当ですか、村長! やったね、タクト! 宴だよ宴!」


「あ、あぁ。有り難いな」


 この世界に来る前は飲み会とか苦手だったが、アイネは宴が好きみたいだ。僕も若い頃はお祭りとか好きだったなー。


 僕はアイネに手を引っ張られて、ガンじーさんという人の家に連れてこられた。家にはおじいさんとおばあさんがいて、木の槌で何か草を叩いていた。家の奥には畳んである布がたくさん置いてあった。多分、この家では布を作っているのだろう。


「おぉーアイネかい。どうしたい? 何か物入りかい?」


「こんにちは。実はこっちの人に服を作ってほしくて。彼、マロードでタクトっていうんだ。」


「おぉ、おぉ。黒髪だなんて、マロードかい。珍しいねぇ。はいはい、こっちにおいでな」


 おじいさんは僕を手招きする。おじいさんの前まで行くと、おじいさんはゆっくりと立ち上がり僕の体に何度か手を当てた。きっと僕の体のサイズを測っているんだろう。


「マロードのお兄さん、あんたデカイのにヒョロヒョロだねえ。もう少し鍛えないとダメだよ」


「ははは、すみません」


 僕は中肉中背の普通体型だが、ハンターの村の男性に比べたら確かに僕なんてヒョロヒョロのもやしっこだろう。筋トレも別にしたことないし。


「この大きさなら丁度良いのがあったわい。これじゃ、これ」


 おじいさんは奥の方からシャツとパンツを取り出した。僕は服を受け取り、その場で着る。なぜかアイネは僕が着替えているところをじっと見つめていた。なぜだ。腰に巻いている布を取った時も見ていた。アイネに背を向けて着替える。麻のようなゴワゴワした繊維の服で、着心地は悪い。だが、サイズはぴったりだった。最後に帯を受け取った。見よう見まねで締めてみる。


「あー、違う違う。そんなんじゃ、すぐにずり落ちちゃうよ」


 じっと僕の着替えを見ていたアイネが手を出してきた。ちゃんとした帯の締め方というのがあるだろう。ささっと僕の腰に手を回して、手早く帯を締めるアイネ。僕は和服も着たことないから分からないが、複雑な締め方だった。


「えっと、よく分かんなかったんだけど……」


「大丈夫、大丈夫。何度か見てればそのうち覚えるよ」


 パンパンと僕の腰を軽く叩くアイネ。どうもアイネはボディタッチが激しい。ウェルさんもそうだったから、この世界の女性は皆そうなのかもしれない。


 僕は床に置いておいたアイネから貰った布を腰に巻いた。


「ありがと、ガンじーさん。ほら、タクトもお礼を言いなさい」


「あ、ありがとうございます。ぴったりです」


 笑いながら軽くうなずくと、おじいさんは作業に戻った。もう僕に興味はないみたいだ。


「じゃ、タクト。あんまり長居しちゃお邪魔だから、私の家に行こっか」


「え。はい」


 アイネの家! 女の子の家に行くなんて初めてだ。まぁこんな世界だから、そんなに可愛い部屋でもないんだろうけど。

 またもアイネに手を引かれて村の中を移動する。少し手が汗ばんでいたが、アイネは特に気にしていないみたいだった。


 アイネの家は5人も入ればいっぱいになるような小さな小屋だった。こんな小屋に家族で住んでるのか? ちょっと狭くないか。


「私、一人暮らしだから。家に誰もいないから気を使わなくていいよ」


 ひ、一人暮らし!! 一人暮らしの女の子の家!! 妙に興奮する。


 中に入ると、そこは薄暗い殺風景な部屋だった。囲炉裏が部屋の中央にあって、囲炉裏の周囲に座布団が4つ並べてある。部屋の奥に寝具、それに箱がいくつかあって、あとは特に何もない。箱以外に、調度品や家具のような物はない。壁には何かの獣の毛皮がかけてあった。


 ぜ、全然、女の子の部屋っぽくない!! でも何か良い匂いがする。普段、お香でも焚いているのだろうか。


 アイネは何かライターのような物を使って、部屋の隅においてある灯台に火を点けた。この世界にもライターってあるんだなあ。アイネは箱の一つから大きな鍋を取り出しながら、入り口に突っ立っている僕に声をかけた。


「適当に座って待ってて。今、水を汲んでくるから」


 村に井戸でもあるのだろうか、アイネは小屋から出ていってしまった。せかせかと元気な女の子だ。


 とりあえず、適当に囲炉裏の側の座布団の一つに座った。ゴワゴワした布に藁束が突っ込んであるらしい。なかなか良い座り心地だった。


 ……ようやく人心地ついた。川原で目を覚ましてからここまで色々なことがあったからな。まず最初は全裸だったしな。アイネと出会って、ロックバードに襲われてマロードの能力に目覚めて、ロックバードを懐かせて追い返した。そして今は服を着て、アイネの家でこうしてくつろいでいる。なかなかに波乱万丈だった。


 今日あったことを適当に思い出していると、アイネが鍋を両手に抱えて戻ってきた。囲炉裏の鈎に鍋を吊るすと、アイネは箱から柄杓と食器を取り出し、食器に水を汲んでくれた。


 僕は食器を受け取り、軽くお礼を言って、ひざに食器を置いた。アイネは対面に座り、同じように自分の食器にも水を汲んだ。


「アイネさん、ありがとう。君に会えたおかげで助かったよ」


「何? 急に」


「一人でいた時、今日のこと思い出しててさ。改めてアイネさんに助けられて良かったなーって」


「別にー。こっちこそタクトのおかげでロックバードを追い返せたからね。タクトがいなかったら、村も危なかっただろうし」


 そこで、ぐっと水を飲むアイネ。一気に飲み干し、おかわりを注いだ。森から帰ってきたばかりだから、アイネも喉が乾いていたんだろう。僕も水を飲む。


「そういえばタクトさ、私に気を使って喋らなくていいよ。タクトは私より歳上でしょ、多分」


 アイネはおそらく十代後半、僕は二十五だ。


「あ、まぁ。こっちの世界で何歳になるかは分からないけど、見るからに僕のほうが歳上だね」


 急にぐっと僕の方に顔を寄せるアイネ。僕は驚いて身をそらす。


「アイネさんじゃなくて、アイネって呼んでみて」


「……ア、アイネ」


「よし!!」


 胸を張るアイネ。心のなかではずっとアイネと呼んでいたので、割りとすんなり呼べた。思いっきり年下だしな。


「うーん……」


 腕を組んで唸りだすアイネ。急になんだろう。


「タクトが服を着て思ったんだけどさ。タクトのマロードの能力ってさ、……その、アソコが見えないとダメじゃない? だから下の服に穴を開けたほうが良いんじゃないかな」


「え? うん、そうだね」


 僕がうなずくとアイネが立ち上がり、いきなり僕のパンツを脱がせようとした。


「ちょ! ちょっと、何してんの!!」


「私が穴を開けてあげる。結構、得意なのよ裁縫も」


「じ、自分で脱ぐから!!」


「今さら何を恥ずかしがってんの。もう何度も見たんだからいいじゃない。ほら!」


 何度か思ってたけど、アイネは僕の股間を見たいのか!? 着替えてる時もじっと見てたし。年頃の女の子だから仕方ないのかもしれない。最初はアイネが隠せって言ってたのに!!


 結局、僕は無理やりパンツを脱がされた。必死に腰に巻いた布で股間を隠した。なんだかミニスカートを履いているみたいになって恥ずかしい。


 アイネはパンツにナイフで器用に穴を開けて、それから箱から取り出した裁縫道具でボタンを取り付けていた。


「はい! これでいつでも安心してアソコを出せるね!」


 なんだその思い切りの良い変態発言は!! いや確かにこのほうが能力を発動する時便利だけどさ。


 僕はなんだか物凄く疲れてしまった。


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 僕も物凄く疲れてしまった。アレから二時間も経った。現実の僕はパソコンの前でキーボードを叩いているだけなのに、物語の僕はアイネとイチャイチャしている。なんかムカついてきた。


 あとアイネのキャラクターがチンコ見たがりのキャラクターになってしまった。なんでこうなってしまったんだろう。


 大分苛ついてきたので、ここらへんでまた展開が欲しい。さぁ、展開が来るぞ。いや来るぞって言っても、何も思いつかないんだけど。


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