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~Cブロック試合~

もう少し!!


うーん、恐らくこの戦い一番の強敵は間違いなくグレイだろうから彼の対策をしようか。

こちらが分かっているのは「剣豪A」を持っている。という情報のみ。

まぁこれだけで相手は剣を使うってことは確定だ。ならカタナはグレイ戦に残しておこう。

と、なると残り二人は籠手で戦わねばならないのだが、見る限りでは勝てそうな相手だ。

最悪「限界突破」すればなんとかなるんだろうがな。出来れば使いたくない。

自分の地力で成し遂げたいのと、使う場面がなくまだ試していないためどんなものかが分からない、ってのがあるから。


そんなこんなで殆ど何も考えてないような作戦会議は終わった。


そして、試験が始まった。

試合の順番はくじ引きで番号を決めてリーグ戦。となった。

俺は4番でグレイは1番だからきっと最後に戦うことになるだろう。


さて、まず一戦目は1番のグレイと2番のサイという男の子だ。二人の武器は剣だ。一般的なのだろうな…

グレイの力を少しでも知りたい。サイくんには頑張って欲しいところなのだが………。


「勝負あり!」


勇ましく雄叫びをあげながら突進し切りかかろうと剣を振りかぶった瞬間に喉元に剣先を突き付けられ敗北。

駄目だこれ、弱すぎるよ……。参考にすらならないまま二戦目の俺の試合になってしまった。



俺の試合一戦目の相手は3番だったシノさんという女の子だ。武器は…弓?


「クレスです。よろしく。」

「シノよ。女だからって手加減すると痛い目みるから気をつけなさい。」


強気な発言だな。

…籠手を装備して待機。


「試合開始!」


その声が聞こえたと思えばもう矢が迫っていた。

「うおっ!?」

慌てて上体を反らし回避して軽くバックステップ。

周囲を確認する。と9時の方角から矢が、今度は3発!

踏み込みながら上体を反らして1本を避け、眼前に迫る2本目を踏み込んだ足を軸にして廻り回避。最後の3本目は拳で砕いた。


「へえ、なかなかやるじゃない。今度は更に倍よ!」


そういって彼女は6本の矢を飛ばしてきた。

俺はというと…付与スキルの凄さにただただ感動していた。

(見える…見えるぞ!!私にも()が見える!

ていうか付与スキル本当に凄いなぁ。さっきの2本目の矢も「瞬発力」のおかげで避けられたってのが大きいし、今飛んできている矢も全部軌道が見えるから簡単に避けられる。凄いや、いや本当に。)

だがいつまでも回避している訳にはいかないので顎を引き、その前に両手を構え、腰を落とす。ボクシングスタイルだ。そして前に出る。上半身にしか矢が飛んできていないので出来るだけ最小限の動きで矢の間をすり抜けていく。


「くっ、これも避けるの…?ならっこれはどう!??」


6本の矢を抜けてシノの方へ迫ろうとしたとき、逆に32本もの矢が俺に迫っていた。しかもその内の11本は薄く光っている。

(十中八九魔法だろうな。どんな魔法だ?目眩し系か?割と先頭の方にあるのはその可能性が高いとみて、他は爆散系か?だとすると弓同士の間隔が小さすぎてほかの矢にも被害がある。むしろそれが狙い?)

本当はただの魔力を帯びた、ただ貫通力がある矢なだけだのだが、クレスはそんなこと知らずになんと目を閉じて矢の雨に突っ込んだ。

そして魔力矢を全て避け、いくつかの矢をキャッチした。目を閉じたままで。

「案外上手くいくものだな。」

そういって彼は手に持った矢を手放す。

「嘘でしょ…!?」

勝ったと思っていたのか、次の矢を構えもせずにただ立っていたシノにありえない速さで迫り拳を突きつけた。


「…降参ね。」

「中々いい試合だったよ。」

「化け物みたいな空間把握能力してるわ貴方。」

「そりゃどうも。」

「勝負あり!勝者クレス!!」


一拍おいて、嵐のような歓声が周囲を埋め尽くした。


「おい!なんだよアイツ!!」

「弓矢全部躱して無傷で勝ちやがった!」

「しかも何本かはキャッチしてなかった!?」

「俺の見間違いじゃなかったら…あいつ、目閉じてたぞ…。」

「「「仙人かよ!!」」」


なんかボロクソ言われているような気がするけど。まぁいいか、とりあえずは1勝だ。


ーーーーーーーーーー


ストレイは、自分の息子にまた驚かされていた。

まさかあの歳で矢避けが出来るとは思っていなかった。しかもあの精度。とんでもない、達人級だ。

アイリも、流石にこれは驚いたようで、「どうしましょう…」なんて滅多に言わないことを言っていた。

ミントも、「にーたまつこーい!!つおーい!!」なんていって楽しんでいる。かわいい。

(クレス、お前は俺の期待を遥かに上回ってくれる。そして、俺の勘はまたすぐに驚かせてくれると言っている。驚かせてくれよ?クレス…。)


ーーーーーーーーーー


「凄い!凄いよクレス!」

「いやぁそうかい?それは嬉しいな!」


ルナがとってもはしゃいでいる。かわいい。

まあ確かに俺もすこし驚きの動きだったけれども…。


「あんなの達人級だよ!見せてくれた時はそんなスキル持っていなかったじゃない、どうやったの?」

「え?うーん、素振りしてたら覚えた?」

「はい?」

「いや、ほんと。ほんとに素振りしてたら覚えたんだ。」

「ぱっと覚えたスキルをこんなに使いこなしているの!!?」

「いや、でもランクB++だったし…。」

「ほぼ最上位じゃない!凄いよ!!」

「そ、そうなの…?」


不死身じゃ「超速再生EX++」とかあったからAの次にEXがあると思ったんだけどなあ…

なんてこと思っていたらグレイがやってきた。


「確かにお前もそこそこ強いらしいが、あれならまだ俺の方が強い。」

「あら、そうなのか。ざんねん。」


大して気にしていないのでスルー。

少し不機嫌そうな表情をしたが、普通に戻っていった。

友達になれそうなんだけどな…


ーーーーーーー


グレイとシノさんとの試合が始まった。

シノさんは結構強かったからグレイの強さをそれなりに引き出してくれると思う。

試合の流れは俺の時とは違っていた。

シノさんはグレイのスキルを知っていたのか、速攻で32本射撃を2回連続で行った。そして21本が魔力矢だった。

グレイはそれを全て剣で受けた。弾き、叩き、切り落とし…切り上げからの切り落とし…。常人ではありえないような速度で剣を操る。

そして、矢を全て受けきった直後、すごい速さ(・・・・・)でシノの首筋に剣をあてた。


「…勝負あり!!勝者グレイ!」


わあっ、とまたも歓声が響く。

グレイ対シノ戦は圧倒的な強さでグレイの勝利となった。


「…やっぱり、何度見ても凄い。」

「グレイの剣を何回か見たことがあるんだ。」

「ええ、彼の剣はまだ私達には速すぎて見えないわ。」

「そうなんだ。凄いね。」

「クレスは見えたの?あの剣筋もそうだけど、最後の踏み込みも。」

「見えたよ。」

「…やっぱり凄いわね、あなた達。」

「ありがとう。ま、勝つよ。」

「…すごい自信ね。あれを見せられて。」


ルナが心配そうに俺を見る。うんかわいい。


「その…。無理はしちゃ駄目だからね?」

「任せなさい!」


そう言ってルナの頭を撫で回して、俺は次の試合へ向かった。


ーーーーーーーーー


クレス対サイ


これは、あっけなかった。

グレイ戦で何を学んだのか、試合開始と共に雄叫びをあげながら上段に構えて突っ込んできた。

また振りかぶったので剣をつかむ手の部分を殴り、顎の下に拳を添えて試合は終わった。

これは全くと言っていいほど経験が積めなかった。


五回戦


シノ対サイ


これも、サイが何も考えずに突っ込んで、シノに撃たれ、決着がついた。

見るに堪えない試合だったよ…。


ーーーーーーーーーーー


残すはグレイと俺との試合だ。

今のところグレイも俺も本気を出していない…と思うが、グレイはさっき何割くらいの力を出して戦っていたのだろうか?

想定は強い方がいいだろう。さっきのシノ戦のグレイを一割として本気をイメージする。

うん。激ツヨ…。

これは…もしかしたら「限界突破」使わなきゃならないかもな…。

もうすぐ試合が始まる…。

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