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苦戦?


「うおっ!?」


横薙ぎに振るわれた一閃を重くなった身体で紙一重で躱す。

とりあえずなんとかいなせそうなので相手の武器や立ち位置をみて自分の立ち回りを考える。


まず一人目、交渉を請け負っていた先輩Aだ。使用武器は剣。だがグレイと比べるとお粗末なレベルだ。


二人目、先輩Bの使用武器は…なんだあれ?手裏剣?クナイ?と目を凝らしていたらBはそれを投げてきた!

見ていたので危なげなく躱すが、Bはニヤリと笑い突進してきた。俺に見えないように隠してたクナイのようなもので襲いかかってくる。殴って大人しくさせようと思ったが背後にとてつもない寒気を感じて咄嗟に横に避けた、その判断は正しく、俺いた背後からBが投げたクナイ(・・・・・・)が戻ってきていた。

なんぞそれ…


Aが迫ってくる。BはAが前に出ることで出来る死角からちょいちょいクナイを投げてくる。


《条件を達成しました。スキル「危機察知」を獲得しました。》


ふと3人目を見ると杖をもって何かぼそぼそと呟いていた。それが終わると、なんと杖から火の玉が飛んできた!!!


魔法か!かっこいいな!!

スピードは遅かったので普通に避けて残りの二人を観察する。


4人目も杖を装備していたので恐らく魔法士的な何かだろう。

5人目は大盾を装備している。きっとメンバーの壁役だろう。俺が攻撃に出たら恐らく前に出てくると思う。


とりあえず5人を観察してみたがこの体の重さの原因は分からなかった。

CとDが重力的な魔法を使っているのかと思ったが二人は火の玉と水玉を飛ばしてきているため恐らく違う。


この体の重さでは躱すかいなすのが精一杯なため攻撃に出れない。切り札(・・・)はあるにはあるが、人目の多いところで使うのはちょっと恥ずかしい。自分のキャラてきな面で。

負けるわけには行かないのでどうしても無理だったら使うしかないが……。


《スキル努力値が一定に到達しました。スキル「見切り」「みかわし」を獲得しました。》

《スキル「見切り」「みかわし」の所持を確認。二つが統合され、「回避E」を獲得しました。》

《スキル努力値が一定に到達しました。スキル「回避E」がランクアップし、「回避D」になりました。…》



ーーーーーーーーー


アームストロング王国第一王子であるアトラスは闘技場内で繰り広げられるどうみても不利な状況で戦っているクラスメイトを見て、その華麗な捌き方を見て、感嘆していた。

入学試験で、自分が1位でなかったことが悔しくないといえば嘘になるだろう。だが、今この戦いを見れば、悔しいなんて思っていた自分が恥ずかしい。

もし自分が同じ立場であったなら。

決して諦めはせずとも、あそこまで無傷でいることは不可能だったと思っている。

そんなことを思いながら見ていたこの戦い、ふと隣で観戦していたグレイ・アルスター君が険しい顔をして呟いた。


「明らかに奴のスピードが落ちている。」


聞き取れた人は少なかっただろう。5人組が何かを叫んでいたから。

だが、その両方を聞いていた者、5人組をじっと見ていた者は直ぐに観戦席から姿を消した。


ーーーーーーーーーー


グレイは今闘技場の通路を走っている。

目指す場所は、イベント以外の時は一般開放されている来賓用の観客席。先程自分がいた観客席よりも少々高い位置にある。

理由は5人組の言った一言と目線が動いた方向、そして俺を倒したクレスのスピードが明らかに落ちていたこと(・・・・・・・)

グレイの予想、直感が正しければ、先輩達の視線の先にクレスのスピードを落としている何か、或いは何者かがいるはず。

その予想はあたっていた。

来賓席への入口には…何人もの二回生が張っていた。


「おやぁ?正義感の強い一回生が来たみたいだぞ?」

「なんとまあ!3人も!いいねぇ、青春だねぇ!」


は?3人?

後ろを振り返ると、アトラス様とロイ様がついてきていた。

恐らく自分の呟きに反応して来てくれたのだろう。

それは今は問題ではない。

問題はこいつらをどう片付けるか。

強行突破をしようとしたその時、アトラス様が手で制し、


「グレイ君、ここはロイに任せてくれないか。」

「し、しかし…!」

「大丈夫、すぐに終わるさ。だろう?ロイ。」

「ああ、楽勝だ。」


なんでもないことのように言い放つロイ様に二回生達がキレた。


「この人数相手に一人だと?調子に乗るのも大概に───」

「ぎゃあ!」

「ぐほぉ!?」

「あぁー!!?」


瞬殺だった。

ロイ様は魔法の才能が素晴らしくあるようで対多用の魔法を使って全員を無力化してのけた。

感心するのは後でいい。まずはクレスのスピードを戻してやるのが先だ。


「な、なんだお前ら!?───ぎぃ!!」


来賓席に入るなり手刀で男を気絶させてすぐに闘技場内を確認した。

そこには、急に体が軽くなり、勢い余ってしりもちをついてしまったクレスと、狼狽える二回生5人の姿があった。

これで勝ちは決まっただろうが、クレスは何が起こったのか分かっていなさそうだったので声をかけてやった。


「クレェス!!元凶(・・)は取り除いた!ぶっ飛ばせ!!」


声に反応して、クレスは立ち上がり、軽くジャンプを繰り返し、二回生を見据えたまま、手を横に伸ばし、サムズアップをした。


グレイは笑う。奴は素手で、多対一でどんな戦いをするのだろうか、と……。

グレイは良い奴なんです。

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