自己紹介
自己紹回です
「ここが、君達Aクラスの人間が朝集まる教室だ。そして、私はこのクラスの担任を務める、『剣術』担当のサーシェス・アルアリーだ。よろしく頼む。
──そうだな、これから卒業までこのクラスで過ごすんだ。皆で自己紹介タイムといこうじゃないか?」
「え、そうなの!?」
「学長先生がそう言ってたでしょ…ってクレスは寝てたものね。」
先生の暴露に驚く俺をルナがつっこむ、学年の見分け方は聞いたけど…そうか、学長先生はそんな大事なことも言ってたのか……って
「ん?ルナは俺の前だったよな?なんで寝てたこと知ってるんだ?」
「そ、それは…そう!寝息!寝息が聞こえたのよ!!」
「うっそ!?俺そんなにうるさかったのか!?だとしたら申し訳ないな…」
「そうね、一応最高点で入学したんだししっかりした方がいいと思うよ。」
「気をつけるよ…。」
なんてルナと話していたらみんなの視線が集まっていた。いや、俺が驚いた時から集まっていたと思う。まだすこし寝ぼけてたせいか全然気が付かなかった。
サーシェス先生はニヤリとして、
「せっかくだから、我が校満点入学者のクレスから自己紹介してもらおうかな??クレス、前に。」
うへぇ…まじか…。
ぶっちゃけるが、転生前から自己紹介とか発表とかが苦手だった。それは今も変わらなかった。精神面の話だしな、外見と一緒に変わる方がおかしいか?
しぶしぶ前に行くと、みんなの視線が集中する。
俺はこれが嫌だった。自分の中まで見られるような気がして。
だから俺は早く戻るために簡単な自己紹介をした。
「えー、体育館でもご紹介に預かりました。クレス=ハーレィです。戦闘系の授業は全部とっているので、きっと皆さんとは必ず一回は一緒に授業を受けると思います。よろしくお願いします。」
拍手がおこる。それはまぁ、嬉しいけれど、視線が嫌だ…。
俺が席に戻ろうとした瞬間、前の方に座っていた少年が手を上げる。
「質問、いいかな?」
ま、まじかーーーーーい!!!
このタイミングで!?みんなの自己紹介終わってからでもいいじゃないか!!?
そんな視線を送ると、少年は
「何年、何十年ぶりの満点者だよ?皆の自己紹介が終わったあと他クラスからも君のことを知りたい人間が集まってくると思う。今でさえこの人数の視線を浴びて窮屈そうにしているのにもっと多くの視線に晒されるんだ。だったら今のうちに色々聞いて、僕も協力して他クラスに説明しようかと思ったんだけど、どうかな??」
俺、結構わかりやすいのかな?
と言っても少年の言ってることは正しい。俺ももしかしたらそうなんじゃないかとは思っていた。考えたくなかったからすぐ頭の隅に追いやったけど。
「質問したいのが本命だろうけど、そうして貰えるなら俺も助かるしな。仕方ない、質問したい奴は受け付ける!手をあげてくれ!」
そう言うとババババッ!!とほぼ全員が手を挙げた。
その迫力に気圧されながらも、質問タイムが始まった。
─────クレスについてQ&A─────
Q.入学前はどんなことしてたの?
A.自宅で本を読んだり妹と遊んでた。
Q.妹さんがいるんだね、ち、ちなみにお名前は?な、何歳かな?かわいい??
A.なんかダメな気がする!!名前はミントって言うんだけど他は教えないからな!!
Q.ハーレィってもしかして、クレス君は王国最強の…??
A.王国最強って言われているらしいね、俺も知ったのは2日前だけど、その人は俺の父だよ。
Q.やっぱり!サイン貰ってきて貰えたりしない?
A.サインって…自分で言いに行きなさい。
Q.小さい時はストレイ様に剣術とか教えて貰ってたりしたの?
A.いや、たまに狩りに連れて行って貰うけど、基本は母上やミントと遊んだり勉強してたかな。
Q.ルナちゃんとはどういう関係?
A.入学試験の時に初めて出来た友達…かな?
Q.ルナちゃんのことどう思ってる?
A.色々教えてくれるし、めちゃくちゃいい子だと思ってる。
Q.なんで戦闘系の授業を全部とったの?
A.色んな戦い方を知っておきたいと思って(あわよくばそのスキルの取得を狙って)
Q.セッサタクマってどういう意味?
A.えっと、お互いがお互いを刺激しあってより高みへ登る…って感じだったと思う…。
────質問終了────
「つ、疲れた…。」
「お疲れ様、クレス。」
「ありがとう、ルナ。」
今は俺への質問攻めが終わって他のメンバーの自己紹介だ。
知力が高いと、記憶力が高まるというのは実は前から知っていたので、名前と顔だけは覚えていった。
話はあまり覚えていない。疲れたからね。
高得点990点以上の何人かは同じクラスだった。
ただ、なんか王子みたいな名前の奴が1人いたような気がしたな…。
─────────────
HRっぽいのが(HRなのだが)終わると、ドドドドッ、っと廊下から音が聞こえてきた。
「クレス、みんな、来るぞ…!!」
そういって身構える俺達。みんなを指揮しているこの少年、俺の質問タイムを発動させた少年なのだが、実はこの国の第一王子らしい。
名前はアトラス。学園では生徒は皆平等な立場らしいので、敬語はいらないそうだ。
髪色は俺と近い金髪。身長も同じくらい。目の色は綺麗な青だ。顔は普通にイケメンだし、テンプレ通りの王子様だ。
アトラスの声が聞こえた直後、教室の扉が開き、ものすごい人数の生徒が集まってきた。
中には胸に付けるバッジの色が違う、他学年の生徒もいた。
ちなみにバッジの色は、一回生から順に、
黒、赤、青、碧、金、銀、白だ。この色はローテーションらしく、俺らの次の一回生のバッジの色は白になるらしい。
と、そんなことを考える余裕もないくらい人がやってきた。
そろそろ集中しようかな。アトラス達のお陰で生徒に群がられるとかはなかったが、人数が多すぎる。
そう思った矢先、また面倒がやってきた。
「クレス=ハーレィはいるか!!」
そう言って一回生をどかしてやってきたのは…赤、二回生の先輩だ。
人数は五人、みんなニヤニヤしていて気持ち悪い。
表面だけ取り繕って適当に相手すれば勝手に帰るだろうか?とりあえず様子見しよう。
「先輩方、僕がクレス=ハーレィですが、何か御用ですか?」
「おう、お前がクレスか、そうそう、御用があるんだよ、ちょっとツラ貸せや。」
「?はあ…ここでは言えないようなことなんですか?」
「うるせえ!早く来いよ!先輩待たせんじゃねぇよ…。」
なんでこう、変な奴らに絡まれるかなあ……。
野次馬と一緒に連れてこられたのは試験で使った闘技場だ。
ここに連れてこられたってことはもしかして…?
「この学園にはよぉ、クラス問わず数人のチームで戦うイベントがあるんだ。で、お前入学試験満点らしいじゃん?だから、俺たちのチームに入れてやるよ。」
そのパターンかぁ~~!!
難癖つけて絡んでくるタイプだと思ったけど全然違かった…!!
「で、お前もやるからには優勝したいだろ?だからちゃんと勝てるチームに入りたいだろうから俺らとちょっと模擬戦してくんねぇかな??そんで、俺達が勝ったらチームに入ってもらうってことで、どうよ?」
意外とまともな条件だな…これなら受けても大丈夫だろう。
「ええ、いいですよ。僕が勝ったら諦めて下さいね。」
「ヒュー♪大した自信だ、いいぜ、武器を選びな。」
俺はスキルレベルをあげるために籠手にした。というか、あんまり強そうじゃないし、籠手でいけると思っただけなのだが。
「じゃあ、始めようか?」
そう言って先輩Aは醜悪な笑みを浮かべた。
瞬間、俺の身体が急激に重くなる。
「これは…!!」
「ヒヒッ!じゃあいくぜぇ…!!」
と言って五人で襲いかかってきた。
(まじかよ…テンプレ通りじゃねえか……。)
俺は慣れない状態で戦闘を開始した。
身体が重くなる原因とは……。