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外道大魔導師ドラクロワ  作者: ゴリエ
最終章 それぞれの道
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それぞれの道⑤

 王女の帰還式から一年が経過した。ドラクロワとジャスティンは、王都の郊外の小さな家で静かに暮らしていた。

 ジャスティンは、やはりあの日以来魔法が使えなくなっていた。そして、それと同時に、心臓の傷みが襲ってくることもなくなっていた。それが何故なのか、理由は全くわからなかった。数多くの文献を調べ、ファーゼルにも協力してもらったが、いまだにその謎は解明できていなかった。

 ファーゼルは、ドラクロワ一族のことを「咎の一族」と呼んでいた。それは、まるで重い罪を背負った咎人が、罰を与えられて長い年月をかけて、その罪を償っているように見えたからだった。そう考えると、呪いが突然なくなったのは、長い長い時をかけて、ようやく許しを得られたということなのだろうか。ドラクロワは考えを巡らせたが、結局のところ、真相は闇の中でしかなかった。

 いつ呪いがまた再発してもおかしくはない。ドラクロワは、呪いと魔力の研究をするため、魔導研究員として、王宮の片隅で働きはじめた。

 形式としてはウィーズの後輩にあたるため、毎日のように彼にこき使われたりからかわれたりしながら、必死で仕事をこなした。二人のその様子をカインは呆れ顔で見つつ、時にはウィーズのいきすぎた行いを見かねて、止めに入ることもあった。まるで、学舎時代の頃に戻ったような光景だった。

 時々、大魔導師ドラクロワの噂が耳に入ってくることがあった。きっとジュニアなのだろう。

 国中には、いまだにドラクロワの賞金首の貼り紙が貼られていたが、ドラクロワが捕まったという話はついぞ聴かなかった。「大魔導師ドラクロワ」は、今も変わらず人々に恐れられていたが、その反面、たまに義賊のようなこともして回る彼は、決して、全ての人に嫌われているというわけでもなかった。

 ドラクロワの髪は今でも白髪のままだ。巷では、ジュニアが暴れまわって目くらましになっているし、その髪の色のおかげもあり、街で過ごすドラクロワの正体は、今でも誰にも気付かれることはなかった。

 その一方で、老人のような白髪をドラクロワは気にしていたが、ジャスティンに、「まるで真珠色のようだ」と言われたことで、それからはまんざらでもなくなっていた。

 ドラクロワの話を聞くたびに、胸が熱くなった。いつかまたジュニアに会える日が来たら、彼に言おうと思っていることがある。彼との別れ際に言いそびれた言葉―――「ありがとう」と、それから新たに「今とても幸せだ」ということも。いつかきっと、必ず言うのだと心に誓った。

 やがてジャスティンに子供が生まれた。黒い髪の愛らしい女の子だった。

 ドラクロワは、子供を抱くジャスティンにふと言った。

「ジャスティン。あなたの父君に、この子を見せにいきませんか?」

 ある晴れやかな日のことだった。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

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