蝶
気づけば 節目の年を迎え
社会人になろうとしている。
年代の彼岸に立つわたしが
「変わることが出来たのかな」と問う
天敵から身を守る
蜘蛛のように 糸を吐いていた
しかし 捕らわれたのは自分だった
気づきたくないことばかりだった
だから殻に篭って逃げる道を選んだ
自己への失望と社会への憤りは
尚もみにくい嫉妬ともにつきまとう
本当は、まだ劣等感のかたまりだったわたしが
繭に篭って泣いているんじゃないかと思う
溢れた雫の意味を考えるのが恐かった
ずっと 空白だった
自分の傷を埋めるかのように 見つけた仕事がある
わたしのようにはなってくれるなよ
そう思っていると いつしかわたしも必死となっていた
そして自分を必要としてくれる存在に気付いたとき、
わたしは漸く羽化できたのだと信じた
飛ぶのはまだ不器用だけれど
かつての彼岸は少しずつ遠くなっている
だからわたしは 自信はないけれど
「もう大丈夫だよ」と言葉を返そうと思った。