表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

最終話 前編

「お願いします。アキラ君をもう一度CABに乗せたいんです」

 出来る事なら、何でもしたかった。

 もしも奇跡が起こるなら、諦めたくなかった。

 最後まで、頑張りたかった。



――復活の泉――


 

「今日は丘から回ってみるか。まだ出現の噂は出てないからな」

「ふむ、そうじゃのう。わしはどうでもいいぜよ」

「私もそれでいいと思います。順番に回って行きましょ」

 リョウマさんが合流して、いつものように集まる。

 打倒人斬りIZO。  

 思い出を守るように、少しでも君に近づけるように。

 今日も私達は行くんだよ。



――始まりの丘――

 


 イゾウさんと初めて会った場所。始まりの丘。

 私はこの場所、この景色が大好きなんた。

 ルミエスタは意外と広くて、ものすごく近い。

 歩いて行くとすっごい遠いの。でも転送ゲート使うとすぐ着いちゃう。

 でも現実の世界は逆。意外と狭くて、ものすごく遠い。


 世界は広い、だなんてよく聞くけど。私の世界は狭い。

 電車で三十分も行けば大冒険。行動範囲は基本的に家の周り。

 歩いて行けるじゃんって距離も、私一人じゃ行けない。

 部屋のドアまでの道が、すごく遠い。

 この場所が好きなのは、ルミエスタが一望出来るから。

 どこまでも行けるって、そんな感じがするんだ。



――ティルエンド――



「うわ、久々に来たなここ。懐かしい感じするぜ」

「確かに、わしも余り来ないぜよ。用事もないしのう」

 ここは、二人で来た最初の街。

 イゾウさんが広場に立ったら、人が押し寄せて来てビックリした。

 イゾウさんが死んじゃうんじゃないかって言うくらい。

 それでもパニックになった人々を冷静に対処してて、優しいんだなって思ったよ。

 美味しくないスタピ、沢山飲んで頑張ってたね。

 レベルが上がって、飲むようになって分かった。

 私も、あれはうがい薬だと思う。



――バリ――



 この街はよく覚えてる。作戦成功の街。

 何かイゾウさんのお手伝い出来ないかなって考えて、どうすればもっと楽をさせて上げれるかなって考えた作戦。

 自分でもビックリする程上手くいきました。

 ありがとうって褒めてくれた顔、覚えてる。  

 嬉しかったな、役に立てたって感じで。



――旧道――



「ここにも居ないか。今日は出ないのかもな、フレンドからも全然情報は無しだ」

「なかなか上手くは行きませんねー」

「ん? 若葉の足元に何か居るぜよ」

 リョウマさんに言われて足元を見る。

 ちょこちょこと動き回る生物の正体。猫じゃない、限りなく猫に近い何かです。

「マジかよ。この前も見つけたばかりだってのに。若葉ちゃんは、マーを引き寄せる何かを持ってるんだな」


 マーでした。この前も会った、レアキャラさん。

 この前と同じように、いちごをあげます。

[マーのお礼を手に入れました]

「これ、何かな?」

「あー『思い出の欠片』か。残念賞だなそりゃ」

「残念賞、ですか?」

「使い道の無いアイテムなんだよな。まぁレアっちゃレアなんだけど、今のところは役に立ちそうもないって感じだ」

「そうなんですかー。でもいい名前ですね」

『思い出の欠片』

 いちごのお礼に貰ったのは、そんな素敵な名前のアイテム。

 鞄の中に入れて、次の街を目指します。



――アブネア――


 

 こうやって街を歩いてると、あの日の事を思い出します。

 サムライと、バニーガールの二人旅。

 あの日は最後まで行けなかったから。

 次はちゃんと、ゴールまで一緒に旅をしたい。



――カブファスト――



 ここは、私達がお別れする事になった最後の街。

 クレイジーさんと会ったのもこの街だよね。

 あの時は本当にすごかった、街中が人で埋め尽くされてたね。

 三千人くらいだったっけ。私もいっぱい声出したよ、あれだけ多いと並べるのも一苦労。

 二人で宿屋に行った時、私がお風呂に入ろうとしたらビックリしてたよね。

 実は、ちょっぴりドキドキしてたの。

 男の人とお風呂に入るってのは、いくらアバターでもやっぱりドキドキするんだよ。

 でもね、ルミエスタだったら何でも出来る気がするの。

 バニーガールの格好で歩くのだって同じ。

 ルミエスタの中の若葉は、もう一人の私。

 明るくて、元気な女の子。

 普段じゃ出来ない事だって、沢山出来るんだ。


 あの日、何で最後まで着いていかなかったんだろうって、今は後悔してる。

 まだ、頑張れた。

 もう頑張れないって訳じゃなかった。

 逃げちゃったんだ。

 あの時の若葉は、リアルの私。

 嫌な事からすぐ逃げ出す、臆病な私。

 誰かに理由を押しつけて、自分を納得させる。 

 イゾウさんを困らせたくない。

 本当は違う。怖かったんだ。

 頑張るのを止めちゃっただけ。

 思い出の欠片を拾い集めるように、あの日通った道を進む。

 イゾウさんを追いかけて、君を見つけるために。

  


 

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ