パーティが始まりました。
今日はパーティーの日です。
屋敷のみんなは昨日から浮かれています。特に母様!次いでアン。
男達は・・・・・どうでも良いみたい。しかし!あの馬鹿兄のソウだけは違う。
ソウ兄は昨日から何やら内緒らしきような・・・・・はっきり分からないけど、手紙?を書いて誰かに預けた。いったい誰にだろう?
多分、ソウ兄の彼女?それとも・・・・分からん!
まぁ、時が経てば分かるでしょう。しかし、しかしだ!私はフルとして立ち振る舞わなければならない!難しいし、怖い。何時もバレたらどうしょうかとビクビクしている私がいる。
そして、パーティが始まった!
「今日のお集まりの皆様。私のフローレンスが目覚めました。実はと申しますと、娘は長い間、伏せっていましたが神の御加護のお蔭で命が助かったのです。どうか、娘のフローレンスを祝って下さい!さぁ、フローレンス、皆様に挨拶をしなさい!」
「・・・・・・皆様。初めてお目に掛かります。私がフローレンスで御座います。私は1年余り伏せっておりましたが・・・・・目を覚ましました!これも神の御加護のお蔭だと思っております。どうか、皆様!これからも宜しくお願い致します。」
・・・・・私、選挙の演説みたいじゃないの。まぁ、一応はスピーチしたから。それにしても適当なスピーチだったわよね。どうでも良いけど。
母様も父様もみんなに囲まれて嬉しそうだわよ。
このパーティーは母様が開きたかっただけじゃない!娘を名目にさ~~!!
私の役目は終わったし、さぁ、食べるぞ~~~!
一週間前から緊張で食欲が無かったのよね!
そして、私は豪華な料理が並んでいるテーブルにイスを置いて順々に食べた。
ここの屋敷の食事ってなんで、美味しいんだろう。きっとコックの腕が良いのだわ。
そして、皆さんは私の方を見ておられる。・・・・下品だったの?私の食べ方。
父様が私の所へ来る・・・・・
「フル。どうだ?久しぶりだろう。皆に顔を見せて上げなさい!みな、お前に会えたのを祝ってくれているんだ。さぁ!」
「・・・・・父様。私、今お腹が空いているので後ではいけませんか?」
「ハハハハハ・・・・・緊張したんだな!よし。後で宜しい。」
「有り難う御座います。」
本当に・・・・おかしい!この世界の住人は。
私如きになんで、こんな派手なパーティーを開くんだ?
私はゴチャゴチャ考えていたら綺麗なお姉さんがやってくる。
「ご機嫌如何ですか?フローレンス様。あなた様のお噂は常々、伺っておりますのよ。わたくしはあなた様にお会いできて光栄ですの。アッ!わたくしはメリサと申します。。」
「・・・・(光栄?)はい。こちらこそ宜しくお願い致します。メリサ様。」
「そして、神の御加護を受けられました事。おめでとう御座います。わたくし、あなた様が羨ましいですわ。」
「・・・・・?」
「ホホホホ・・・では失礼致しますわ。」
・・・・光栄?光栄ってなんだ?私が羨ましい?なんでだ?
それにしても「神の御加護」っていうのは凄いの?
まぁ、どうでも良いけど。
そして、次から次へと私に挨拶をしてくる。
皆さんは口々に「神の御加護を受けられたお姫様」ってね。
別にお姫様ではないけれど、折角だからお姫様にならなくっちゃ!
母様に悪いもん。だって綺麗なドレスを準備してくれたし。
ついでに、一杯、愛想も振りまいておこう!
私は母様を見た。やっぱり終始笑顔だわよ。次いでに父様はやっぱり笑顔。
でも、疲れた!笑顔を振りまき過ぎた!!
「アン。何処か静かな所はない?私、疲れたの。」
「お嬢様。御座います。案内しますわ。」
アンに連れて行ってもらった場所は屋敷の東庭。
ここは静かだし花も咲いていて気持ちがいいのよね~~~。
私は誰もいないのを確認して思いきって寝転んだ。
やっぱり気持ちいいわぁ~~~~!!
・・・・・眠くなるじゃないの!
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ目を瞑ろう。
「フローレンス嬢。フローレンス嬢・・・・起きて下さい。フル!」
「・・・・・だあれ~~。もう少し寝かせて」
「フローレンス嬢。フローレンス嬢・・・」
「もう~~!いったい誰なの?私を起こすのは!」
私の唇が何か変?
思わず起きたら・・・・・誰?この男は!
「・・・・・・あなた様は誰ですか?」
「お忘れですか?私はカイル・コット。カイルです。」
「カイル・コット?」
(何処かできいたような苗字だわ。何所だったっけかな~~~)
「改めて、初めまして。フローレンス嬢。どうして此処に?」
「・・・・疲れたからですの。私、あまり人込みが好きではありませんの。」
「そして、寝ていたというわけですか。」
「・・・・・だって、人間はお腹が一杯になると眠くなるものですわ。」
「・・・・・・クククク・・・ハッ!ハハハハ・・・」
「カイル様!何故、笑うのですか?失礼では御座いませんか!!」
「いや、あなたが・・・クククク・・・・失礼。」
(何?この男は。いやに煌びやかだし。金持ちのボンボン?それにしても、人の昼寝の邪魔をしておきながら笑うなんて、最低!)
この時、遠くから誰かが呼んでいる。「
「カイル王子・・・カイル様~~~!」
「・・・・見つかってしまった!」
「・・・・・王子?・・ですか。あなた様は。」
「そうだ。それが何か?」
「いいえ。お付の方が呼んでおられますけど。」
「・・・・・私は王子だが。」
「ええ。今、聞きました。それが何か?」
「・・・・・・・・・」
「王子様。呼んでおられますが、行かなくても宜しいのですか?」
「フフフ・・・フローレンス嬢。また、お会いしましょう。」
そう言って行かれましたが。何?あの男は変なヤツ。
折角、良い気持ちで寝てたのに~~~!
・・・でも、まてよ!あの男は王子って言っていたわよね。
なんで、このパーティーにいるんだ??