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一応、お姫様なんだけど。  作者: フルーツサンド
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そんなバカな!

いったいこの夢は何なんでしょうか?

私が目を開けた事で私の周りに人が集まって来られています。

そして、皆さん口々に「フル!よくぞ目を覚ましてくれたものだ!」とか「フル・・・・」とか言っています。

私は、あの女の子の代わりにこのベッドで寝ているだけなのに。

それに皆さん、私を見ても不審者とは思っていない。だから、声をかけてくれるのよね。

するとお医者さん?と思うような男の人が私の脈などを見て「信じられん!」と一言ポツリ。

すかさず、イケメンのお兄さんが「先生!フルは如何なんですか!!」と食いついている。

「・・・・・私もこのような事は初めてで御座います。フローレンス様におきましては・・・・神の御加護が受けられたと思われます。」


「神の御加護なのか!」


「良かった!!フルが助かった!神に感謝を!」


何が神の御加護?何が良かったの?全然、分かりません。

それから皆さんは代わる代わる私にキスをして。マジでリアル!!

今、私の身の上に起っているのは夢だよね?!

「グゥ~~~!!」

キャー!恥ずかしい~~~!夢の中でもお腹は空くんだ!


「・・・・・・・!アッ!ハハハハ・・・・・・」


そうなのですよ。私のお腹の虫が鳴いてしまったんですよ。

すると皆さんが笑顔で誰かを呼びつけて指示をだして頂いてアッというまに食事の用意ができています。まるでドラエもんの世界みたい。

でも、私の前にはスープのみ。それも茶色をした液体。

お医者さんは「目覚められて直ぐに食事は無理かと思いますからスープから始めましょう。」

こんなスープは飲んでも大丈夫なのか?

だけど、お腹の空いている私。恐る恐る一口をすくって・・・・?何故、皆さんは見ているの?

そんなにスープを飲むのが珍しいのか?

その中の一人の女の子が「皆様、そのように見つめられておられますとお嬢様が飲めません。ですから、ここは私が見ております故、お下がり下さいませ。」


何?この子は。私はこの子に救われた感じ。

「さあ、お嬢様。もう誰もいませんからごゆっくりお食事をなさって下さいませ。」


「・・・・・・・・。」

私は「有り難う」って言いたいんだけど言いそびれてしまったのよね。

だけど、このスープって美味しい!!色は別だけど。こんな美味しいスープって何所に売っているんだろう。お腹の空いている私は凄い勢いで飲んでしまったから「おかわりが欲しい」とつい口から声が出たの。

そりゃ、この人はビックリして急いで何処かへ行ってしまった。

そして、さっきの人達がドカドカやって来て「フル。大丈夫なのか?」「無理はいけない!」とかいろいろ言われていますが私は自分がおかしい事は言ってないハズ。

ついでにさっきのお医者さんまで来て「フローレンス様・・・・」言葉続かず。

私を見ていた母親らしき女の人が「ホホホホ・・・フルは長い間、眠っていたのですからお腹も空きますわよ。」って。なんで私が長い間、眠っているのよ?これって夢よね?

私の頭はクエスチョンマークでいっぱいだ~~~!!

そして、この日は納得いかないまま寝てしまった。

だって、お腹がいっぱいになると眠くなるのは人間の心理だもの。



朝になってこれは夢だった!って思って目を開けたら・・・・・・何?この部屋は。昨日と同じ!

「ウソでしょう~~!!!・・・・・痛い!」

私は昨日と部屋の景色が変わってないことに思わず叫んでしまった。それに・・・思わず手の甲をひねってみたら、痛い。でも、私の手を見るとなんて綺麗な指なの。それにシミ一つ無くまるで白魚みたいだわ。髪を触ったら・・・・ロングで巻き毛??なんなのよ!!

じゃあ、私の顔は?手で顔を触ってみると・・・・私の顔じゃない!

『ヤダ~~~!!!』


「お嬢様!如何なさったのですか?怖い夢でも見られたのでしょうか?」


「・・・・・・・すみません。・・・・大きな声をだしてしまって。」


「・・・・・・・・お嬢様?・・・」


「・・・・・ところで、お嬢様って誰ですか?」


「・・・・・・・!お嬢様、少しお待ち下さいませ!」


私、私は誰?慌てて出て行った女の子の顔が悲愴ひそうだったわ。

でも、此処は何所なんだろう?

皆さん、私のことを「フル」って呼んでいたから私の名前は「フル」多分。

そして、あの女の人はきっと母。その隣にいたのが父?じゃあ、あの2人の男の子は?

私はきっとあの子なんだ。って事は・・・・夢じゃない!

こんなリアルな夢が二日も続くハズがないもの。

じゃあ、私があの子で、あの子は誰?

そんな事を考えていると部屋の外はドタドタ、バタバタ。

「バァ~~ン!!」


「フル!大丈夫か?何があったんだ!!」


「フル、わたくしが誰か分かりますか?」


「・・・・・フル!父だ!分かるか?」


「フル!!俺だ!」


「・・・・・フル。悪い冗談だよね。」


「・・・・・・・?あの~~、皆様は誰なのですか?」


「フローレンス様。此処は何所で御座いますか?そして、お母様のお名前は?お父様は?」


「・・・・・・・・分かりません。・・・私はどうして此処にいるのですか?そして、此処って何所?」


「あ、あなた~~~!私のフローレンスが・・・・・」


「ジェス、いったい如何なっているのだ?」


「フローレンス様。あなた様のお名前は分かりますか?」


「フル。多分だけど。」


いったい、どうなってるの?私の名前は・・・・あれ?なんだっけ。

私、ヤバイよ。自分の名前を忘れてしまったじゃないか!

ジェス医師だっけ、こっちが聞きたいわよ。

私は黙っていたらジェス医師は「旦那様。まことにお気の毒で御座いますがフローレンス様は記憶が無いと思われます。残念ですが。」


「ウソ!じゃあ、フルは如何なるの?ジェス!」


「奥様。フローレンス様は生死を彷徨さまよっておられたお方。それに、命を落としても仕方がなかった病。ですが、神の御加護で目を覚まされました事が大変喜ばしい事です。記憶など一時的な事だと思われます。」


「もし、記憶が戻らなかったら?」


「・・・・・・・その時は・・・・・」


皆さんは私のことで言い合っているけど、記憶喪失になるなんて私自身でも信じられない。

・・・・・まさか?私はあの子に憑依したの?

まさか、私の人生はこの知らない世界で暮らすの?

まさか、私・・・・・異世界にトリップしたの?


そして、私はいつまで続くか分からない人生を、こんなバカな事などあるはずがないと思いながら私の新な人生が始まった。


なんで、私なのよ~~~!!


それに「神の御加護」ってなによ~~~!!






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