表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

序章 真紅の月

スランプだと言っていたのに懲りもせず新作です。

メインは別作品ですので更新スピードはかなり遅めだと思いますがお付き合い頂ければ幸いです。

西暦2015年7月18日(土)

PM 8:00

静岡県御殿場市

富士山御殿場口(標高1440m)

side 近衛慎也(このえしんや)



 ミニバンの扉を開いて外に出ると、澄んだ夜空が目に入った。

 久しぶりの富士山だからかもしれないが、東京(いえ)から眺める夜空と明らかに違うことが分かる。

 圧倒的な星の数。

 肉眼でここまでよく星が見える場所はそうそう無いだろう。

 加えて今日の夜は月が昇らない。


 すぐ近くに照明があるのは不安材料だが、こればかりは文句を言っても仕方ない。


 俺はミニバンの後ろに回り、扉を開いて望遠鏡を抱えていた父さんから望遠鏡をひったくり、観測ポイントに向かう。

 25cm口径の反射望遠鏡を使うのは今日が初めてだ。

 一体今日はどの星の姿を見せてくれるのだろうか。



 決めるのは自分たちにも関わらずそんなことを考え、ふと上を見上げた。



 そこには、絶対にあるはずのない物が鎮座していた。



 月だ。


 真紅の月だ。



 赤い月、というものは確かに存在する。

 光の屈折によって昇った直後や沈む直前にそう見えることはあるのだ。

 原理としては夕焼けや朝焼けと同じだ。


 しかし、今俺の頭上にある『月』は、頭上という表現から分かるように、天頂部分に存在している。

 それは絶対にあり得ないことだ。

 赤い月は一時的な存在であって恒常的な存在では無いのだから。

 空高く昇れば次第に白銀の月へと変わるのだから。


 しかも、その月は大きすぎる。

 本来の月より3割近く大きいのだ。


 いつの間にか俺はその場に立ち尽くしながら月を眺め続けていた。

 いや、目を離せなくなったのだ。

 必死に顔を別の方向に向けようとしても、『目』がその行動を許さない。


 どれだけの時間が経ったかは分からない。


 夢か(うつつ)かの区別もつかない。

 だが俺は確かに聞いた。



『フフッ……ようこそ。血の舞踏会ブラッディ・カーニバルへ』


 高らかに宣言する無邪気な少女の声を。


 それとほぼ同時に月の姿が歪み、俺の意識は一瞬にして吸い込まれた。




誤字脱字や文法的におかしな表現の指摘、評価感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ