表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

こどく

作者: 蔵樹りん

「……そっちの門をくぐるのか? さっき説明した通り、その道に進むと……」

「ええ、ちゃんと理解しています。その上でそうしたいのです」

「そうか……分かった。通って良いぞ」


 しばらくして、また新たな人間がやってきた。この場所の説明を聞いた後、先ほどの人間がくぐって行ったのと同じ門に向き直る。


「……お前もそっちの門をくぐるのか?」

「はい」

「考え直す気はないか? そっちに行くと、二度と戻って来れないんだぞ?」

「お気遣いありがとうございます。でも、それが私の望みですから」

「……分かった。通れ」


 一礼して門をくぐった人間の姿を見送って、門番はため息をつく。

 憂鬱そうな門番のそばには、白い門と黒い門とが建っている。


 白い門の先に続くのは、いわゆる生まれ変わりの道。もう一度人間として生を受けることが出来る。

 黒い門の先に続くのは、終焉の道。この道に進むと、もう二度と地上で生を受けることが出来ない。


 どうにも最近、黒い門をくぐる者の数が増えているなと門番は感じた。


 門番はこれまでにやって来た人間たちのことを振り返る。


 人間として再び生まれ変わることを望むのは、他人に気をつかうことなくを通し、己の思い通りに生きる者が多かった。

 さぞかし人生を謳歌したのであろう。生まれ変わりを望むのも当然だ。


 逆に終焉を望むのは、他人に配慮し続け、それがゆえに生きづらさを抱えているような者が多かった。

 次の人生でまたつらい目に合うくらいなら、いっそ全てを終わらせたいと思っても不思議ではない。


 門でのやりとりを長く繰り返してきた門番はふと思う。


 このままでは、他人を思いやれる人間がどんどんいなくなるのではないだろうか?

 その結果、少しずつ息苦しい世の中になっていく気がしてならない。

 生まれ変わった者の中にも、やがて自分本位で生きられなくなり、他人のために心をすり減らす者が出るだろう。

 そんな生き方を続けて人生を終えた時、今度は白い門ではなく、黒い門を選んでしまうかもしれない。


 二つの門による選別を繰り返した世界。

 最後に残るのは、一体どんな人間であろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ