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第一章 炎が裂いた絆、炎が呼んだ絆 3

 私は北天以外の地について、ほとんど知らなかった。知っていたのは国の中心にある央天、それを基点に東方に『東天』、西方に『西天』、そして南方に『南天』と呼ばれる地があるということ。

 北天の地にはあの村しかなかった。それ故にこの地に残る必要は微塵も無くなった。誰でもいいから生きている人間に会いたかった。全ての遺体を埋葬し終えてそれぞれに祈った後、私は央天を目指すことにした。

 しかし、私は海峡を越える方法が無いことに、そこに至るまで忘れていたようだ。どうしようかと途方に暮れていたところで思いもよらないことが起こった。央天から来たと言う人々に出会ったのだ。

彼らは私が特異な能力を持っていると聞き、是非とも研究してみたいとこの地を訪れたのだそうだ。まったく研究熱心な方々だと感心したのを覚えている。

ともかく彼らの研究とやらに協力すればこの地を出て央天に行ける。私は彼らと固い握手を交わし研究への協力を快諾した。


 央天に向かう道中、何故私の力を研究したいのかと問いかけてみた。彼らが言うには、戦争を終わらせるための絶対的な抑止力を作りたい、という理由だそうだ。私には自身がそれほどの力を持っているとは思えなかったが、戦争を終わらせることができるならばそれを信じるのも悪くないと思えた。

 央天に着いた私は、その華やかさに圧倒された。見るもの全てが新鮮で、あれは何か?これは何か?と、一日中聞き続けていた。街の様子だけではなく研究所とやらに着いてからもそうだったことで、彼らからものすごく笑われたが悪い気はしなかった。


 彼らの研究に協力していく内に判ったことは、彼らが『龍種』に強く心惹かれていたということだ。

 龍種とは、他のいかなる生物にも決して劣ることがないと言われるほどに高い知能、身体能力を持つ稀少な原生生物の総称で、誰もが一度は見てみたいと思うものである。

龍種は、人々が戦争を始めてから人との積極的な交流を避けるようになった。その力を利用されることを恐れたのだろう。それに加えて、力で抑えつけることの危険さを彼らは知っていたのではないだろうか。何にせよその時期の私には理解できなかった話だ。

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