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第一章 炎が裂いた絆、炎が呼んだ絆 1

 過去にそうであってほしかったと願ったならば『むかしむかしあるところに』と、そう言えばいい。

 私は真実を語る術を持っているものの、お伽噺を語る術は、どうやら持ち合わせていないようだ。少々残念ではある。


 私が他人と違うということに気付いたのは、まだまだ子供の頃であった。きっと私の親はもっと前に知っていたのだろう。もしかすると私が産まれたときには既に知っていたのかもしれない。しかし、それを確かめる手段はもう無い。



第一章 炎が裂いた絆、炎が呼んだ絆



 十字の形をした島国『ミートゥリア』。その北方部『北天』と呼ばれる地域の最北端に私の生まれた村があった。


 ……いや、村の事よりも先にミートゥリアについて話そう。

 私が生まれた頃は、世界中で力を誇示しあう時代であった。互いの力を兵器という形でぶつけ合い、破壊し合い、勝った方が負けた方を支配する。些か回りくどい言い方をしたが、要するに征服戦争である。

 ミートゥリアはその世界においては異端。絶対的な力を持ってはいたものの、その力は国を護る為だけに使われ、決して他国を攻めることはなかった。国の周囲は強力なバリアに覆われ外部からのあらゆる侵攻を阻んでいた。他にも様々な物が開発されていたことは知っているものの、私の興味を惹かなかった物は忘れてしまった。ただ一言余計な事を言わせてもらえていたならば、「狂っている」と、私は彼らにそう言ったであろう。

 そんなおかしな連中が統治していた『央天』から北の北天へ。ちょっとした海峡を越えて最北端。私の生まれた名も無き村。

 お伽噺に『邪龍ガルマンドを封じた地』とある。私の一族は、封印を施した者の直系であると言い伝えられていた。しかし、所詮はお伽噺だろうと、一族を含め村中の者のほとんどが信じてはいなかった。少なくとも私が生まれるまではそうであった。

 お伽噺の邪龍の最期の言葉に、


「まあかきひとみ まくろなみぐし われの のろいを さずけよう」


とある。


私の容姿は真紅の瞳に真っ黒な髪。


 邪龍は続ける

「しねぬは このうえなく くつう われは しねるをよろこぶ」

と……


 目の色、髪の色だけならば偶然で軽く流すこともできたのだろうが、運が悪いのかどうか知らないが私はどんなに頑張ろうとも死ねなかった。傷が治るのも異常に早かったし、とてつもない怪力も持っていた。何をやっても万能だったことも合わせて、私は人々から避けられていたし、私自信も人々を避けて暮らしていた。

 子供の頃はそれで良かった。山に籠って自分にできることとできないことを探ったりして充実していたから。

 歳が十を越えてきた頃からは、それがとても寂しく思えてきた。しかし、この村に居る限り、私は他人と友好的な関係など築けないことも理解していた。村を出ることも考えたが、結局その考えも無駄に終わった。

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