第八話 足りないもの
今回は早く投稿できました。嬉しいです。
それでは本編へどうぞ!
とある会議室で先生達は頭を悩ませていた。
目下の目標はあるにしろ、どうやってそうしようかと考えていた。
「……………………鈴木先生、どうしますか、これ。」
そんなことを言うのは学園長である御年65歳の地南雲剛。3年前にこの学校、西港旋律学園に赴任してきた先生である。かなり優しい。生徒からはその優しさ故、人気がある。
「どうすると言われましても、どうにも……………………。」
そう反応するのは鈴木トウヤ。言わずもがなトワ達のクラスの担任である。冬夜は困惑していた。それに対して。それとはズバリ、食料である。急いで避難してきた結果この学園には食料や水、その他諸々がないのである。せいぜい持ってあと6日。しかもそれらは全て乾パンなどの非常食。何とも味気なくて不味い。
それに6日しか持たないのも問題だ。あと6日程度でこの事態が収まるほどこの悪魔の件は簡単に収まるものではないのは誰の目から見ても明らかだった。
というわけでこの食料問題を解決しようと蜂起したのがこの学園の先生達だったのだ。考えることなら誰でもできる、なんせここら辺にある業務用スーパーに行けば食料なんて置いてある。しかし、行動できないのが問題だった。つまるところ、誰が業務用スーパーに行くのか、というのを決めているのだ。
話は少し戻り、
「…………トワ達、悪魔を倒せる人達がいけばいいのでは?」
そう提案したのは木下蒼汰だった。名案か?と思ったその矢先、学園長の剛が口を開いた。
「生徒たちに取りに行かせるとは何事だ?それに彼らは先日の戦いで疲弊してる。それなのに仕事をしてこいと、君はそういうのか?私はそんな事は絶対にしない。それにこういう時こそ大人の力を見せるべきではないのか?年端もいかない子供たちに背負わせて何が大人だ!大人なら、子供に背負わせないようにするものだろう!分かったならこの案は却下する。」
学園長が珍しく声を上げ会議室にいる先生達は驚いた。
と、こんなことがあったりした。なので誰が行くのか今だ決まってないのである。体育館にいる大人達に行かせようとしても誰も彼も怖がってまともに体育館の外に出たがらない。なので非常に困っていた。決めようと、決めようと、そんなことを考えてはや30分。答えは未だ出ず。
その結果が今である。学園長は行こうとしているけれどもう齢65歳のおじさんだ。正直言って走れるほどの体力もなく、重いものを持ち上げるだけの筋力もない。なので校長は残念ながら戦力にはならない。しかし、こんなことでうだうだしてるだけの時間もないので、必死に答えを出そうとしている。
「そういえば、トワくんは大丈夫かい?」
校長がそう訊いた。
「トワは、一昨日寝てからまだ目を覚ましません。でも植物状態とか死んでいるというわけではありません。ちょいと長い睡眠のようです。」
トウヤはそう答えた。
「そうか、そうだったら彼はとんでもないロングスリーパーだね。」
学園長が頬を少し上げてそう言った。因みに今の時刻は朝の7時。トワはかれこれ1日は寝ているのだ。
「トワくんの眠っている理由は?」
「未だ分からず、というやつです。」
「そうか、ありがとう。」
学園長が顔を俯かせて答えた。そんな空気の中会議室の扉が開く音がした。
「鈴木先生!トワが起きました!」
入ってきたのはトワのクラスメイト1人の剣持ユキ。それを聞いたトウヤはガタンと音を立てて席を立った。
「それは本当かユキ!」
「はい!本当です!」
トウヤは安心したのか椅子にへたりこんだ。そこで校長は口を挟んだ。
「行ってくれ、鈴木先生。君の教え子なのだろう?ならば君が行かないと。」
トウヤは目を大きく開いてびっくりした。
「学園長、それは、その、会議はどうするのです?流石に会議の最中に抜け出すなど…………。」
「会議などどうでもいい、そんなことより君はトワくんの心配をしろ。担任なのだからな。」
学園長は優しく微笑んでそう言った。トウヤは目頭が熱くなるのを感じながら答えた。
「ありがとう…………ございます…………!」
学園長は何も言わずただ微笑んでいる。
トウヤが会議室の扉に手をかけ学園長の方に振り向きながら言った。
「失礼しました。」
◆
昨日とは違う夢、何か、苦しくて、辛くて、悲しいようなそんな夢。でも、所々抜けていて結局その夢が何なのかは分からない。
「……………………?……………………?……………。」
目の前がボヤける。ここはどこだ?俺は何処にいる?分からない。
「……………………あ……………………。」
少しだけ声が出た。眩しいなぁ…………。まだ、寝ていたい。
「…………あ…………あ…………。」
さらに眩しくなった。
「……………………うん?」
ここは?嗚呼、そうだ、俺、疲れて寝てたんだ。今は何時かな?7時くらいなのかな。それすら分からない。眩しい、カーテンを付けてくれ。目覚めたばかりの日光は俺には眩しすぎる。
?何で俺を見てそんなにびっくりしてるんだ?
うわっ、いきなり大声出すなよな…………。
え?俺、丸一日寝てたの?
◆
「あ、やべ、忘れてた。」
ヒカルはふと、忘れ物をしたことに気づいて教室に戻った。そこで目にしたのは布団から体を起こしたトワの姿だった。
「お…………お…………起きてる!!!」
ヒカルがそう大きい声を出した。それにトワはびっくりして少し跳ねた。トワはまだ、寝ぼけている最中だ。
「お前起きてたのかよ!!なら声出して知らせろや!!」
ヒカルがトワの両肩に手を置いてトワを問い詰めた。それによって完全に寝ぼけが消えたトワは言い返した。
「いや、ついさっき起きたしそれは無理だろ。
しかも俺、寝ぼけてたんだぜ?」
「うるせぇ!関係ねぇ!!」
「それは理不尽だろ!!」
その声に釣られてきたクラスメイトたちは目を大きく開いて次々にトワの周りにやってきた。何があった、だの、大丈夫か?、だの様々な声が周りから聞こえてくる。
「俺は聖徳太子じゃねぇよ!そんないっぺんに言われても聞き取れるわけないだろ!!」
そうツッコんだトワに周りは申し訳なさそうに、
ごめん、とクラスメイト達は謝罪した。
「いや、いい。で、今はどういう状況だ?」
「お前なぁ……………。まあいい、状況としてはお前が丸一日寝ていたから起きたことに驚いてるって感じだ。」
ヒカルがそう言った。
「……………マジ?」
トワが心底驚いたような顔をして言った。
「マジ、大マジだ。」
「……………マジかよ。」
ひとまず落ち着いたクラスメイトの1人、剣持ユキが呟いた。
「そうじゃん、先生に言いに行かないと……………。」
それに反応してトワが言った。
「それって言う必要あるのか?」
「あるに決まってるじゃん!先生だって心配してたんだから!」
その圧に押されてトワが、お、おう………、と返事をした。ユキが腰を上げて言った。
「じゃあ私、会議中だけど先生に言いに行ってくるね!」
元気よくそう言って、急ぎ足で教室から出ていった。
「……………何でユキはあんなに元気なんだ?」
トワが疑問を口にした。
「何でって、そりゃあ、ユキもお前のことを相当心配してたからに決まってるだろ。お前が起きるまで目に見えて元気がなかったんだからな?」
ヒカルが呆れたようにトワを見ながら言った。
「そうか、ユキにも心配をかけさせたな。今度何か手伝うか。」
トワが微笑を浮かべながら言った。それから少し経ったあとユキとトウヤが教室に来た。トウヤはトワのことをみた瞬間、安堵の表情を浮かべて近づいた。
「トワくん、体は大丈夫かい?何か変なところがあったりしないかい?」
「大丈夫です。特には変なところもありません。」
「そうか、良かった……………。」
トワの手を握って嬉しそうに呟いた。
鈴木トウヤは24歳の新任教師だ。教師になって1年目でこの学園に赴任してきた先生だ。それ故生徒達との距離も近いし仲もいい。それにお人好しだ。
「そういえば会議中だったんですよね?抜け出してきて大丈夫なんですか?」
トワがそう訊いた。
「大丈夫だよ。校長先生が許してくれたから。」
「……………優しい人ですね。」
「そういえば会議って何の会議をしてたんですか?言えないようなことだったら言わなくても大丈夫ですけど。」
トワが訊いた。
「別に言えないようなことじゃないから大丈夫だよ。それと会議は食糧問題について話し合っていたんだよ。」
「食糧問題、ですか?」
「そうだ、食糧問題だ。生憎この学園にはあと6日程度の食糧と水しかないんだ。だから、それを取りに行こうって話になったんだけどね……………。」
「食糧なら、そこら辺のスーパーにでも行けばいいじゃないで……………。」
そこまで言ってトワは気づいた。
「気づいたかな?そう、業務用スーパーに行く人がいないんだよ。体育館にいる大人達に行かせようとしても誰一人として行こうとしないし、なんなら体育館から出るつもりもないみたいだ。だから困ってるんだ。」
トワは少し考える素振りを見せてトウヤに対して言った。
「先生、案があるといえば信じますか?」
「案だって?」
「そうです。」
「分かった、聞こう。」
「簡単な話です。俺達を行かせればいい。」
それを聞いたトウヤは驚いた顔をして言った。
「そ、そんな事出来るわけないだろ!君たちはまだ子供だ!そんな君達に頼むなど、大人失格だ!!」
「でも、しょうがないじゃないですか。誰一人として行こうとしないんですから。」
「で、でも……………。」
トウヤは言葉を詰まらせた。
「大丈夫です、先生。俺達はもうそんなに弱くありません。」
安心させるようにそう言った。トウヤが暫く考えて口を重苦しく開いた。
「本当行くのかい?怖くないのかい?」
「怖くないと言えば嘘になります。そりゃあ怖いですよ。死ぬかもしれないのに怖くないやつなんていません。でも、ここで怖がって行かなかったら俺たち全員飢え死にだ。それなら行くしかないでしょう?それにヒカル達がいれば怖さだって軽くなります。」
「そうか、なら僕からは何も言えないね。でも無断で行ってはいけないから、ちゃんとそれは校長に報告するんだよ?」
トウヤは諦めたような顔をして言った。
「はい!」
トワは少し顔を明るくして言った。
ふと、トウヤが外を見ると、窓には一面雲一つない晴天が映っていた。
いや〜今回はモチベーションがかなり高かったので2日で書いちゃいました。自分でも驚きです。それに一昨日と昨日含めてかなりの人に見てもらえました。それが嬉しくて仕方がありませんでした。もし良かったら感想の方をお待ちしております。




