第七話 休息
遅れてすいません。それでは本編へどうぞ。
「全く人使いの荒い………………。」
そう不満をこぼしたのはトワだった。
「俺はあのデカブツを倒したんだぞ…………やっつけたんだぞ…………。それにしては俺の扱い雑じゃないか。あのヒカルの奴、俺を従者か何かと勘違いしてないか?そうだとしたら一発ぶん殴ってやる…………。」
そうぶつくさ言いながらも仕事には手を抜かず丁寧にでも早くこなしていた。
「オッス、トワ。元気に仕事してるか?もしかしてサボってるわけじゃないよな?それと、腕は大丈夫か?怪我してただろ。」
茶化しに来たのはヒカルだった。
「サボってるわけねぇだろ、ぶちのめすぞ。腕に関しては何でかわからないが治ってる。何でか分からないけどな。」
トワがキレ気味にそう返した。
「なんかそれ怖いな。それにしてもすまねぇなトワ、でもそれはおまえにしかできないんだ。終わったら飴ちゃんでもやるから元気出せよ。」
少しも申し訳なさそうにせずにヒカルが冗談っぽく言った。
「俺はそんな子供じゃねぇよ!それに、おまえにしかできない、つっても俺以外にも人がいるじゃねぇか!」
トワはさらにキレた。
「あ、確かにそうだったわ。それならあの言葉は必要なかったな。それと、飴は要らないのか?」
「いる!」
食い気味にそう言った。今トワは何をしてるかと言うと校庭の修復とその周りのグリーンカーテンみたいなものに木を使って丈夫にしていた。何故、修復してるのかというと、このグリーンカーテンは悪魔のせいで所々破けていて普通に侵入できるレベルだったからだ。
だから、修復することで、悪魔が来てもある程度攻撃を防げるからである。ちなみにそれにはトワ以外にもあと20人程度参加していた。言ってしまえば土木作業である。でもトワは別に土木作業が嫌な訳では無い。
問題なのは疲れているということだ。トワはあのデカブツとの戦闘の末かなり疲弊していた。少しでも労いの言葉が欲しい位だ。だからこそ、苛ついていたのだ。正直トワはこの作業をほっぽり投げたいくらいの気持ちでいる。しかし、それはトワの考えに反するので不満を垂れながらもしっかり作業していた。
「そうは言っても仕事はしっかりしてんじゃねぇか。」
「当たりめぇだ、この状況で仕事ほっぽり出すほうが非常識だろ。ただでさえ今はまともに動けるやつが少ねぇ、大半の奴は恐怖やらパニックやらでまともに体育館から出れないのが現状だ。その中で貴重な働けるやつが仕事ぶん投げてみろ、たった1人だけでも作業スピードはかなり落ちる。それに悪魔がここに来たときに倒せるのは今の所、俺とヒカル位しかいない。そんなギリギリ綱渡りの状態で仕事をサボれるわけねぇだろ。」
トワがそう言った。
「確かにな、それもそうだ。じゃ、俺は校庭を徘徊してくるから。なんかあったら言えよ。」
「おう、分かった。」
トワがそう返した。
そのままトワは作業を続けていきほぼほぼ終わるとこまで進めた。他の作業者もトワと同じくらいには進めていた。トワは少し疲れたから休んでいたときに、1人の男がやってきた。
「トワ、お疲れ様。大丈夫かい?」
「あ、小鳥遊先輩。先輩もこの作業やってたんですね。それと大丈夫ですよ、少し疲れただけなんで。」
「いや、大丈夫ではないだろう?だってトワはあのデカブツを倒したんだ、普通に学校生活を送っていれば戦うことなんてしない、相当疲れてるはずだ。作業は本当にあと少しだけど、あとは僕たちがやっておくからトワは休んでいていいよ。」
トワの先輩、小鳥遊ハジメは労うようにそう言った。
「いえ、そういうわけには行きませんよ先輩。俺にはここにいる皆を守るためにもここにいますから。」
トワが反論した。
「そうかい、なら僕は何も言わないよ。でも作業は任せてくれ。トワは僕たちを見守ってくれるだけでいいから。」
「それが最大の譲歩というわけですか。分かりました、先輩がそう言うなら。」
トワはハジメの意見を受け入れて、少し離れた場所からハジメたちを見ていた。しかし、残りの作業はほんの少しだけだったので10分くらいしたら終わった。
「本当にありがとうございますハジメ先輩。」
そう言いながらハジメへと近づいた。
「いや、本当に少しだったから感謝されても複雑だね。正直僕たちは要らなかったかもしれないね。」
「そうでもないですよハジメ先輩。俺はその気持ちだけでも嬉しいのにやってもらったりしたんですから。」
トワが嘘偽りなくそう言った。
「本当かい?それだったら嬉しいね、やった甲斐もあるってもんだよ。」
「本当ですよ。あのヒカルと違って茶化しに来たわけでもないですから。」
トワが呆れたようにそう言った。
「彼だってただ茶化しに来たわけではないと思うよ?彼は彼なりに君を思っての行動だと思うから。」
ハジメが苦笑混じりにそう返した。
「本当ですかね?俺からしたら茶化しに来ただけだと思うんですけど。」
「ヒカル君は素直じゃないんだよ、だから、ああ見えても君のことを心配してるんだ。本当に素直じゃないけどね。」
大事なことだったのか2回そう言った。ヒカルとハジメは同じ部活の先輩後輩の関係だ。もちろんヒカルが後輩でハジメが先輩。だからか彼のことをトワ以上に理解してる様子だった。それと別にトワとヒカルの仲が悪いわけじゃない、なんなら良い方だと言えるだろう。しかし、いつも部活で一緒にいるハジメと話はあれどそこまで話す機会のないトワでは一緒にいる時間の長さが違う。よって必然的にハジメのほうが仲良くなるのは当然だろう。
「そうだと良いんですけどね。…………っと、こんな話をしてる場合じゃなかった。早く校舎に戻らないとですね。」
「あっ、本当だ。もうこんな時間。トワの言う通り戻らないとね。」
何故時間になったら戻らなくちゃいけないのかというと、答えは至って単純、デカブツを倒したとはいえまだ周りに悪魔がいるかもしれないからだ。それにまたこの場に悪魔が現れたら瞬時に戦闘できるのがトワくらいしかいないからというのもある。
一難去ってまた一難とも言うだろう、だから、警戒しといて損はないのだ。それに加えて学校の周りにはあまり電気が付いていない、だからこそ目の前がまともに見えないとなると悪魔に襲われた時に大きな足枷となる。それらの理由があって時間には戻るようにしているのだ。
そんな会話をした後トワとハジメ達は校舎に向かい各々の教室に戻った。
◆
「なんつーか、夜の学校って怖いイメージがあったけど、こうも光が付いてるとそんなイメージがなくなって何か特別感があるよな。」
ヒカルがそう言った。
「それに関しては同感だな。そもそも夜に学校行くことなんてないから特別感湧くよな。」
トワがそう返した。
ちなみに今何をしてるのかというとトワ達1―1全員がクラスで椅子と机を退けて全面に布団を敷いてる状態だ。因みにちゃんと掃除はしてる。この学校の生徒は各々のクラスにいて、それ以外の人は基本的に体育館で寝てる。先生は職員室だ。そんなわけで消灯の時間までこうやってくつろいでいるのだ。トワとヒカル以外にもこうやって話してる人は普通にいる。こんなことがあったのにお泊まり会気分で女子達が何やらキャッキャしながら話をしてる。恋バナでもしているのだろうか。
「意外と女子ってすげぇよな。あんなことがあったのに普通に女子会してるぞ。肝っ玉据わりすぎだろ。」
ヒカルが引くようにそう言った。
「ホントにな。いや、この短時間だから据わってるってレベルじゃないな。彼奴等強すぎだろ。」
トワもそれに同調するかのように言った。
なんやかんやでそういう話をしていたらあっという間に消灯時間は訪れた。あんなに元気よく話してた女子達も消灯時間で寝ることになったら10分くらいしたら周りから寝息が聞こえてきた。
―どうやらほとんど寝たみたいだな。寝てないのは俺だけか。
心の中でそう呟きながら音を立てずに教室から去り、他の生徒が起きないように足音を殺して屋上へと向かった。
「………………………………。」
方前市の春の夜風というのは意外に寒く、まだ春に入ったばかりというのをしみじみ感じる。なんせまだ今は4月の終わり頃、今どき新入生であるトワ達1年生はまだ慣れない学校生活で青春を謳歌してる頃であろう。新しい環境に新しい友達、それらを交えて自分探しをするのが高校生だ。だが、今ではもうそんな気配はなく、あるのは殺伐とした空気と恐怖、それと少しの喜び。喜びというのは家族や友達と会えて嬉しいと言う感情だ。トワが求めていた甘酸っぱい空気など、とうに消え去った。
それと何故トワが屋上に来たのかというと色々整理するためだ。感情やら状況やら、今日でいろんなことが起こりすぎてしまった。故にトワはこんなんでも混乱してる為、夜風に当たりに来たのだ。
そんなふうに夜風に当たっていると背後から慣れた気配がした。
「よう、トワ。こんな所で何してるんだ?」
現れたのはヒカルだった。
「…………少し整理してるだけだ。」
短くそう言った。
「そうか、今日だけで色んなことが起こりすぎたしな。無理もないか。」
そう言いながらトワの左に腰掛けた。
その後は互いに無言でずっと夜風を感じていた。そこの空気には気まずさなどなく、あるのは確かな安心感だけだった。
互いに無言で居続けることはや10分、トワが口を開いた。
「……………………教室、戻るか。」
「…………そうだな。」
短くそう言った後、トワとヒカルは教室に戻って、各々の布団に入り、夜を明かすのだった。
長い、長い、長い、夢(現実)を見た。そこには自分がいて友達がいて家族がいて、そんな夢(現実)。だけど、その現実(夢)は長くは続かなかった。
俺はひたすら進んだ、1回も止まることなく。休むこともせずに。だから俺は失った、友達も、家族もましてや夢(理想)まで。それをひたすら後悔した、憎んだ、恨んだ。そんな自分(邪悪)を。
だから俺は取り戻したくて、また進んだ。俺のせいであれに参加してくれた人達も死んだ。今でも覚えてる、血まみれの死体、何かを憎みながら死んでいったような死体。死体、死体、死体。俺はその山によって生かされてた。その死体が焼ける匂いも覚えてる。最初は臭くてたまらなかった、でも慣れるとそうでもなかった。俺はその時から狂い始めた。
逃げたくても逃げれない。その死体達が言うんだ、逃げるな、逃げるな、って。だから俺は進んだ(進むしか無かった)。その結果、その先にあったのは孤独だった。一人で、独りで、何も信用できなくて、信用しなくて、あるのは地獄だけ。茨の道なんてものじゃない、業火の道だった。
でも、進んで、進んで……………………。そんな俺にも大切なやつ(友達)がまたできた、楽しかった、嬉しかった。でも、そんなあいつらも、俺の為に死んでいった。また悲しかった、憎んだ、恨んだ。どうしてこんなことになる、どうして俺だけ、そんな「どうして」が、自分の中で渦巻いた。
だから俺は俺を殺した。でも…………死ねなかった。死なせてくれなかった。
何度も殺して、俺は本当にしたいことを見つけた。俺は大切な奴らを救いたい、助けたい、そして赦されたい。
そこで俺は決意した。必ず救ってみせると………………。だから俺はもう、迷わない、間違えない。それが例え、地獄だとしても、茨の道だとしても。俺は、進むだけだから。それが「救」になると信じて。
満足いくまで書いていたら気づいたら約5000字くらい行ってましたね。自分でも驚きです。それに本当に遅れて申し訳ないです。ちょっと、学校生活が忙しくて。中々書く機会がありませんでした。それと皆様、どうでしたか?この話は。良かったら感想などくれるとありがたいです。




