第五話 デカブツその一
ついにデカブツとの戦闘ですね、第五話をどうぞ。
ガキンガキンと金属が擦れる音が校庭を支配する。
「クソッ、悪魔どもがいすぎてデカブツにたどり着けねぇ!!おい!手が空いてるやつはいねぇか!!」
「いるわけねぇだろそんな奴!!全員自分のことで精一杯に決まってんだろ!!クソッ、何処に行っても悪魔悪魔まったく嫌になって、来るぜ!!」
トワのクラスメイトたちは奮闘していた。
まだ悪魔に戦闘を仕掛けて10分と経っていないが永久たち人間サイドは既におされかけていた。
「大丈夫だ!俺が援護にまわれる!!少しの間耐えていてくれ!!」
「なっ!お前あの数の悪魔を相手にしてもう倒せたってのかよ!!トワやばすぎだろ!なら俺の援護をしてくれ!頼んだ!!」
「あいよ!任された!」
そうしてトワは悪魔を次々となぎ倒していく。まるで己の身体が戦い方を覚えているように。トワがかなり倒しているせいか着々と悪魔の数は減りつつあった。
「だが、このままだと埒が明かないぞ!それに俺たちはおされているんだ!このままではジリ貧だ!!」
「そんなん分かってるわ!!でもどうしろっていうんだよ!お前が一人で結構倒してるとはいえそれでも戦力差は開いたままだ!!あぁクソッ!どうすればいいんだよ!!」
そう文句は言いながらも光は少しずつではあるけれども悪魔を倒していた。
「悪いトワ!俺の方にも援護きてくんねぇかな!!」
「私にも援護頂戴!!」
他のクラスメイトたちもトワの援護を必要としていた。だが、全員に援護が回れるほどトワも余裕はなかった。しかしクラスメイトを見捨てるという判断はなかったからか、かなり無理をして助けに行った。
「大丈夫か!怪我はないか!」
「大丈夫、怪我もそんなにしてないから。それよりありがとう、結構危ないところだった。」
「気にするな、俺がしたくてしたことなんだ。」
「そう言ってもらえると嬉しいな。」
「て、こんなことをしてる余裕はなかったな。怪我してるなら後方に下がっていてくれ。」
そう言いながら再び戦場へと戻っていった。トワが戻ったことにより戦況は拮抗していた。しかし、拮抗はしているがデカブツたちを倒すための決定打がなかった。
―それにしても数が多いな!このままじゃマジで殺られかねん!どうする…………。
そんなことを考えていたら近くに悪魔が来ていることに気がつかずトワは背後を取られてしまった。それに気づいたトワは何とか体をひねり防御をしようとした。
「なっ!不味い!」
―ここでやられるのか……。と考え、諦めようとしていたその時目の前にいきなり現れる人影があった。その人影は悪魔を倒した後、トワのほうに振り返った。
「馬鹿野郎!何諦めてんだよ!お前が諦めたら俺達ここで全員お陀仏だぞ!!」
割り込んできたのはヒカルだった。その乱暴な言葉遣いとは裏腹に、その言葉にはたしかな心配や優しさがあった。
「助かった、ありがとう!!」
そう言いながらヒカルの背後にいた悪魔を倒した。
「あれ!?俺の背後にもいたのかよ!!」
「お前、あんなにカッコつけてたのに何でお前も分かってないんだよ!!」
「うるせぇ!俺だってお前を助けるのに必死だったんぞ!」
そう軽口を言い合いながらトワとヒカルは背中を合わせ近づいてくる悪魔を斬り伏せた。
「本当にこのままだと冗談じゃなく俺達全員お陀仏だな。…………よし!おいお前ら!このままだと埒が明かねぇからこの周りにいる悪魔どもをトワ以外の全員で引き付けるぞ!!」
ヒカルがそう言ったのと同時に周りから「「おう!!」」と返事が返ってきた。
「マジか!!あの数を相手に引き付けるだと!!自殺行為だぞ!!」
「んなことわかってんだよ!!だがそうでもしないとあのデカブツは倒せねぇだろ!!」
「それに、多分あのデカブツを倒したらこの周りの有象無象どもも消える!」
「おい!それはどういうことだよ!!」
「理由を長々と話しているほど悠長にしてる時間はねぇ!!早く決断しろ!トワ!!」
「…………わかった、俺があのデカブツを倒す。それまで何とか耐えていてくれよ!」
「おう!このヒカル様にまかせときな!じゃ、行って来い!!」
そう掛け声をかけたと同時に他のクラスメイトがデカブツへの道を確保した。だがゆっくりしている時間はないからかトワは急いでその道を進み、道を進んで少し経ったらすぐに出口に着いた。
「よう、やっとお前の相手ができるぜ「デカブツ」」
「ズイブント、オソクナッタジャナイカ。」
「なっ、お前話せるのかよ!」
「ナニヲイウ、オレタチカキュウアクマノナカデヒトノコトバヲハナセルヤツハオレヲフクメテソウイナイ。オレガトクベツナダケダ。」
「そうかよ、まあそんなん関係ないけどな。俺はどうであれお前を倒す。そうじゃなければみんなが安心出来ないのでな。」
「ソウカ、ナラクルトイイヒトノコヨ!!」
「なら、お言葉に甘えて!!」
そう言いながらトワはデカブツにナイフで攻撃を仕掛けた。
???Side
「なんか学園の方向から変な音がすんな。いったい何が起こってるんだ?変なことになってなきゃいいけど。おっ、まだ賞味期限の持つ食べ物がこんなにあるのかよ。本当にスーパーに来て正解だったな、悪魔もそれほどいないし野菜やら肉やらが多くある。これは仲間を呼んで大勢で運んだほうがいいかもな。それにこんだけあるんだし、少しだけちょろまかしても問題ないないよな?なら少しだけ………」
「あなた、何をしてるのですか?」
「!?!?な、何でお前が此処にいるんだよ。お前は避難所にいるんじゃなかったのかよ。」
「ええ、元々そのつもりでしたが所長から、あいつ一人だと不安だから付いて行ってやってくれないか?、と言われたんですよ。だから仕方なく来たかと思えば、あなたは何をしてるんですか本当に。ただでさせ貴重な食料なのにあなたがちょろまかしたら少しでも少なくなるじゃないですか。」
「い、いいだろ少しくらい。それに、こんなに食料があるんだ。最低でも2カ月は持つぞ?だから少しもらっても大丈夫だって。」
「大丈夫ってあなたね、まあいいです。もうあなたに何を言っても無駄だと思うので。」
「マジか!じゃあ少しだけ「誰が貰っていいと言ったんですか?私は許可してないですよ。このスーパーのことは所長に連絡します。それにここまで来るのに安全な道のりもありましたからね。人を多く派遣してこのスーパーの食料を根こそぎ避難所に移します。」
そ、そんな〜。嘘だろ?そんなことをしないよなお前は、少しでいいんだ少しで。頼むよ〜。」
「は〜、わかりました、少しですよ少し。」
「マジで!ありがとう「サキ」!」
「じゃ、俺はオヤツでも入れましょうかねぇ。ああ、胸が膨らむ〜。」
「少し遠くに行ってしまいましたか。まったく彼は子供ですね。本当に高2なのかわかりません。それに彼は本当にこの事態の異常さに気づいてないのですかね。それにお菓子など。まあ、それを許してしまう私はあまちゃんなのかもしれないですけどね。そんなことを呟いている時間はないのでした、早く所長に連絡しなくては。」
今回は少し文字を少なめにしておきました。なろうは一話あたりだいたい2000から3000字くらいだったのでそのくらいにしておきました。