第三話 遭遇
思ったより早く書けました。そしてもうそろそろ夏休みに入りますね。すごく楽しみです。まあ、そんなことはどうでもいいので第三話をどうぞ!!
「ああぁっっっ!!!!!」
そんな声にならない声を上げながら地面に膝をつき、自分の左腕を見た。そこにはナイフが刺さっており血も流れていた。
「血だぁ、血だぁ」
そんなことを呟きながら目の前にいる「何か」は近寄ってくる。
―逃げなきゃ、逃げなきゃ。殺される、死ぬ。
永久はそう思いながら足を動かそうとした。しかし、動かなかった。
―なんで?なんで動かないんだよ、動けよ!
そう心の中で喋りながら動こうとしたが動かなかった。いや動かないのではなく「動けなかった」。
すでに永久の身体は腕にナイフを刺された恐怖から足に力が入らなくなってしまった。そんなことを考えながら必死に思考を巡らせて何とか生き残る方法を探していた。
しかし、それをずっと待っている「何か」ではなかった。ジリジリ少しずつ永久の方に向かっていた。それにより永久はさらに恐怖心がさらに強くなる。
永久は、これ以上来ないでくれ、と切に願った。しかし、現実は残酷だった。気づいた頃には既に目の前にその「何か」は永久の前に立っていた。
「ああ、あぁ」
そんなうめき声をあげながら「何か」はナイフを取り出し襲ってきた。永久は、ああ!!、と大きい声を出し何とか足を動かし避けることに成功した。そしてそのまま「何か」と距離を取り視線を何かのほうに向けた。そのまま近くにあった鉄パイプを取って手を震わせながら「何か」のほうに向けた。
「これ以上近づくな!!近づいたらこれで叩くぞ!!」
そういったものの永久には叩く意思は無かった。ただの脅しだった。心の中では、これ以上来ないでくれ、と祈っていた。しかし、「何か」は言葉というのがわからないのかそのまま走ってきた。走ってきたからか永久もパニックになり、思いっきり鉄パイプを「何か」の頭にフルスイングした。その拍子に「何か」は少しよろめき地面に倒れた。
「倒したのか?」
「もう動かないし、それに人ならもう死んでるだろう。それなら俺は人殺しか…。最悪の気分だな。」
そうお決まり文句のフラグを立てながらかすかに安堵した。しかし、それでやられるほど「何か」は弱くは無かった。布が擦れる音を出しながらのそりと立ち上がってきた。
「何で立ち上がれるんだよ。バケモンかよ……。」
と、気味悪がりながらそう呟いた。立ち上がった瞬間いきなり襲ってきて、それを間一髪で永久が避けた。
そしてそのまま距離を再び取り警戒態勢に入った。
膠着状態が続き再び攻撃を仕掛けたのは「何か」だった。そうして攻撃を避けたり防いだりしながら、ジリジリと壁の方に追い詰められていった。
「クソ、もう後がない。後ろも横も壁で覆われている。逃げ道がない…。」
そう呟き、ついに壁と背中がくっついてしまった。
―俺ももう終わりか、たかだか16年の人生もっと楽しんでおけばよかったな
後悔をにじませながらそう思った。少しでも助かりたいがために周りを見ていたらとある看板を見つけた。
―落石注意?そういえば此処らへん、少しの衝撃で落石してくる危険性があるから立入禁止になってたよな。待て、それならこいつを倒せるんじゃないか?でもそれならタイミングが重要だ。落ちる場所は何となく分かる。実際に落ちた跡があるひとまずそこまで行こう。
そうして、希望の活路が見え始め、生き残るために策を練った。少し経つと「何か」が永久を見つけ、一直線に向かってきた。
―よし、此処までは想定どうり。あとはこのまま俺の方に来てくれれば…。
「何か」は知能がないのかずっと一直線に向かってきていた。距離が段々と詰められながら永久は考えていた。
―そうだ、そのまま来い、あと少し、あと少しで!!
緊張しながらその時を待っていた。永久にはこの少しの時間が何倍にも遅く感じた。
―………………今だ!!!
それと同時に永久の横にある壁に思いっきりに体当たりして、その衝撃により「大きめの岩」が転がり永久の前にある「大きめの岩が落ちてきたような跡」に「何か」が入ってきて「大きめの岩」も後に続き「跡」に落ちて「何か」を潰した。
「今度こそ……やったのか?クソッ…腕がいてぇ。ひとまず腕を処置しねぇと。ここからなら病院よりも家のほうが近い、家に行くか。」
そう呟き家に向かった。
「何なんだよあいつ……俺のことをいきなり刺してきて」
そこで永久は独り言を止め刺された箇所を見た。
「本当に保険の授業で止血の仕方学んどいて良かった。あの時はいつ使うんだよ、なんて思ってはいたけど、本当に感謝だな。」
そんなことを言いながら永久は左腕に包帯を巻いた。
「たく、なんでこんなに家は包帯なんかの種類が多いんだ?謎だな。」
―ひとまず何が起こってるかスマホを開こう。
そう考えてスマホを開きニュースを確認した。ニュースを見た瞬間目を見張るものがあった。
「悪魔?そんな訳無いだろ。なんかの冗談だろ。イタズラにも程がある。」
そんなことを言って現実逃避しようとした永久は他の記事を見た。しかし、ほぼ全ての記事が悪魔関連のものだった。しかもその悪魔についての記事は自分がいる町の名前も載っているものもあった。
「じゃあ、本当に俺に襲ってきた奴が悪魔だってのかよ。でもそれなら納得がいく。いったい何がどうなっているんだ、この町は。」
そしてそのまま記事を見ていると思いもよらないことが書いてあった。
―西港旋律学園に自我を持った悪魔が現れた……。待て今のこの時間帯だとちょうど部活をしている最中じゃないか?そうなるとクラスメイトたちはどうなる?それに傘都は学園の近くの病院にいる。記事をみる限り相当広範囲にいる。
そこまで言って永久は気づいた。
―このままだとクラスメイトたちは死ぬ?傘都はどうなる?それは何としてでも止めなきゃ。
そう思ったら居てもたってもいられなくて永久は家から出ようとした。
―待て、このまま家を出たらどうなる?俺は今武器もなんにもない状態だ。そんな状態で家に出て悪魔に遭遇でもしたら俺は今度こそ死ぬんじゃないか?
冷静にそう分析し、ひとまず二階の窓から周囲を見渡した。すると永久の近くには居ないが、周りには10体くらいの悪魔らしき奴らが周りを徘徊していた。
―本当にあのまま出ていかなくて良かった。あのまま出ていたら俺は死んでいたな。だが、このままだとどうにも出来ない。ひとまず武器を手に入れて学園に行こう。あいつらのことが心配だしな。
そう思い、ひとまず移動手段を考えた。
―車で行くのもいいけどいかんせん車の運転の仕方がわからんな。そうだ、バイクなら行けるんじゃないか。バイクの操作方法はSNSで見たことがある。事故ってしまうこともあるかもしれないが背に腹は代えられん、バイクで行こう。そうと決まれば準備していこう。
その後永久は水や食料、医療品などの必需品やスマホに充電器など情報を得るために必要なものなどカバンに詰め家を出る準備をした。
「ひとまずはこんなもんかな。こんだけあれば十分だろ。あくまで学園に行くまでだからな、逆に持ってきすぎかもしれないが足りないよりはマシか。」
「俺の家の近くにバイクもある。バイクの持ち主の家の玄関が空いてるし家の中に鍵があるのかもな。それにしても本当にバイクが近くにあって助かったな。近くになければ死んでたかもしれないからなと、そういやこんなことを喋ってる暇はなかったんだな。早く行かないと。」
そうして玄関のドアノブに手をかけゆっくり音を立てずに開き、足音を立てないように移動してバイクの持ち主の家に入って玄関近くでバイクの鍵を見つけた。
「よし、これであとはバイクに鍵をさすだけ。でも音デカいよな、バレたりしないよな。でも仕方がない、デカい音を立ててでも行くしかない。」
バイクに鍵をさし大きい音を立てながらエンジンを起動させ、直感を頼りに操作した。
「頼む、無事であってくれ傘都……。」
そう言いながらバイクからブロロロという音を出しながら家から遠ざかるのだった。
なかなかに物語を書くというのは大変ですね。構想をしっかり用意して伏線をいれるなら後のことまで考えないといけませんからね。ちなみにストーリーの構造としては大体完成していてあとは細かいところまで穴埋めするだけです。よかったら感想などをくれると幸いです。