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エターナル  作者: かさは
ヤクザ編
35/39

第三十二話 愛した家族と

「第二陣、撤退だ!」

戦闘員の男は全員に聞こえる声でそう叫ぶ。

その声が聞こえたと同時に、ほとんどの人は前線から下がる。しかし、それでも前線に立つ人がちらほらいる。


「トワ。」

傘都はトワをちらっと見て合図を出す。


「任せろ。」

トワは左にいる敵を斬り伏せた。


「相変わらず連携が取れてますね………。」

サキはその光景に感嘆しながらも、雑魚を処理する手は止めない。


「なんなら動詞すら出てなかったぞ。」

ヒカルはサキの後ろにいる敵を突いた。そんな事を言いつつも、ヒカルもサキとの連携が取れていた。


「何で動かなかった?」

ヒカルはサキに訊く。


「必要がないでしょう?」

ヒカルと背中合わせになる。


「そりゃどうも………。」

嬉しい様な、面倒くさい様な顔をする。


「お前らも大概だろ。」

トワは二人の様子にツッコミを入れる。ふと、トワが周りを見ると、自分たち以外に10人程度しか残っていなかった。


―もうそろそろか。

ナイフを持つ手が少し緩まる。警戒も薄れてきた。

すると、その場に残っていた中年の筋肉のついている男性が、声を上げた。


「第三陣、撤退!!」

その声のあと、トワ達は少しずつ後ろに下がる。

敵の数が多いからか、倒しても倒してもキリがない。


「トワ、どうする!」

傘都は雑魚悪魔を斬る。


「無理矢理逃げる!」

そう言って雑魚悪魔から距離を取り、ナイフを下ろす。


「了解!」

傘都はトワに近づき、敵を一体斬ったあと、ナイフをを仕舞った。それに合わせ、サキとヒカルも武器を下ろす。トワは、他の戦闘員が周りにいないことを確認して、すぐさま足を準備した。


そして、走り出す。それも、傘都達を置いていかない程度で本気を出した。


「なんだ?手加減してくれてんのか?」

傘都はトワに訊いた。


「そりゃあな、流石に置いてく訳にはいかないだろ?」

傘都の方をちらっと見る。


「ありがてえ。」

笑みを浮かべる。


「流石にまだ、あの雑魚達もついてきてますね。」

サキは後ろを見る。すると、そこには大量の雑魚悪魔が追いかけてきていた。しかし、速度はそこまで速くない。


「あそこの角で巻けるんじゃないか?」

ヒカルはトワ達に提案する。


「「「賛成。」」」

全員の声が合う。その様子に三人も少し驚いていた。

そして、曲がり角に差し掛かる。全員は右に曲がり、二つ目の曲がり角を左に曲がった。その道をクネクネ走ったトワ達。暫くして、確認する為にサキは後ろを見た。


「どうやら、来てないようですね。」

安心した様子を見せる。


「そりゃ良かった。これで付いてこられたらさすがに困る。」

傘都は言う。


「お、学園が見えたぞ。あと少しだ。」

トワのその声に、トワを除く三人は目に希望を宿す。


「よっしゃ!早く飯食いてぇよ!」

傘都はお腹が空いているのか、唐揚げやハンバーグ等を想像する。


「分かる。」

ヒカルは真顔になる。


「分かります。」

サキは傘都とは裏腹に、野菜たっぷりのポトフなどを想像している。


「まだ気を抜くなよ。学園の外だ。」

トワもそんなふうに言ってはいるが、内心飯のことしか考えていない。


「分かってるって、トワ。少しぐらいはいいだろ?」

傘都は少し悪態をつくような言い草をした。


「駄目とは言ってない。現に俺だって腹が減ってる。」

トワの腹の音がなる。


「お前もじゃねぇか。」

呆れたような顔をした。


「人の事言えませんね……。」

サキはトワにジト目を向ける。


「棚に上げたな。」

ヒカルもトワを見た。


「悪かったな!棚に上げて!」

トワは、感情を投げつけるような声を出す。そうして、学園へと向かっていくのだった。





校門のすぐ近くで、誰かを待っている人影が三人。

一人は女性で、二人は男性。いや、男性の一人は男の子と言うべきか。三人がしばらく待っていると、カツカツと何人かの人が走ってくる音がした。


「やっと着いたぞ!」

その声の主はトワだった。


「体育の1500よりキツかった……。」

そんなふうに傘都は言ってるが、はたから見ると余裕そうだ。


「き、キツイ……。」

手を太腿につけて肩で息をするヒカル。


「体力ないんですね。」

サキはその様子のヒカルに対して思ったたことを口にした。


「逆に、サキが、ありすぎる、だけ、だろ………。」

ヒカルがそう言うと、校門前に居た三人のうちの女性が声をかけた。


「と、トワ………?」

その声に聞き覚えがあるのか、トワは女性のいる方に振り向く。


「か、母さん………?」

まさかの状況に、トワは開いた口が塞がらない。


「それに、父さんに、兄ちゃん……。」

周りを少し見て、裕二や刹那が居る事を確認する。トワの顔は自然と緩んでいく。トワの母親である理沙は我慢できなくなったのか、トワに走って、抱きついた。


「良かった、良かった………!!」

理沙は堪えていた涙をめいいっぱい溢れさせ、強く抱きしめる。理沙の様子にトワは心を締め付けられる。

トワも優しく抱き返す。


「俺も、会えて嬉しいよ………!」

遂に、トワの涙腺は崩壊し、涙が流れてくる。これまで我慢してたものが一気に溢れ出した。暫く理沙は泣いていたが、どれくらい経ったか分からないが、収まった。


その時ふと、理沙はトワの顔を見た。すると、あることに気がついた。


「その絆創膏、どうしたの?」


「これは、避難所に行く前に発電所を助けたんだけど、その時にできたものなんだ。」

抱き返していた手を緩めて理沙から離れる。


「……………そう、避難所の時のものではないのね?」

不安そうな顔をしながらトワを見上げる。


「そうだけど……?」

トワは首をかしげる。


「………でも、できる限り怪我はしないでね?」

理沙は顔を俯かせて言う。


「分かった。」

トワがそう言うと、理沙は俯かせていた顔を上げて、無理矢理笑みを作る。


「すまないトワ、俺も戦いにいけば良かった……。」

裕二がその場に乱入してきた。


「……………き、気にしなくて大丈夫だよ。」

トワは一瞬とある事を思ったが、すぐに優しい嘘をついた。因みに、裕二は赤髪のことを知らない。


「そういえば、兄ちゃんは大丈夫なの?」

話題をそらすように訊く。


「あぁ、大丈夫だ。特には。」

刹那は普通な様子で答える。


「そう、良かった。」

トワは安堵したのか、表情が和らいだ。


「あと、そこで黙ってるお前らも、もう会話に入って大丈夫だ。」

後ろを振り向き、傘都達に向かって言う。


「お、感動の再会はもう平気なのか?」

傘都はいたずらのような表情をする。


「……もーまんたい。」

トワはニヤリと笑みを浮かべる。


「元気そうで何よりです。」

サキは発電所の時のトワを思い出し、口元が緩んだ。


「本当にな……。」

ヒカルも発電所でのトワと今のトワを比べた。


「…………トワ、いい友達を持ったね。」

理沙はトワに慈しむような目を向ける。


「でしょ?」

トワは理沙に振り向き、精一杯の笑顔を向けた。そうして、トワ達は学園の校舎へと、向かっていった。





「そういえば、母さん達は何処に行くの?もう第一体育館は使えないよ?」


「大丈夫よ、トワ。私達は第二体育館に行くことになったから。」


「それって、人数大丈夫なの?避難所に意外と居たと思うけど。」


「ギリギリらしいわ。でも、入れることには変わりないから。」


「なら、良かった。」



「なぁ、サキ。今日の昼メシは何かな?」


「知りませんよ、そんな事。………でも、確か、肉だったような?」


「お、マジ?俺、魚あまり好きじゃないからありがてぇ。」


「魚だっておいしいでしょうに。」


「馬鹿言え、あれは健康食品みたいなもんだ。」


「好き嫌い激しいのですね、傘都。」


「…ち、ちげぇし。」


「………そんな顔で言われても説得力ないですよ。」


「まぁ、傘都はガキ舌だからな。魚の旨さは分からねぇよ。」


「………ヒカルはカッコつけてるだけだろ。」


「捻り潰すぞ。」


「さーせん。」


「何で喧嘩売ったんですか?」


―漫才かよ。

トワは心でツッコんだ。





トコ、トコ、トコ。十代前半にも見える少女が、警察署の中を歩いている。それも、若干スキップするように。少女が歩いていると、前から、銃を構えた五十代くらいの男性が現れる。その男性は額に汗を流していたが、少女をみるやいなや、銃を降ろした。


「君、どうしたんだい?外から来たのかい?」

優しく男性は声をかける。


「うん、そうなんだ。私、外から来たんだよ。」

少女はあどけない声を出しながらも、男性に顔は見せない。


「そうなのか、さぞ怖かっただろう?おじちゃんがいるから、もう大丈夫だ。」

安心させるように顔には笑みを浮かべた。


「…………。」

少女は黙っている。


「ねぇ、おじさん。ここには、おじさんしかいないの?」

顔を伏せたまま男性に訊く。


「いや、ここにはおじさん含めて四人いるから大丈夫だよ。安心しな。」

男性は少女の頭を軽く撫でる。


「それより、よくここまで来れたね。外は危険なはずなのに。」

男性は、不思議そうな素振りを見せた。


「だから、隠れたりしながら来たんだ。」

少女は声を震わせる。


「そうか、よく頑張ったね。」


「それよりも、何で顔を上げないのかい?」

男性は疑問に思ったことを口にする。


「なんでだと思う?」

少女はさらに声を震わせる。


「さぁ?分からないけど。教えてくれないかい?」

一瞬、少し面倒くさそうな顔をしたが、すぐに切り替えた。


「う〜ん、それはね〜〜、魔神様から言われた事を実行できそうで、嬉しいから!」

少女は遂に顔を上げる。


「え?」

男性は素っ頓狂な声を出した、その瞬間、辺りに血が飛び散る。


「あ〜あ、本当に馬鹿。こんなふうにすれば、すぐに油断する。」

呆れるような声でそう言う少女。


「さ〜てと、残りの三人も、始末しなきゃ。魔神様に褒められるかな!」

歩く度にスキップしながら警察署の奥へとさらに向かう。警察署の中から叫び声はしなかったが、部屋の窓の一つが、赤に染まったのが見えた。


これにて、ヤクザ編が終わりになります。大丈夫ですよ、ちゃんと物語は続くんで!次を楽しみに待っててください!あと、ジャンルを変えました。

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