第十八話 家族と友達
特にはないです。どうぞ。
トワ達5人が教室で話をしていた。それは他愛もない話だった。誰かがボケてはツッコむの繰り返し、その会話の中でトワはふと疑問に思ったことをヒカルに訊いた。
「そういやよ、ヒカル、俺とヒカルとユキで業スー行ったときに戦闘になっただろ?その時にお前、ナイフを取り出してたけどさ、あのナイフはどっから来たんだ?学校にナイフはないだろ?」
「あのナイフか?あれはな、お前がクラスの奴らと武器探しに行ってた時に、ふとお前のカバンが目に入ってな。そのカバンにナイフがあったから取ったんだ。」
ヒカルはさも当たり前かのように話した。
「は?」
トワは、そんな間抜けな声を出して自分のカバンの所まで急いで行き、中身を確認すると、そこにはある筈の予備のナイフが無かった。
「おい!ふざけんなよ!勝手に俺のナイフ使うな!」
そんな事されたら当然怒るわけで、トワはヒカルの方に向いた。
「わりぃわりぃ、まぁ、俺の命を助けたと思ってくれや。」
ヒカルは、ほんの少し申し訳なさそうにして言った。
「その返しはずるいだろ!責めに責めにくいわ!!」
トワはまさかの返しにツッコんだ。そんな話をしている中、ユキが話題を変えた。
「そういえばね、トワ君と傘都君とヒカル君が学校外に出てた時に父さんと母さんに会ったんだよ!」
嬉々としてユキは語った。その話を聞いて、
トワ、ヒカルは顔を少し曇らせた。ユキはどうやら気付いてないようだが、サキは三人の表情の変化に気付いた。
「ユキ、駄目だよ。それ以上は。」
サキは冷静にユキを止めた。そう言われたユキは、
ハッとなにかに気づいたのか、申し訳なさそうにした。
「ご、ごめん。軽率だった。」
「いや、大丈夫だ。そういや、こんな状況だしな。喜ぶのも無理はない。」
トワはユキに心配させないために無理をした。
本当は自分だって家族に会いたいと思っているのに。
しかし、それは他の人も同じだった。皆、会いたいと思っているのだ。家族、親友、友達、彼女、彼氏、だからこそ、トワはその中で自分だけそれを主張するのはあまりにも身勝手な行為だと自覚していた。
それ故の言葉だった。
学園の体育館には多くの人が避難している。
しかし、その中には学園と無関係の人も当然いる。
だからこそ、多くは家族や友達が見つかっていない人も多い。
いつもは元気なヒカルもこの時ばかりは、顔を暗くした。だが、それは少しであった。友達に、トワや傘都、ユキにサキを心配させないようにしていたのだ。
「そうだ、サキはどうしてそんなに顔が暗くならないんだ?いや、説明したくないならいいけど。」
トワが純粋に疑問に思った事を訊いた。
「私は、両方ともこの学園の先生でして、だからこそ、いつでも会えるというか。」
サキも申し訳なさそうにして言った。
「そう、か。良かったな。………あぁ、これは嫌味じゃないぞ。そのままの意味だ。」
トワはその状況に羨ましがった。
「なぁ、傘都。お前は確か、避難所にいたよな?そこに、俺の親も、いたか?」
続けてトワは傘都に訊いた。
「分からん。あそこの避難所は意外に広くてな。それに俺はいつも、外に出てたから、尚更だ。すまねぇな、トワ。」
「いや、大丈夫だ。」
トワはそう返した。その返しに傘都は、大丈夫じゃねぇだろ、と小さく溢した。それを聞いていたヒカルは更に顔を曇らせた。
そんな空気の中、1人の少年が輪の中に入ってきた。
「おい、お前ら!やっと見つけたぞ!今日は昨日の仕返しをし…………に…………。」
その少年とは太郎だった。走って疲れた様子を出してやってきた。しかし、まさかの空気に太郎は困惑していた。
「ど、どうしたんだよ?こんな空気になって。」
しかし誰も答えない。この様子のおかしさを感じ取った太郎はなんとかトワ達5人を元気づけるべく、励まそうとした。
「な、何があったんだよ?俺でよかったら話聞くぞ?」
「……………ケツで、決断する!!…………駄目か。」
「いや、古典的な親父ギャグのほうが良かったのか?」
「布団が、吹っ飛んだ!…………駄目か…………。」
しかし5人は無反応。いや、無反応というより反応できるほどの余裕がない、といったところだろう。
太郎はその励まし方に、恥ずかしさを感じつつも、
それを続けていた。
そして、その励ましを十分間程度続けていたら、ついに我慢ができなくなったのか、いきなり全員笑い出した。サキは静かに笑って、他は普通に笑った。
馬鹿にされてる?!と思った太郎だったが、そういう様子でもなく、ただ、純粋に笑ってるだけだった。
「な、何でいきなり笑ったんだよ……………。怖いな。」
太郎はその状況にツッコんだ。
「いや、ありがたいと思って。」
笑った際にできた、目尻にたまった涙を拭いながら言った。どうやら、あの重苦しい空気がなくなって、
自然と5人には笑みがこぼれていた。
「まったく、俺達があの太郎に感謝する日がくるとはな。想定外だ。」
ヒカルは、ひたすら可笑しそうにした。それに他の四人も頷いて同調した。
「えっ?何がだよ?俺に感謝してんのか?……………そうだ!そうだ!もっと俺に感謝しろ!何故なら俺は漆黒のダークネスだからな!はーはっはー!」
太郎は調子に乗ったのかいつもの様子を見せた。
「……………………だが!まだ困っているなら、仕方がない!俺の今日の夕飯を分けてやろう!なんせ俺は優しいからな!ハーハッハー!」
それでも5人が心配なのか、飯を分けると言った。
トワ達が調達してきたといえ、まだまだ貴重な食料をだ。それに驚いた様子を見せた5人は申し訳なさそうにして言った。
「いや、別にいい。それでお前の貴重な食料を無駄にはできない。気にするな。」
トワがそう言った後、他の四人も、そうそう、と頷いた。
「?そうか、分かった。って、そうじゃない!
俺は昼時の仕返しをしにきたんだ!散々イジりやがって、許さないぞ!」
太郎のこの言葉に面倒くささを感じたのか、5人は互いに顔を向けて、頷いた後、物凄いスピードで教室を出た。
「おい!逃げるな!それと廊下は走るな!」
そうやって、太郎もトワ達を追いかけ始め、夕飯ができるまではこれが続くのだった。
◆
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ、お前ら、早すぎ、だろ。」
肩で息をしながら食堂に現れたのは太郎だった。
トワ達5人は既に席についていて、夕飯の牛丼を食べていた。ユキとサキにはフルーツポンチもついている。
「おう、遅かったな。危うく飯食っちまうところだったぞ。」
トワが太郎に対して言った。
「誰のせいだと思ってるんだよ!!」
太郎は少し休めたのか息切れをしなくなった。
「さぁ、誰のせいなのかね?なぁ?傘都、ヒカル?」
トワは2人に訊いた。
「いや、分からないな?誰のせいか。」
ヒカルは
「俺もヒカルと同じく。」
傘都はわざとらしく言った。
「いつまでもそんな漫才やってないで、早く牛丼持ってきて座ってください。席なら私の隣でいいので。」
サキは太郎に少しうざったくした。
「え?一緒に食べるのか?」
太郎はまさかの言葉に少し目を見開いた。
「そうだ、だから早く持ってこい。」
トワがそれを肯定した。その言葉を聞いて、嬉しそうにした後、ウキウキで牛丼を取りに行く太郎を5人は後ろから眺めて待った。
◆
「「「「「「いただきます!」」」」」」
「やっぱ牛丼は最高だな!あ、傘都、紅生姜要らないからやるよ。」
そうやってトワは、使った箸の反対側を使って紅生姜を傘都にあげた。
「紅生姜も食えんとかお子ちゃまか?お前。」
それに傘都は煽った。
「誰がお子ちゃまだ!」
トワはその小学生以下の煽りにむきなって取っ組み合いが始まった。当然、水がこぼれたり、食べ物にぶつからない程度に。ヒカルは呆れて声も出ない。
「何してんだ?アイツら。」
太郎は疑問に思ったことを、目線をサキに向けて訊いた。
「私にも分かりません。あれはきっとユキに訊いたほうがいいかと。」
丁寧に牛丼を食べてるサキ。
「なぁ、ユキさん。あれは何してんだ?」
今度はユキに訊いた。
「あれは気にしないで。ただじゃれてるだけだから。」
ユキは苦笑いしながら言った。
「ふ〜ん……………………動物かよ。」
「「誰が動物だ!!」」
傘都とトワの声が重なった。
「そんなことよりさ、サキちゃん!このフルーツポンチ美味しいよ!」
ユキがフルーツポンチに目をキラキラとさせた。
「ん!本当です!美味しいです!」
サキも目をキラキラとさせた。
「でしょでしょ!」
とまぁ、そんなこんなで会話が続いていき、無事、
苦労人枠となった太郎はヒカルと目を合わせて互いに苦笑いした。その楽しそうな会話を横目に太郎は新しい友達ができたことを喜びながら牛丼を美味しそうに頬張った。
いやぁ、今回はちゃんと土日のどちらかに投稿できて良かったです。うん?日付的には月曜日?それは気にしない、気にしない。




