第十六話 報告
遅れてすいません。それでは!本編へどうぞ!
がらがらと門の開く音がした。その音を感じ取った瞬間そちらに目を向けた。すると、ぞろぞろと完全に裏社会の人間のような風貌をした男達がやってくる。
その数、約五十といった所だろう。その状況に学園長は緊張していた。いや、無理もないだろう。
生まれてこの方、裏社会どころか反社すらまともに知らなかったような人間だ、緊張するのは性というものだろう。そのまま学園長に気づいたのかザッザッという砂が擦れる音をたてながら近づいてくる。学園長は更に緊張した。背中には冷たいものでも当たったかのような感じに見舞われた。更に近づいてくる。
そして学園長の前1m程度離れたところで止まった。
何と言われるんだ…………!と学園長は考えていた。その組員の中から仁が現れ、口を開いた。
「これからお前さんらに協力することになった、祖月輪仁だ。よろしくな。」
緊張してか少し間をおいた。
「こちらこそ、よろしくお願いします…………!」
学園長は返した。
「ところでよ、一つ聞きたいことがある。」
仁がそう言って少し顔に歪ませて間を置いた。
「何故テメェら大人が来なかった。何故ガキに行かせた?」
冷静に、しかし静かに仁はキレていた。
その言葉により更に冷や汗をかく学園長。おずおずとした感じで言葉を紡いだ。
「申し訳ありません…………!」
その回答に少し驚いたような顔を仁はした。しかし、すぐに元の表情に戻した。仁は黙っている。学園長はこの時間が何十倍にも感じられた。しかし、されど数秒。この短い時間でどれだけ汗を地面に滴らせただろう。そうして今度は仁が口を開く。
「謝罪とくるか!」
仁は心底愉快そうに笑った。学園長はそれにポカンとしている。それを不思議に思い、学園長は仁に恐る恐る訊いた。
「な、何故、笑っておられるのですか…………?」
「いやいや、お前さんはわざと子供を戦場に行かせるような屑じゃないことが分かったのでな。」
さっきまでの厳格のある雰囲気とは違い、親しみやすさを全開にしていた。それに一安心した学園長はふぅ、と緊張を和らげた。そこで仁が訂正をする。
「だが、お前が嘘をついている可能性もある。したがって、それが嘘だと分かった時は、俺はお前を殺す。」
今度は更に緊張感を感じさせるように言った。
トワ達は仁達の後ろで見守っている。しかし、そこには心配などなく、あるのは確かな信頼だった。
そうして学園長は口を開く。
「えぇ……それで構いません。私を屑だと判断したら即刻、殺してもらっても。」
怒涛の予想外の反応に仁は、またしても笑った。なぜなら、これほどまでに肝が据わった男は数人程度しか見てこなかったからだ。しかも、学園長は今まで裏社会を知らなかったような人間。それでこの発言ができるのだ。仁は思わず眉を動かした。そこには本気の驚きがあった。
その潔さに仁は学園長を認めて、手を差し出した。学園長は一瞬何のことか分からなかったがすぐに握手だと理解して、互いに手を重ねた。握られた手には言葉以上のものがあった。その握手はただの握手ではない。
――男と男の約束でもあり、一種の契約でもあった。
「随分と、肝っ玉の据わった奴だ。気に入った。」
仁がそう言った瞬間、組員たちの顔は少し和み、温かな空気が辺りを支配した。仁と学園長の会話が終わったことを察知したトワ達三人は前に出てきた。
「言ったとおりでしょう?仁さん。」
トワが仁に向かって言った。傘都やヒカルも頷いている。それにどういうことか分からない学園長は頭の中はハテナで埋まっている。
「そうだな、お前の言った通りだったな。」
学園長は更に困惑した。
「ど、どういうことなんだい…………?」
学園長は恐る恐るトワに訊いた。
「ああ、そういえば説明してませんでしたね。ついさっき車に乗っているときに仁さんと話してたんですよ。学園長は責任感のある凄い大人だって。」
それを聞いた学園長は少し嬉しくなって口角を上げた。そこでヒカルが続きを言った。
「だから、仁さんは学園長を自分の目で確かめたかったんですよ。だから、試すような事をしたのです。
すいません、学園長。」
話の全貌が見えてきて安心した学園長は口を開いた。
「び、びっくりしたよ…………。そんな事を話してたのかい?」
「そうです、すいません。勝手に学園長のことを話してしまって。」
トワは頭を下げた。
「いや、大丈夫だよ。気にしないでくれ。それよりも頭を上げてくれ。こっちのほうが申し訳ないんだから。」
学園長は少し笑いながら言った。
「ありがとうございます…………!」
トワは頭を下げたまま学園長の広い心に胸をうたれた。
「いや、私は頭を上げてくれと言ったのだが…………。」
学園長は困惑している。その様子をすぐに察知したトワは頭を上げた。
「ありがとうございます、学園長。」
トワは改めて感謝を述べた。そして、とあることに気づいたのか学園長はトワ達三人に言った。
「そうだよ、君達に言わなければならないことがある。もう昼飯時だろう?だから、ちゃんと用意しといたよ。カツカレー。」
「…………あっ。」
「完全に忘れていたね?」
「いや、そういうわけではなくて……。ただ、色々この短時間が濃すぎて…………。」
トワは少し慌てながら言った。
「はは、大丈夫だよ。気にしてないから。それに何度も言うけど、迷惑をかけているのは自分達なんだ。この状況でとやかく言えるほど弁えてない訳じゃないよ。」
優しく学園長は言う。その空気感にヤクザ達は静かに和む。その状況でトワは口を開く。
「じゃ、飯食うか!傘都もヒカルもだ。」
トワは2人にそう語りかけた。
「そうだな、俺達も食うか!」
ヒカルが
「やっと喋れたぞ…………。まぁ、んなことはいい。食うぞ!」
傘都が笑いながら言う。
「もうできてるから、君達は食堂に行ってもらっても構わないよ。」
学園長が三人に対して笑みを浮かべた。それを聞いた三人は遠慮なく校舎へと向かっていった。
◆
「いや、カツカレーに紅生姜は邪道だろ。普通に考えて。」
「は、これだからトワは。お前はまだ、紅生姜の美味さを知らないだけだ。例えるなら、唐揚げにレモンをかけるくらいには美味い。」
「は?何いってんだお前?唐揚げにレモンかけるとか唐揚げを侮辱してんのかお前?」
「おぉ、いきなりキレるやん。」
トワが
「えぇ?怖。」
傘都が怖がるように驚いた。
「次、唐揚げにレモンかけるとか言ったら即刻腹切りだからな?」
「過激派かよ。」
トワはツッコんだ。
「じゃあお前は唐揚げに何をかけるんだよ?」
傘都は訊いた。
「ニンニク。」
「「は?!」」
2人の声は合わさった。
「いやいやいやいや、ちょっと待て。ん?ニンニク?」
トワは聞き間違いかと思い、訊いた。
「ニンニク。」
ヒカルは当然かのように答える。2人の脳はショートした。少し経って脳が回復した2人は察知した。きっとこいつとは味の好みが合うことはないだろう、と。
そんなふざけた会話をしながら下駄箱に到着して上履きに履き替え、食堂へと足を進めるのだった。
本当にすいません。ちょっと、大会の疲れやら球技大会など様々な行事があったもので。それで先週はあまりに疲れて投稿できませんでした。嘘をついてしまい、本当に申し訳ありません。因みに私は唐揚げにはマヨネーズ派です。デブとか言わないでくださいね。いつでも感想などお待ちしております!




