第十五話 護衛
遅れてすいません。それでは本編へどうぞ!
「ほ、本当ですか………?」
少し、信じられない、というような目で見るトワはそう言った。
「もちろんだ、男に二言はない。」
組長はあっけらかんとトワに言った。
「あ、ありがとうございます!」
トワはその場で立って深くお辞儀をした。そのお辞儀見た組長と久美子は口角を上げて言った。
「おいおい、己の頭を簡単に下げるな。相手が相手だったら頭に乗られるぞ?」
そう言われてトワは頭を上げた。
「そう、それでいい。」
そう言った後に何かに気づいたのか続けて言った。
「ああそうだ、自己紹介してなかったな。俺の名前は祖月輪仁だ。それと、横にいる女は俺の妻の祖月輪久美子、これからよろしく頼むぜ?」
横にいる久美子が小さくお辞儀をした。
「よ、よろしく、お願いします…………!」
頭を下げて言った。
「おいなぁ、ついさっき頭を下げるなって言われたばっかだろうが………。」
少し困った感じを出しながらでも、嬉しそうな顔を浮かべる仁。
「まあまあ、いいじゃありませんか、旦那様。それだけ私達が仲間に加わり嬉しいということですから。」
久美子が仁に対して優しく、柔らかく笑いかける。
「しかしなぁ、そういうのは大人にやらせるもんだろ。ガキがするのは少し、違うと思ってな。」
仁は顔を少し曇らせる。
「大丈夫ですよ、仁さん。これは私が好きでやっていることですから。特にお気になさらず。」
トワが安心させるように微笑んだ。
「ずいぶんと、胆力のあるガキだな。こりゃあ、大人顔負けかもしれんな。いや、逆に大人が恥ずかしい。」
仁はトワの言葉に少し驚きながらそう言った。
「そうと決まればさっさと学園に行くのが道理ってもんか。おい!菅野、熊野!他のヤツらを庭に集めてこい!」
仁がそう掛け声を出したら、菅野と熊野と呼ばれる組員が「了解しました!」と返事をしてすぐにその場を離れた。少し時間が経ってから1人の男がコン、コン、コンとノックを3回して部屋に入ってきた。
「組長!全員、集合させました!」
黒いスーツの胸元に菅野と書かれていたネームプレートが光っている。その報告をうけた仁は軽く顎を引いて言った。
「ご苦労、下がれ。」
仁はゆっくりと立ち上がり、3人へと視線を向けた。
「それじゃあ、俺達も行くとするか。おいガキ共、お前らもついてこい。」
仁はそう言った後、襖を開けて、廊下を歩き、靴を履いて外に出た。すでに外には五十名ほどの組員が整列していた。全組員は仁を確認した瞬間、足を少し広げて手を後ろに組み、声をそろえた。
「お疲れ様です!」
それを見た仁は渋い声でお疲れ、と言い、組員の前に立った。
「お前ら、このガキ共と協力することを誓った。それに異論があるやつはいるか!」
低く響く声。組員たちは息を呑み、しかし、誰一人として口を開かない。
その沈黙を確認すると、仁は満足げに頷き、背後の三人に振り返った。
「この通りコイツらは問題ないみたいだ。お前らも大丈夫か?」
三人は視線を交え、仁の方に振り向いて静かに頷いた。確認がとれた仁は車の鍵を出して右手で持った。
「幸い、学園からここまでは遠くはねぇ。俺と久美子とガキ三人は車にに乗って移動する。」
仁がそう言うと、組員達が、押忍!、と大きな声を出して返事をした。
「おい、菅野。お前は車の運転を頼む。」
そう言って菅野に車の鍵を渡した。
「これにて伝達完了!各自外に出るための準備をしろ!」
仁は大きな声で伝えた。その号令の後、全組員は各々準備をするためにバラバラになった。
それから約十分が経ち、組員は各々の荷物を持ち庭に集合していた。トワ達も準備ができていたのか、仁より先に到着していた。
「よっ、トワ。お前も準備できたのか?」
傘都はトワに近づきながら訊いた。
「準備も何も、俺達はそんなもの一切ないだろ………。」
トワは呆れた。
「そうだぜ傘都。俺達に準備するものなんて何一つねぇだろうが。」
トワと傘都にヒカルは近づいた。
「確かに、そりゃそうか。」
傘都は納得した。そんな話をしていたら仁と久美子がガラガラと扉を開けながら外に出てきた。仁は周りを軽く見て、準備ができていることを理解した。
「見たところ、大丈夫みたいだな。じゃ、お前ら!さっさと学園に行くぞ!」
その喝に組員は押忍!と再び大きな声で返事をした。トワ達三人と仁と久美子は菅野の運転する六人乗りの車に全員乗った。
「な、なんか、普通の車じゃない…………。」
トワは内装に驚いた。どうやら、ヒカルと傘都も同じなようで、似たような反応をした。
「これ、どれくらい金がかかってるんだ………?」
ヒカルが、
「多分、俺達が頑張ってバイトしても余裕で足りないくらいには……………。」
傘都が言った。
「はは!まぁ、そんじょそこらのガキが簡単に乗れるようなものではないな。軽く数千万くらいはするぞ?」
仁が笑って答えた。因みにその内装というのは、六人乗りであるが、アルファードと同レベルの内装があり、テレビ、簡易冷蔵庫などがついている。
その席というのもとても高級そうで、まぁ、現実のアルファードの倍くらいはするのだろう。それと、席などは統一してクリーム色をしている。これだけで、どれだけ祖月輪組が有名であるのかが分かるだろう。
「「「…………………」」」
三人は絶句していた。そりゃあそうだろう、子供からしてみれば千円でも大金だというのに数千万だ。その価値は計り知れないだろう。仁がそう言った後の三人の反応がないので少し気になった久美子は後ろをチラッと見た。そこには口を軽く開けて目が¥(えん)になって、白く燃え尽きているような感じを出していた。
それを見た久美子は前に向き直り、クスリと笑った。
「おっと、そんな茶番をしている暇はなかったな。菅野!車を出せ!」
仁が菅野に命令した。
「了解しました!」
当の菅野は車庫から車を出して道路を少し走った。
しかし、そのままいくのではなく門の前まで来て止まった。止まってから数秒後、門からは全組員が現れて車を死守するように囲った。そのまま車を少しずつ走らせた。
「なんか、安全ですけど、ゆっくりですね。」
トワが恐る恐る言った。
「まぁな、だが、そっちのほうがいいだろう。死に急ぐよりはマシだ。」
仁が冷静になって返した。トワ達は忘れていたが仁は祖月輪組の組長。こうしてみると貫禄があるというを再確認する三人だった。悪魔は学園に着くまでせいぜい二体しか会わなかった。しかもその悪魔は雑魚悪魔だったようで、組員に瞬殺された。そして、屋敷から二十分経ってようやく学園に着いた。しかし、当然車が通れるほどの隙間はない。なので、トワが提案した。
「仁さん、俺達が門を開けてきましょうか?車が通れるほどの。」
「いや、いい。車は近くの場所に置いておく。」
その言葉に三人は驚いた。
「べ、別に遠慮しなくて大丈夫ですよ!?」
トワは大きな声を出した。
「いや、せっかくこんなに丈夫に作ってあるんだ。万が一にも悪魔の野郎共が新入したら大変だ。車は近くに置いておく、それでいいよな、久美子。」
仁は訊いた。
「ええ、旦那様が言うならば。」
久美子は静かな笑みを顔に浮かべた。それで少しは納得をした三人は学園の近くに車を止めて門まで歩いた。幸い、門は人ひとりが普通に通れるくらいには開けられる。門を今度は傘都が開けた。傘都いわく、トワに迷惑をかけすぎたらしい。そうして、再び学園に戻ってきた三人であった。大量の仲間を連れて。
すいません、投稿するのが遅れてしまって。この土日は両方とも大会でして、丸一日時間を取られてしまいました。それにやっと投稿できたのも火曜ですしね。月曜に投稿すると言ったのに。それと、感想など、お待ちしております。




