第十三話 頼み
特にありません。そういうわけで本編へどうぞ!
「それで、一体何の用があって自分たちを呼んだんですか?」
トワが初めに口を開いた。どういう状況なのかというと、あのあとから一日経ち、お昼ご飯も食べ終えて校長室に呼ばれて今に至るというわけだ。因みにトワ以外にもヒカル、傘都、ユキ、サキがいる。
「また、謝らせてもらう。本当にすまない。君達をこんなにも頼ってしまって…………。」
校長がまた謝った。
「それは良いですよ、で、本題はなんなんですか?」
トワが答えた。
「そうだね、本題は、今のままでは余りにも戦力が少なすぎると思っていてね。いわゆる、仲間集めというものをしてきてほしいんだ。」
校長がトワの顔を見てすぐに察したのか本題にすぐ入った。
「仲間集めと言っても、何処で集めてくればいいんですか?」
当然の疑問をトワは口にした。
「それに関しては安心してほしい。いや、安心は出来ないな。過去の事件から危険性はゼロではない。
でも、これは…………。」
校長は一人で悩むようにそう言った。
「で、それは結局何処に行けばいいんですか?」
すぐ言わない校長に少しうんざりしながらそう言った。
「…………それは…………祖月輪組だ。」
重苦しそうに校長は口を開いた。それにまさかその答えが来るとは思わず、少しの間放心状態になっていたトワ達だが、整理がついたのかそれに対して口を開いた。
「えっと、あの祖月輪組ですよね。ヤクザの…………。」
戸惑ったように言いながら校長に確認を取った。
「そうだよ、ヤクザだよ。流石にそんな危険な所にいきなりは行かせられないからちゃんと調べたんだよ。」
これに関しては証拠がある、というような感じで言った。
「そしたら、意外とそういう事件を起こしたりはしてないし、少し昔のことだけど自警団として活躍もしていたみたいだからね。」
そう言ったがあとに続く言葉が気になっているのか少し躊躇って言った。
「言ってしまえば、これは賭けだよ。生きるか死ぬかの二択だ。嫌だったら言ってくれて構わない。それだけの事を言ってるからね。」
校長は申し訳なさそうにそう言った。
すると、トワは少しの間考えて、ヒカル達にも相談してその答えを口にした。
「…………行かせてもらいます。」
トワが言った。それに驚いた校長が身を乗り出して言った。
「ほ、本当に言っているのかい!?私が提案してなんだけど断ってもいいんだよ?!こんな危ないことできるかって!」
「でも!条件があります。流石にそこに無償で行くなんてことはしませんよ。それは流石に割に合わない。」
「今できることなら何でも言ってくれ。保証しよう。もちろん、今できることならの話だけども…………。」
校長が落ち着きを取り戻したのか冷静に言った。
「一つ、俺とヒカルと傘都だけで行かせてくれ。
二つ、それだけの装備を持っていかせてくれ。
そして、三つ、帰ってきたら俺達三人にカツカレーを食わせてくれ。」
一つ目と二つ目を真面目に、三つ目を言う時はあどけない笑顔をして言った。それに少しの間ポカンとして正気を取り戻したようにうれしそうに言った。
「もちろんだ!ていうか、それだけでいいのかい?もっと、こう、なんか言ってもいいんだよ!」
「これ以上求めてどうするんですか?お互いつらい状況なのに上下を決めて。もっとつらくなるだけでしょう?」
トワはそう言ったが校長はまだ納得できていないのかさらに提案をした。
「それでは私の気が晴れないんだよ。君達だけに重荷を背負わせてるんだ、もっと言ってくれ。欲望を出してくれ。」
校長がそう言った後、トワがユキとサキに小声で確認した後、頷いてから口を開いた。
「なら……………ユキとサキには、夕食にフルーツポンチも付けてくれ。それ以外ならもう聞かないぞ。」
仕方がなさそうにトワは校長に言った。
「…………分かった。用意しておこう。」
学園長は納得した。
「ありがたいですね。」
トワはいたずらのような笑みを浮かべて言った。
「では、出発時刻はそっちに任せる。どうやって行くか分からない時はスマホを使えば問題ないよ。
それで、他に聞きたいことはあるかい?」
「特には。」
トワが答えた。
「そうか。なら、これで話したいことは終わりだ。
君達は仕事をしなくていい様ほかの人達に言っておくから安心してくれ。」
学園長が言った。言い終わった後、5人はクラスに戻り、出発時刻を決めてその時まで話し合うのだった。
◆
「いやはや、またこうやって集まるとはね。つい、昨日ぶりかな?」
ヒカルが開口一番そう言った。現在時刻は前と同じ11時。前と違う三人は校庭に集まっていた。
「おい、トワ、本当にユキ達を置いていってよかったのかよ?別に学園長調べだとそこまで危険じゃないんだろ?それに、ユキだって少し抵抗してただろ。」
傘都がトワに訊いた。
「あれで良かったんだよ。そもそもの話、会ったこともないヤクザの話をいきなり信じるのは無理があるだろ。」
「確かに、それはそうなんだがなぁ…………。」
傘都が引っ掛かる物言いをした。
「それに、学園長だって言ってたが、危険性はゼロではないんだ。万が一にでもそういうことに巻き込まれたら俺はどうしたらいい?死んで詫びるか?」
トワはその覚悟を口にした。
「そうだな、そりゃそうか。」
傘都は納得したのかそれだけ言った。
「こんな重い空気の中すまねぇが早く行かないとじゃねぇのか?」
ヒカルは2人に提案した。
「おっと、そうだな。こんなところで話している時間は無かったな。そうと決まればレッツラゴー。」
傘都はついさっきの空気を忘れているかのように言った。
「お前は隊長なんて柄じゃねぇだろ。」
ヒカルがツッコんだ。
「おいおい、俺を舐めてもらっては困るぜ?俺だって一応、中学の頃は部長をしていたんだぞ?」
「"副"をつけ忘れてるぞ。」
トワが訂正した。
「嘘ついてんじゃねぇよ…………。」
ヒカルは呆れた。
「はぁ?嘘じゃねぇし!"副"でも部長だったからな!」
「それは否定出来てないぞ。」
今度はトワがツッコんだ。その会話によって少しは空気が和んだのか、三人の顔は少し明るくなった。
「それじゃあ、気を取り直してレッツラゴー!」
傘都が再び言った。それに対して2人は何か言いたそうにしながらも、指摘するのも面倒くさいと感じたのか、苦笑して傘都について行った。
◆
「やっと"あそこ"まで進んだか。こうしてみると意外と遅いもんだな。まあいい、計画は順調に進んでるしな。気にするほどのものではあるまい。」
学園の屋上で一人、見ているものがいた。屋上にはそいつ以外はいない。
そいつはフードで頭を隠していて、何か黙って考えるような素振りをして言った。
「アイツらも……………。いけないな、俺としたことが。感傷に浸っている場合ではないな。まだ、終わっていないんだ、俺の、"計画"は。浸るのは、その後でもいいだろう。」
そう言いながら、フードの下の口元は無表情だった。
「そうだ、それは"それ"のためだけにここまで進んできたんだ。もう――止まれない、止まれないんだ。
俺という存在が、終わるまで。」
ついに新章開幕ですよ。ここまで長かったですね。最初あたりはかなり休んでたりしたのであれなんですけど。でも、ようやくこうして書けることができました。それが嬉しいです。感想など、お待ちしております。




