第十二話 帰還
何も言うことはありません。本編へ、どうぞ!!
ブロロロ、と車がエンジンの音を立てて走っている。
トラックは1台だけでなく4台も走っている。
「すいません、車まで使わせてしまって。」
トワが申し訳なさそうに言った。
「はは!構わないさ、君達子供を助けられるなら。」
運転席に座っている中年のぽっちゃりしてるの男が笑顔でそう言った。
あの後、到着を待っていたトワ達は5分くらいしたらトラックが4台現れた。そのトラックに食糧と水と医療品、その他諸々の日用品を詰めて走り出した。今はそれから少し経っている、という状況だ。
「そういえば、悪魔って音に反応したりするんですかね?」
トワが訊いた。
「うん?ああ、それに関しては問題ないよ。彼奴等は悪魔のくせにどうやら聴覚がないみたいだ。あるのは視覚だけ。それしかない。だから、見られなければ何ら問題はないのさ。」
中年の男はそう返した。
それからというもの、二人は他愛もない話をして盛り上がっていた。しかし、業務用スーパーと学園ではそこまで距離がないのですぐに会話が終わってしまった。名残惜しそうな顔をしてトワは言った。
「送ってくれてありがとうございました。この恩はいつか返します。」
「大丈夫だよ。返さなくても。困っている子どもがいたら助けるのが大人だからね。いつでも頼りな。ほれ、ラインだ。」
中年の男は嬉しそうにラインを開いてQRコードのあるスマホの画面を見せてきた。それに反応してトワもスマホを開き、男のスマホにかざして読み取った。
「交換できました。色々、本当にありがとうございました。」
トワは改めて感謝を口にした。
中年の男は、いいよいいよ、と少し申し訳なさそうにして言った。トワ以外にもヒカルとユキも運転手に感謝を口にしていた。そうして、集まった三人は運転手達とサキと傘都を見送ろうとした。しかし、運転手達は居てもサキと傘都がいない。それを不思議思った三人は代表としてトワが運転手に訊いた。
「すいません、傘都とサキはどこですか?」
「二人かい?ああ、2人なら……………………。」
と、微笑を浮かべた顔で言いかけたその時、
「俺達はここだよ。」
誰かがそう言い、三人は反射で後ろで振り向いた。
「よっ、お前ら!」
それは傘都だった。
「な、何でこっちにいるんだ?避難所に帰らないのか?」
トワが疑問を口にした。
「そうしようと思ったんだけどさ、学園じゃまだ戦えるやつは少ないんだろ?なら、少しでも多く戦力はいたほうがいいと思ってな。」
「傘都の言う通り、学園には戦える人間が少ないです。だから、自分たちも残り、少しでも足しになればと。」
サキが淡々と言った。しかし、それで終わりではなく、
「それに、私も一様この学園の生徒ですから。守りたいと思ったのです。ていうわけで、これからよろしくお願いしますね?皆さん。」
少しいたずらっぽく言った。トワ達三人はてっきり変えるものかと思っていたからか嬉しさ半分複雑半分の顔をしていた。でも、嬉しいのは事実なので少し困惑してながらも嬉しそうな顔をして口を開いた。
「よろしくな、2人とも。」
◆
「はーはっは!よくぞこの我の為にやってくれた!我の名は漆黒のダークネス!褒めて遣わそう!!」
良い雰囲気の中、校庭で学園長が乗る台にのって誰かが言った。その雰囲気を壊された5人は少し苛ついた様子で振り向いた。
「ふははは!!お前らのその目に我を映すことを特別に許そう!」
5人は面倒くさいな、と思い、先生達に報告しようとザッザッと砂の擦れる音をたてながら校舎に向かった。だが、
「おい!無視するなよ!!」
「……………………はぁ、誰だよお前?」
トワが本当に面倒くさそうにそいつに向かって言葉を放った。
「だから!言ってるだろ!漆黒のダークネスだよ!!」
漆黒のダークネスというよく分からないことを言う人は声を上げてツッコんだ。そこに40代くらいのおばさんがやってきてその台に乗ってる男に対して言った。
「ちょと太郎ちゃん!何してるの!」
「ちょ、母さん!!」
「………………………………。」
トワ達5人は固まった。
「…………ふはは!この我、漆黒のダークネスが
「「「「「それは無理だろ!!」」」」」」
太郎はどうにかして立て直すべく、仕切り直そうとしたが、5人は耐えきれず言った。
「いやいやいや、お前漆黒のダークネスとか言っといて本名は太郎かよ!!」
傘都が驚きのあまりいつものボケがどこに行ったのか気になるくらいにはツッコんだ。そこに太郎のお母さんは訂正をした。
「太郎ちゃんの本名は佐藤太郎よ?」
「めっちゃ普通じゃねぇか!!」
トワもツッコんだ。それに太郎は焦ったのか急いで言った。
「ち、違う!僕は漆黒のダークネスだ!!」
「一人称素になってるじゃねぇか!!」
トワが再びツッコんだ。ユキやヒカルなんかは何をしてるの?と言いたげな顔をしていて、サキは懐から取り出したせんべいを食べている。傘都はそれに気がついた。
―何でコイツせんべい食ってんの?しかもかけら一つ落とさないじゃん。せんべいって割とカスが落ちるような気がするんだけど。俺だけ?しかも、自分で食料をくすねるのは駄目だとか言ってたのに普通に食ってるよ。ブーメランすごいよ。
なんて色々考えていた時、その声に釣られたのか先生達がやってきた。それにトワは気づいた。
「先生方、食料と水、医療品及びその他の日用品、1カ月分持ってこれました。」
先生達はその荷物を見て回って言った。
「……………確かにほとんどある。では改めて感謝を言わせてくれ。ありがとう。それと、本当にすまない、こんな頼りない大人で。」
学園長が頭を深々と下げた。太郎は困惑してる。
「いつまで言ってるんですか?頭を上げてくださいよ。校長先生にそれは似合いません。校長なら、ドンと構えててくださいよ。」
トワがそう言うとヒカルやユキがそうですよ、と、同調した。
「それと、傘都君とサキさんは怪我とかなかったかい?」
心配そうに学園長は言った。傘都とサキは大丈夫です、と言い安心させた。相手にされないことが傷ついたのか分からないがトボトボ太郎は母親と一緒に校舎に戻った。
「本当にありがとう。それと、やっと落ち着いたのかは分からないがまだまだ少ないが避難者達もこれを運んだり、悪魔が侵入しないように警備したりしてくれるらしいんだ。」
学園長は嬉々として語った。
「どうして、そんなにうれしそうなんです?」
トワは訊いた。
「それはだって、君達の苦労が少しでも少なくなるんだよ?嬉しくなるもんでしょう?」
学園長は当たり前かのように言った。5人はあまりの眩しさで顔を腕で覆った。
「そういうわけだから早く運ぼう。それに君たちもお腹が減っただろう?ご飯は私たちで作っておくからそれまではゆっくりしてきていいよ。」
そう言って、先生達とその避難者らしき人たちも参加して運んだ。トワ達5人もそれに甘えて各々教室に戻った。
◆
「ごめんね?俺が覚えていなかったのが悪いんだけど、サキも同じクラスだったんかい。」
トワが椅子に座って言った。
「……………逆に今まで気づかなかったのですか?」
「…………………………………ごめん。」
気まずそうに言った。
「いえ、大丈夫ですよ。私も気づかなかったので。」
「じゃあ、お互い様だな。」
「そうですね。」
「あ〜あ、そういうのよくないな〜。」
傘都が割り込んで言ってきた。それに続けてユキとヒカルも話に入った。その後、5人で他愛もない話をして昼メシ時でカレーを食べて満腹になりながらも確かな幸せをそれぞれ噛み締めるのであった。
◆
遠くから何者かが見ていた。
「あれれ〜?なんか凄く楽しそうにしてる〜。おかしいな〜、"魔神様"は普通怖がって外になんか出ない程、って言ってたのに?いや、でも他の"人"は確かに怖がってる。おかしいな〜〜?でも、私、そういうの嫌いなんだよね〜〜。だから、今だけはその顔をしててもいいよ〜〜?ちゃんと壊すから。」
そう言って、せいぜい10代前半のように見える少女は顔を不満そうにした。
すると、どこからともなく現れた"植物"が少女にスマホを渡した。
「う〜〜ん?……………はい、はい、分かりました〜〜。」
嬉しそうに呑気に言って通話を切った。
「やっぱりさ〜〜、この板の使い方、まだ慣れないよ〜〜。復活したばかりだからかな?まあいいや、魔神様からのお仕事だ!私、張り切っちゃうぞ〜〜!」
そう言って、少女の後ろには門が現れ、その門に何のためらいもなく入っていった。
昨日、投稿できなくて申し訳ないです。でも、ちゃんと今日投稿できたから大丈夫だよね?そういうわけでこれにて地上奪還編は完結です。でも、まだ終わらないので心配しなくても大丈夫ですよ?それより、感想などをいつでもお待ちしております。




