聖女として召喚された俺
よろしくお願いします!
さっくりと読んで頂きたく思います。
俺の名前は西園寺史郎。これでもモテる。
と、自負している。だって一応学校にファンクラブあるし?あれ、学外にも広がってるの?規模は知らん。
街を歩けば逆ナンされ、雨の日には傘を盗まれる(対策として軽量折りたたみ傘を持ち歩くことにした)。
一応、文武両道だな。学力もそこそこあり、スポーツもできるし。走れば1等だしなぁ。
俺の人生バラ色?って感じだった。のに何でかなぁ?駅のホームで突き飛ばされた。こんな駅に限って落下防止の柵が設置されてないんだよなぁ。誰かの恨みを買ったんだろうか?多分そうだろうな。
で、見事(?)電車にはねられて死亡しました。
それなのに、何で生きてる?
ここはどこだ?
なんかローブを着た怪しいおっさんがたくさんいて、床にはなんか模様書いてあるんだけど?
「お喜びください皇子!異世界より、聖女召喚成功です!」
皇子~?いつの時代だよ?異世界~?それはどこだ?俺の知識をもってしても知らねーぞ。
何より不穏なのは‘聖女’というワード。俺…男なんだけど?
「髪が短いなぁ?別に俺は気にしないぞ。髪なんて伸びるしな!ハハハっ」
…ショートカットの女だと思ってマスカ?
「えーと、俺は男です。西園寺史郎と申します。」
「「えぇ――――!!!!???」」
「…」
周りのオッサンからは阿鼻叫喚というのだろうか?叫び声が。皇子は絶句している。
俺が知っている乙ゲーだと、召喚された聖女というのはヒロインで皇子の婚約者になるんだよな。
俺どうなるんだ?元の世界に返せる?いや、タイミングよく(?)電車にはねられてるからそっちに戻っても臨終だな。
「っゴホン、聖女もとい聖人シロウは城で暮らすように。そのように通達を出そう」
ほう、俺の住むところがとりあえず決まった。衣食住のうち‘住’が確保された。
俺は城に行った。
「あぁ、あの子は俺の妹の第一皇女、ミーティアだ」
「チッ」
通りすがりに舌打ちされたんですけど?皇女が俺を見て舌打ちしたんですけど?
それはアリなんですか?
「最近政略婚約が決まって気が立ってるんだ」
はぁ、なるほどね。でも、舌打ちは淑女としてアウトだと思う。すっごい顔で睨まれたし。
俺の少ない乙ゲー知識だと、ルートってのが存在して攻略対象を攻略してハッピーエンドだといいね。ってのだと思った。
その攻略対象がイケメンぞろいってのも知ってる。
ってことは?ってことはだ。
聖女として召喚されたんだから、美少女満載か?あ、でもさっき皇女に舌打ちされた…。
うーん、美丈夫で腐った生活はしたくない。是非美少女満載でウハウハ生活をしたい!
聖女って何するんだ?
「皇子?単純な質問なのですが、よろしいですか?」
「うむ、許す」
このやりとりが面倒だなぁ。
「自分、聖女として召喚されたはずですけど、聖女って具体的に何をすればいいんですか?」
「ほう、お前にできるかな?」
できるかわかんないから、質問してるんだけど?
「その内に秘めたる神聖力で、傷ついた民を癒すのだ」
ふーん、RPGの僧侶とかそういうポジションかぁ。ま、いいや。
俺に神聖力あるんだろうか?試しに皇子の手にあるささくれを治してみた。
できた。
あ、できるんだ。ふーん。
皇子にいたく感動されたけど。ささくれは地味に痛いからな。地味なところが嫌なんだよ。
「神社とか、寺みたいなところに行って俺はこの力を強力にするよ」
…夢のウハウハ生活は望めないし。
「ジンジャ?テラ?僧院の事か?やめておけ。お前が僧院に行ったら確実にほられるぞ。力を強くしたいんだよな?」
ささくれじゃなくて、もっと骨折を一発で治せるようなさぁ。強力だとすごいじゃん?
「よし、国一番の魔導士を紹介しよう。うん、それがいいな」
腐った世界には行きたくない。皇子が言うんだから、間違いないだろう。うん。
…皇子だって人の子。間違えもする。
「ワタシが国一番の魔導士リリーよ!よろしくネ!」
俺はゴツイ手に握手を求められた。
「いや~ん。男前を指導するなんて最高の仕事をありがとうございます、皇子様!今度何か入り用の時は割引するわネ」
裏取引…。この人…、男だよなぁ?肩幅広いし、胸と言うかアレは胸筋?露出度高い服着てるけど、色気は感じない…。俺があの服着た方が色気あるんじゃ?と思うケド黙っておこう。平和のためだ。俺は聖人として一つ世のために役に立った!
「えーと、俺の神聖力を強くしたいのですが?どうしたら?」
「え?新精力?」
そんなことは言ってない。やっぱりオネェと言う人種なんだろうか?
「神聖な力です!…で、どうしたらいいものかと」
「回復させるのよね?それって。そうねぇ、現状と回復後を理解できないとダメじゃない?確か、シロウ君はささくれは治せたのよね?それは、現状と回復後のイメージがしっかりしてたからヨ。よって、シロウ君。頑張れ、みっちり解剖学を勉強するのよ!」
ふぇ?解剖学?骨がどうとか?
「神経がどうとか血管がどうとかも。全く魔法使うのに、こんなところアナログよねぇ。でも頑張って!ワタシも応援してる!」
オネェに応援されても…。
俺は持ち前の頭脳でリリー姐さんの合格点を貰うのに、3か月で済んだ。
「アラ、シロウ君は賢いのね。ワタシはもう用なしなのかしら?皇子によろしく言っといてネ」
ものすごい速さでいなくなった。…リリー姐さんにほられなくて良かった。
久しぶりに、皇子だ。
「リリーさんが、皇子によろしく言ってました」
「それで、シロウは神聖力を強くできたのか?」
「座学しかやってないんで、わかりませんが?」
「それでは、騎士の鍛錬場に行ってみよう。患者がいっぱいいるはずだ」
イメージ、汗臭そう。
なんだ?あのイケメンの騎士は?
聖女が女だったら攻略対象なんだろうか?
で、俺の前には行列が。人気のある占い師か?
俺はサクサクと治療をしていった。外傷がほとんどなので、楽勝だ。骨折とか極々まれだし。
なんか、俺のテントの周りに拝んでる騎士さんがいる。
俺が神聖力を使う時に、なんか俺から発光しているらしい。前世だったらそれで発電できたなぁ。などと思うのです。できなかったらホタルみたいな?微妙だな、俺……。
皇子に報告を。
「治療を実際に可能でした。騎士の鍛錬では骨折はレアケースですが、治療可能でした。それと、俺が治療しようと神聖力を使う時、俺から発光しているらしいです」
「ほう。鍛錬では骨折が少ないのか…。では次に試しで戦場で救護をしてみてくれ」
俺は便利係だろうか?この場合、本当は死にたい人までいつまで繰り返すんだろう?って生かしてしまうことになりかねないなぁ。
死にかけの人は本人の意思確認…が出来ないのか。うーん、なんとか意志を確認できるシステムを作らないと、俺は戦場で恨まれてしまう。
救護班に合流した。
そこかしこに転がるケガ騎士をサクサク治療していった。
一応感謝された。俺はこの時騎士に
「万が一の時に俺が治療をした方がいいのか意志を確認できるように、下着にでも印をつけてくれるとありがたい。ついでに他の騎士にも言っておいて欲しい」
と、こそって言った。
国としては、無敵の軍隊があった方がいいだろうけど、何度も死ねずに戦うのは苦痛だろう。
城に戻り、皇子に報告。
「救護班では流石に重病人が多かった。ただ、俺の神聖力にも限りがあって、そりゃあ俺の力を使っているわけですから、俺が疲れれば使えません。俺が俺を治療することもできないこともわかりました。戦場にトイレがほしいです」
最後のは俺の希望。トイレがないのはちょっとなぁ…。
あれ?俺、ゲームの乙ゲーの聖女より働いてね?無給で。
そうだよな。そういえば無給だ。ブラック企業か?
「皇子!」
「何だ?」
「休暇が欲しく思います。思えばこの世界に来てからというもの、ずっと働きっぱなしです」
「そうだなぁ、用があったら呼ぶ。好きにすれば?」
あ、捨てられた。衣食住全てを失った。
これからは城下で、治療師として働こう。うん、それがいい。
まずは住むところだな。
意外にもリリー姐さんが紹介してくれた。リリー姐さんのうちの隣ってのが微妙だけどまぁいい。
食事は…近くに定食屋あるなぁ。しばらくはそこで食べよう。
自分で働いてるうちに出会いがあるだろうし、そうしたら愛妻弁当とか食べるんだ!
定食屋で食べようと思っていたのに…リリー姐さんが「作りすぎちゃった♡」と食事の世話をしてくる。ありがたいんだが、そこに俺の彼女がいたらどうするんだ?
治療師としての俺の名声はうなぎ登り。
お金は貯まる一方。リリー姐さんの隣が住居兼職場なんだよな。住居…移そうかな?と思う今日この頃なのです。
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